第36話 ハーナと俺。

 「今日は、出発できないな。もう日が暮れてきてるから、宿屋に泊まろう。」

 「旅にでないなら、今日は最後に家に帰っていいにゃんか?」

 「え!奴隷って家あるのか?」

 「何、言ってるにゃんか?なかったら、どこに住むにゃんよ。」

 「ハーナもあるのか?」

 「あるよ~。私も今日は帰ってい~い?」

 「家あるなら、旅にでていいのか?」


 「大丈夫にゃん。一番上の妹が15歳で家の面倒をみてるにゃん。」

 「だいじょうぶ~。奴隷代金の半金が、父に渡って、今頃、酒浸り~。」

 「いや、ダメだろ!娘を奴隷にして酒飲んじゃ!それと、プラムはそんな小さな家族いるのに犯罪を?」


 「妹が7人もいるにゃんよ。お金が必要にゃん。」

 「・・・プラムの半金って、金貨8枚か。それで足りるのか?」

 「8枚もないにゃん。前の主人に迷惑かけてるから、1枚も家族にいけばいいほうにゃん。」 

 (全然、大丈夫じゃないよね?!)


 「ほら。この袋に金貨50枚入ってるから、家族に渡してやれ。働き頭奪ったなんて、寝覚めが悪い。」

 「い、いいにゃんか?!」

 「そんな状態で旅にでても、荷物の持ち逃げが不安だよ。プラムも必要か?」

 「いらな~い。酒代になるだけ~。」

 「明日の朝、最初の鐘で出発するから街の東門で待ち合わせだ。」

 「ありがとうにゃん!」

 「あした~。」

 「遅れるなよ~!」


 (プラムは金を持ち逃げするかな?でも、あんな話を聞いたら旅の間、こっちも落ち着かない。)


 翌朝、まだ薄暗い中を東門に行くと、赤髪と青髪のハーナが二人・・いた。

 「ハーナ?」

 「「おはよ~。」」

 「これ~、双子のいもうとのナーナ。」

 「はじめまして~ナーナです~。」

 「妹も~、連れてくけど~、い~い?」


 「・・・えっ。なんで?」

 「おいてくと~。いもうとも、売られる~。」

 「まじか、本当にダメおやじだな・・・俺はいいけど、旅は危険だぞ?」

 「危険~、わかってるです~。よろしくです~。」


 その時、鐘がなる。

 ゴーーン・・・ゴーーン・・・


 「よし。いくか!」

 「ん。プラムは~?」


 「時間に来ないってことは、来ないってことだろ。」

 「ん。」


 「にゃーー?!待つニャーーン!なんで、移動してるにゃんか?!」

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