第49話 ダンジョンコアと俺。

 昼過ぎに、魔術師ギルドが本当・・に動き始める。


 「はいはーい。みなさん聞いてー。これから、ダンジョンコアへアプローチをかけます。」

 「ギルド長。魔方陣の準備はできています。」


 「ありがと。アプローチの方法は、簡単。ダンジョンコアの影響を受けていない気体を、思いっきりぶつけて!魔力渦を吹き飛ばしちゃいます!」

 「ギルド長。風魔法使いの準備完了です。」


 「それじゃ!始めてちょうだい!」


 多くの魔術師が魔力を高める魔方陣に魔力を送り、魔方陣の中央にいる魔術師たちが風魔法の詠唱をする。


 ≪サイクロンストライク≫

 ≪サイクロンストライク≫

 ≪サイクロンストライク≫

 ≪サイクロンストライク≫

 ≪サイクロンストライク≫


 5つの巨大サイクロンが、1つの超巨大なサイクロンになり、ダンジョンコアへ突き進む!


 危険でちゅ。危険でちゅ。


 「ククレカさん!ま、まずいんじゃ・・・」


 超巨大なサイクロンがダンジョンコアに到達できずに飛散する。


 「押し負け…揺り戻しがくるわ!全員退避!すぐに転移の指輪を使用して!」


 次々に消えてく、魔術師たち。


 「て、転移の指輪って?!」

 「え!渡さなかったっけ?ごめんね。」

 そういって、消えていく。


 俺たちだけ、残される。


 「「ご、ごしゅじん~。」」

 「にゃーー!!」


 くっ。考えるでちゅ。考えるでちゅ。考えるでちゅ。考えるでちゅ。


 ≪並列思考≫≪情報分析≫奇術行使!!


 「ハーナ!俺を持ち上げて盾にしろ!ナーナはハーナを後ろから支え!プラムはナーナを後ろから支え!踏ん張れ!」

 「盾に~?そんなこと~」

 「迷ってる時間はない!いいから信じろ!」


 揺り戻された魔力渦が、俺たちに向かう。


 ≪ドレイン≫


 すべて吸収してやるでちゅ!

 触れた瞬間、あ…、スポンジで川を受け止めるようなものでちゅ。


 だめでちゅ・・・


 俺を持ち上げる手から、震えがスローモーションで伝わってくる。


 ハーナ。ナーナ。プラム。


 仲間は!仲間は僕が護るでちゅ!!!!

 吸収するエネルギーを全て、マジックバックに入れるでちゅ!

 入れーーー!!!!


 ≪・・ト≫≪ギフト≫!


 ≪ドレイン≫≪ギフト≫≪ドレイン≫≪ギフト≫≪ドレイン≫≪ギフト≫≪ドレイン≫≪ギフト≫≪ドレイン≫≪ギフト≫≪ドレイン≫≪ギフト≫≪ドレイン≫≪ギフト≫≪ドレイン≫≪ギフト≫≪ドレイン≫≪ギフト≫


 かなりの勢いで後方に押される。

 「「も~~!!」」

 「みゃーー!」


 ズズズ・・・ン


 魔力渦が引いていく。


 「助かった~です~?」

 「た、助かったにゃん?」


 気を抜いた直後、ダンジョンコアから小さな球体が飛び出して、俺の首に突き刺さる。

 「ごしゅじん~!!」

 「にゃ?!」


 俺の首には黒真珠のネックレスがついていた。


 ≪ダンジョンマスターとして契約しますか? Yes/No≫


 (????ノーでちゅ!!!!)


 なんなんでちゅ・・・


 「へとへとで、動けそうにない。避難場所まで運んでくれ。」

 「わかった~。」

 「大丈夫にゃん?!大丈夫にゃん?!」


 その日の夕方、リキーダは歪んだ空間に飲まれた。

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