第61話 テンプレと俺。

 浮島羅針盤を頼りに空の航海をすること3日。夜は浮遊の魔道具を使い海の上で、アゲハを休ませる。


 危険でちゅ。危険でちゅ。

 (ん?)

 「少し向こうで、大型の船が、6隻の海賊船に襲われている。」

 「みゃ?にゃーには、まだ、見えませんみゃ。」


 ドゴーン!ドゴーン!


 大砲や縄のついた銛を打ち込んで、海賊たちが大型船に乗り込もうとしている。

 近づくにつれて、みんなも理解する。


 「ごしゅじん~。海賊船の真上に~」

 「ん?魔法でも使うのか?」


 ぴょーん。ヒュ―――――――――ン。


 ≪牛刀割鶏ぎゅうとうかっけい

 ハーナとナーナが、ダンジョンで取得した300%増の攻撃をするユニークスキルである。


 ボカ―――ン!!!!


 海賊船の1隻が、海の藻屑となる。


 「え?」

 「ナーナも行くです~。」


 ぴょーん。ヒュ―――――――――ン。


 ≪牛刀割鶏ぎゅうとうかっけい


 ボカ―――ン!!!!


 2隻目が、海の藻屑となる。


 「いやいや!船壊したら、海に落ちるでしょ?!」

 「大丈夫にゃ。ぶつかった衝撃を利用して、大型の船に飛び移ってるにゃ。」

 「よ、良かった~。ちゃんと考えていたのか。」


 後ろで控えている、少し大きな海賊船の船首から、魚人の女性がハープをかきならす。


 ポロン♬ ポロン♬

  ポロン♬ ポロン♬

   ポロン♬ ポロン♬

    ポロン♬ ポロン♬

     ポロン♬ ポロン♬


 凶悪なツラのクジラが海から現れ、大型船に襲いかかる。

 「なんだ。あれ!」

 『マスター。あれは、デカラビアホエールといい、顔の部分がユリ状に割れて、凶悪な牙で相手に突撃する海の魔獣です。』


 大型の船と同じくらいの巨大が、海を跳ねるように飛び、顔面をパックリと開き飛びかかる。


 ≪牛刀割鶏ぎゅうとうかっけい≫≪牛刀割鶏ぎゅうとうかっけいそう牛刀割鶏ぎゅうとうかっけい!!

 ハーナとナーナが、同時にスキルを使用することで、3000%増に威力をあげることができる。


 ―――ザン!!!!


 大型船はかなり傾いたが、デカラビアホエールは、頭部を砕け散らせながら弾き飛ばされ、海賊船の上に落ち、轟音とともに海に沈む。


 「みゃーーー!すごいみゃーーー!」

 Bランクは、伊達じゃないでちゅ。


 残った海賊船は散り散りに逃げていく。

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