第62話 帝王と俺。

 助けた船は、マッシュ帝国の船であった。


 「あらやだ。助けてくれて、ありがと~。」

 きのこ人の男性。帝王ホワイト・マッシュ・フォン・ルー。


 前世の知識では、おねぇでちゅ。


 「嵐で護衛艦とはぐれて、海賊船に追われて、もう、ドキドキ~。しかも~。助けてくれた王子様は、リキーダの英雄じゃない!」

 「お、お助けでき光栄です。では、これで・・・」

 「はやい!もう~。はやすぎ~。それに、お願いがあるの。お・ね・が・い。」

 「お願いですか?」

 「そうよ。海の真ん中で護衛艦がはぐれ、海賊船が現れる?これ、偶然だったら、ホワイトびっくり~。」

 「お願いを聞く前に、俺たちはBランクの冒険者です。帝国の護衛ともなれば、Aランクの方々もいらっしゃるかと・・・」

 「あら?意外と頭まわるの~?大丈夫。もし、陰謀でもAランクの護衛は裏切ってないわよ。」

 「お断りすることは・・・」

 「無理。無理。ぜーったい無理よ。わたし気にいっちゃったから~。ウフ~ン。」

 「でで、きる範囲で、頑張らせていただきます・・・」


 「簡単よ。まず、海賊のアジトをぶっとばすわ!その後、黒幕を吐かせるわ!以上よ!」

 「・・・。」

 「安心して、わたしのスキル≪離合集散りごうしゅうさん≫で海賊船に胞子を付けたから、2日の距離くらいだったら、マーキング済よ!」

 「・・。」

 「さぁ!海賊どもに一泡も二泡もふかせるわよ!」

 「・。」

 「こっちにきて、手をお出しになって。」


 右手を差し出すと、ホワイトは自分の髪をプチっと一本抜き、小指に巻き付ける。

 巻き付けられた髪は、うっすらと白色に輝く指輪になった。


 「こ、これは?」

 いやな予感が・・・でちゅ。


 差し出した手を両手でねっとりと包みながら。

 「ええ。これでわたしと、にょきにょきビビーン(念話が)。できるわよ。」

 いや、勘弁してくださいでちゅ・・・

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