第20話 疑心暗鬼でちゅ!

 深夜。


 『おきるのじゃ。おきるのじゃ。』

 「・・・なんでちゅー?」むにゃむにゃ

 『ちと、外に出たいのじゃ、連れて行くのじゃ。』

 「・・・わかったでちゅ。」むにゃむにゃ


 朝。


 「朝食もとったし、一回これからのことを話し合いましょ。」

 「って、言っても要望なの。」

 「これからでちゅか?」

 「ええ、これからよ。おねーちゃんは、前にも言ったように精霊魔法を取得する予定なの。」


 精霊魔法を取得するには、

 沼に囲まれし森の神殿

 砂漠に囲まれし海の神殿

 闇に囲まれし光の神殿

 を巡礼しないとならないらしい。


 「おねーちゃんと来てくれる?」

 「一緒がいいでちゅ!」

 『沼やら砂漠やら闇やら。わしには合わなそうじゃな。』

 「それなら、適当な川でおいていくから、大丈夫よ。」

 『行かんとは、言ってないのじゃ!』

 「じゃ、決まりね♪」

 「旅の資金作りに狩りためた毛皮とか売るけど、目立ちたくないから数日かけるわね。」


 冒険者ギルドへ毛皮を売りに行くと、昨日とは打って変わって、喧騒ですごいことになっている。

 「どうしたんでちゅかね?」


 ボードに依頼票を貼り付けていた、熊みたいなおっさんが話かけてくる。

 「おう。ぼうず。服買ってもらったか。かわいいぞ。」

 (ふれないで!カッコイイ方がよかったでちゅ)ぷんぷん

 「騒がしいですが、どうしたんですか?」

 「なんでも、昨日の夜に酔っ払いが巨大な蛇の影を見たんだとよ。」

 「蛇の影?」

 「ああ。ただ、それだけなら、酔っ払いの戯言なんだが、客引きの娼婦が3人行方不明になってんだよ。」

 「わ、私も調査してみますね。それじゃ!」ドタバタ


 なぜか、マリーは宿の部屋に戻ると、


 「オリビア!私たちを街に入るために利用したわね!」

 『わ、わしを犯人扱いじゃと!』

 「じゃ、深夜、どこにいってたのよ?!部屋からでてったのは気づいているのよ!」

 「そういえば、寝ぼけてて覚えてないでちゅが、外にでたでちゅ。」

 『い、言えないのじゃ!でも、犯人じゃないのじゃ!』

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