第8話 テンプレでちゅ!
今日は、縄張りの拡大のため、だいぶ離れた場所まで散策しに来ていた。
(ここら辺の森の中も食べ物が多そうでちゅ)
ドドドドドドドドド、ガシャーン!
キン!キン!ガキ―ン!
バシュ!
(遠くで、争いあう音が聞こえるでちゅ!)
音のほうに、アカママは走り出し、俺は背にまたがっている!
重要なことなので、2度いう!
背にまたがっている!
森を抜けた先をうかがうと、街道があり横転した馬車があった。
その周りには、3人の護衛と1人の盗賊だったらしい屍が転がり血の匂いを漂わせていた。
生きている7人の盗賊達は屍から武器や鎧、馬車から戦利品を回収していた。
しばらく様子を見ていると馬車から少女が引きずり出され猿ぐつわをはめられた。
盗賊の頭らしきおっさんが、何か叫ぶと盗賊達は戦利品を抱えて森に入っていった。
テンプレとしては少女を颯爽と救うのだろうが、会話ができるわけではないアカママとまともに歯も生えていない赤ん坊に何ができるというのだ。
少女を見捨てるのは、心のどこかで拒否反応があり、盗賊達の後を追うことにした。
盗賊達は、一列に獣道を進んでおり警戒もあまりしていないようだった。
こっそりと後ろの盗賊をひとりづつ狩れないか、アカママとアイコンタクトをすると何となく伝わった感じがした。
一番後ろにいた盗賊の横の茂みから、アカママは素早く飛び出して首に嚙みつき、そのまま咥えて反対側の茂みに入りガリリっと首を引き裂いた。
少女を肩に担いでいた次の盗賊も同じように狩った。
流石に2人も後ろからいなくなったら、気づかないわけもなく騒ぎだし、武器を構えて隊列を組みだした。
このままでは、5人もの盗賊と戦闘になりかねないと思い、アカママの頭をみるとびくびくと耳を四方に傾けている。
流石にアカママでも、5人もの盗賊では分が悪いのかと思った瞬間、とてつもない寒気が襲ってきた。
アカママは少女をくわえたまま、慎重にゆっくりと後ずさりだした。
獣道のほうをみると、茶色で巨大な何かがゆっくりと近づいてきていた。
あかん。アレ、あかん奴や。
後ずさり、ある程度の距離ができるとアカママは一目散に逃走した。
息が切れるのも忘れて、全速力で走り続けた。
住処に戻って気が付いた、あかん。コレ(少女)、どうしよう。
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