第28話 初ゴブリンだよー。

 街道を行くと、ゴブリン3体に襲撃される。俺たちには、かなりまずい。

 オリビアが魔物を倒す姿を見せる訳にはいかないので、最悪、念動力を使用して倒さなければならない。


 「俺に任せておきな!」


 フラーは両こぶしに赤銅色のオーラを纏わりつかせ、ゴブリン3体に跳びかかる。

 フン!と繰り出されるこぶしで、ゴブリンは吹き飛びピクリとも動かなくなる。

 攻撃の隙をついてゴブリンが左右からの挟み撃ち!短剣が襲いかかる!が、ひらりと跳躍、空中でゴブリン2体をまとめてけりとばす。


 「かっこいい!気の源流だー!」

 「あ、ああ?」

 「ぼくも、今、頑張ってるんだ!」

 「そうか、休憩中にでも教えてやるよ。」

 「ほんと!ありがとー!」


 昼食後に気の源流を教わった。

 基本は無我の境地からの爆発的な感情らしいが、よくわからん。

 子供向けだったのだろう、「必殺技」や「秘奥義」や「秘術」を教わる。

 夕方になりキャンプをはるが、さすがに別々で少し離れた場所に設営する。


 「フラーさんにも、夕飯のおすそ分けしてくるわね。」

 「あ!僕が行くー。お礼も言いたいし。」

 「そう?あまり長居しちゃだめよ。」


 「フラー。夕食のおすそわ・・・」

 甘い香り・・・身を任せたらダメな気がする・・・肺の中にクリーンの魔法・・・意識を辛うじて保てる。 

 「ほらよ。今日のエサだ。」

 もぐもぐ

 「・・・あまい。」

 「ぷ!ふははっは!さすが、邪神様。これなら、かなり上位の魔族を召喚できるぜ。」

 (・・・?)


 フラーは酔っているのか、いろいろと話はじめる。

 「最初はじっくりと人柱に育てろって面倒臭い注文だと思ったが、所詮ガキだったな。さすが俺。」

 「7年祭でお前がどうなると思う?くっくくく。祭にきた者たちを生贄に捧げ、触媒となったお前は木端微塵に爆発して魔族を召喚さ。」

 (えぇ?!恐い恐いよー。)

 「ま、邪神様に恨まれるようなゲームを広めたんだ。そのアビスの実と同じようにじっくり味わうといい。」

 (えー!勝手に呪って、勝手に自爆して、当たり屋の論理だよー!)

 意識が少しづつ・・・

 「・・・っ。あ、あれ。」

 「おう。飯はもらったぜ。明日も気の源流。おせーてやるからな。さ、さっさと戻りな。」


 (平静に、平静に普段通り。)

 「うん。あちちたも、おねがい。またねー!」

 (か、かんだーー!大丈夫だったよね?よね?)

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