第6話 でたでちゅ!

 夜の空気を感じた。母に抱きつき、只々ひたすら過ぎるのをまった闇の空気。

 俺は行動を起こした。


 檻は赤ん坊の俺には檻ではなかった。だって、うんしょうんしょ。って通れるのだから。

 檻の中では虫に≪ドレイン≫を使っても反応がなかったが、檻の外では虫に≪ドレイン≫が使えた。

 壁にかけられているカギを壁ハイハイを使って取得し、オオカミの檻を開けた。


 「だー(しー)」

 しーのポーズで音を出さないように伝えた。伝わったかな?


 慎重に部屋の扉に近づき、向こうの部屋の音を探った。

 Zzzz....Z.....


 いびきが聞こえたので、壁ハイハイを使用しそっと扉を開いた。

 キ、キキキ....


 起こさないように慎重に部屋に侵入し、次の部屋につながる扉へ向かった。

 後ろから音がした。


 ばくり。ボリボリ、バリバリ。


 ・・・振り向いてはいけない。きっと今の俺には耐えられない光景が広がっているだろう。

 聞き耳をして次の部屋からは音がきこえなかったので、扉をそっと開け侵入する。


 そこは廊下だった。小さな魔力ランプが点々とついていて、上への階段があった。


 階を上がると最初に目を覚ました部屋だった。

 部屋の奥には扉があり、その中には檻に入った人が6人寝ていたので、壁にかかっていたカギを使って開けておいた。

 一人起きたが、オオカミを見て声を押し殺し震えていた。

 気にせず更に上への階段をあがった。


 そこには酒瓶などが転がっており、二人のごろつきが寝ていた。

 外が見えたので、高速ハイハイで洞窟の出口にむかった。

 またも、後ろから音がした。


 ≪フレイムブレス≫

 ごぉぉぉ!ぼわぁぁぁ!!


 流石に後ろを振り向いて確認した。うん。火事。高速ハイハイで、下の階に戻り、寝てた人をたたき起こして洞窟から脱出したよ!


 洞窟から出るとそこは森の中だった。俺や檻の中にいた人達が火を見てぼーっっとしていると、オオカミは俺を背中に乗せ森の中に走り出した。

 背中にカッコ良く乗れず、ずるずるっと落ちそうだったので、腹側で壁ハイハイを使ってしがみついたよ!


 乳首が見えたので、吸ったら少し乳の味がした。この世界で初めて口から食べた。やさしい味がした。

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