第34話 奴隷商人と俺。
「いらっしゃいませ。どのような、ご要望でしょうか?」
奴隷商人は、さすがに門前払いしなかったでちゅ。
「(恋をしたいので)女で、(旅にでるので戦闘が)やれるといいぜ。」
「ふむふむ。若いのにごりっぱです。他に何かご要望はおありですか?」
「魔法が使えるといいなー。」
「ご予算は?」
「初めてで分らないから、安いのから高いのまで見たいぜ。」
「何名かご案内しますので、こちらの部屋でお待ちください。」
紹介された1人目の奴隷は、茶毛の猫獣人、小柄な活発系の20代後半の女性。
「これは、プラムといい、土魔法が使え、犯罪奴隷ですので、金貨20枚になっております。」
(あれ?どこかで見たことが、)
「あー!冒険者ギルドの窓口のおねーさん!」
「にゃ?どこかで、あったにゃんか?」
「7年前、ギルドマスターの部屋に預けられて、」
「にゃー!あの口説いてきた幼児ですにゃ!大きくなったにゃんねー。」
「ところで、なぜ犯罪奴隷に?もともと?」
「犯罪と言っても大したことないにゃん。冒険者ギルドでちょっとお金を借りたら仮奴隷にゃん。仮奴隷中に雇われたレストランでちょっと食材持ち帰ったら奴隷にゃん。奴隷中に雇われた荷物運びでちょっとさぼったら犯罪奴隷にゃん。」
「3点ほど補足いたしますと、借りたのではなく横領と、持ち帰りでなく横流しと、さぼったのではなく逃げたになります。」
「す、救いようないなー。」
「そ、そんなこと言わにゃいで~。今度は、きっと、まともに働くにゃん!」
「これが安いのですね。」
「はい。安いのです。」
「にゃ?!安い安い酷いにゃん!こんないい女にゃのに!」
「金を持ち逃げされたら、大損だよ・・・」
「知り合い見たいですし、金貨18枚でどうでしょうか?」
「次を・・・」
ガバッとだきついてきた。
「お願いにゃん!頑張るからチャンスくださいにゃん!」
うるうる。
「それじゃ、金貨16枚・・・」
「すぐに、奴隷契約書をお持ちします。」
(えーー!商人が交渉しないくらい、いらない子?)
金貨16枚を払ったでちゅ。
「それでは、奴隷契約書に付加されている制約魔法について、お伝えいたします。一般人の方が所有物にできる制約は、悪意の感知のみになります。」
「悪意の感知?」
「はい。さきほどのような、横領や横流しの意思を持った時に、主人にアラートが伝わります。」
「今まで未然に防げたのでは?」
「制約魔法を付加できるのは犯罪奴隷からになります。それでは、奴隷契約書に手をおき、魔力を流してください。」
「そういえば、血判があった記憶が?」
「血判は奴隷側のみになります。それでは、手を。」
ピカッ
「完了でございます。他もご紹介いたしますか?」
「いや、十分だぜ。」
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