第90話 中級魔族とオレ。

 「ゲへへ?」

 フォルムがスライムだからというわけではなく、ゴーレムダンジョンで開花した勇猛のスキルで威圧は感じない。


 召喚中に、広間にいた人は避難させている。パドキア大臣もガリあんのみぞおちを一発食らって引きずられていった。


 「ごしゅじん~。攻撃できない~。レベル80超えてる~。」

 「ふむ。疫病魔人えきびょうまじんは、何でも、食べるんだろ?これ食えるか?」


 ぽーんと腕輪を投げる。

 パクリ。

 「ゲへへ。あれ?名乗ったかけか?」

 

 ≪牛刀割鶏ぎゅうとうかっけい

 ズバッ!!!


 「グェー!!!!」

 「召喚の魔方陣は把握してたよ。ちなみにお前が食べたのは、呪いを一段階下げる腕輪だ。どうやら、浮島でルビルデに話した仮説は正しそうだ。」

 「ぺぇっ!ぺぇっ!」

 「無駄だ。結合装備ってやつで、簡単には外せない。」


 「ぐげぇぇぇぇ!」


 ≪疫病噴射≫


 「呪詛感知では、一段階目の呪いらしいな。対策済みだ。」


 「ぐげぇぇぇぇ!」


 ≪ヘドロウェイブ≫


 大量のヘドロの波に飲まれいくオレが・・・忽然こつぜんと消える。

 「ゲへへ?」

 「≪レター≫って、複合魔法ミックスは知ってるか。普通に使えば、冒険者ギルドに置いてある水晶に手紙の映像を映したり見たりする魔法なんだけどね。相手の瞳にオレの姿を映すことができるまでトレーニングしたんだ。オレはビジョンって呼んでる。さて、本物のオレが見つかるか?」


 ≪レター≫ビジョン!

 疫病魔人えきびょうまじんの視界ではオレが無数に増えていく。

 「ぐっ?!!」

 当然、周りにのみんなには、一人のオレが講釈たれてるだけでちゅ!


 ≪牛刀割鶏ぎゅうとうかっけい

 バチコーン!!!

 「グェー!!!!」


 ≪疾風迅雷しっぷうじんらい


 「にゃ!にゃ!にゃ!にゃ!にゃ!」

 ボボ!ボボ!ボボボン!

 「グぁぁぁー!!!!」


 「少しレベルを下げたくらいで!調子に乗るな~!!」


 「スキヤキ様。ポイントに入ってるみゃ!」


 「少し?さっきの腕輪を吐きだせると思うよ。」

 「ぺぇっ!」

 カラン…。

 「なんだ?命乞いでもする気になったか?ゲへへ。」

 「結合装備を外す方法だが、同種のもっと強い力をかけると外れるんだよ。」

 「もっと・・・強い・・・力・・・だと!!」


 「そこからは、私が説明するチィ。」

 イタチ獣人の小柄な女性、ルビルデでちゅ。


 「魔族さんの下に、ミスリル板が設置してあるチィ。そこには、呪いを4段階下げる魔方陣がかかれているチィ。しかも、結合したら動けないほど大きなミスリル板でチィ。」

 「何だと…」


 ガン!ガン!ガン!


 暴れまわるが、床が張り付いていて抜け出せない。

 「魔族の特性は3つだチィ。1つ強大な力をもつチィ。1つ召喚に莫大な生贄コストがかかるチィ。1つ召喚は長くても半日から1日でチィ。」

 「…。」

 「ぐふふ。まるまる一体の中級魔族がコスト0で手に入ったチィ。」

 ニヤ~リ。


 「ま、待て…」

 ぐいぃいぃぃぃぃやぁぁぁ!!


 前世の知識では、俺Tueeしただけなのに、中級魔族拷問・・者の称号がついたでちゅ。

 酷いことなんてしてないでちゅ!呪いの塊である魔族から、黒い蛇のような呪いを一匹づつ引っぺがして、壺に封印こわけしただけでちゅ!


 あ!もう一つ分かったでちゅ。消滅・・すると結合装備が外れるでちゅ。

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