3-②
一週間後にライラプスの親玉であるクイーンを狩ると言われて、既に六日。明日にはクイーンと対峙すると言う今日までの間に、ユーナは何をしていたのかと言うと…
あろうことか、何もしていない。普通は組み手やイメージトレーニングをしたりして、少しでも自分の自信を高めて恐怖に打ち勝つ努力をするべきなのであろうが、レイにそれらのことは一切禁じられた。
代わりに課されたのは、まさかの石拾い。河原で手のひらサイズの小石を探し、背中の背負子に放り込み、「砦」とレイが呼んでいる石でできた建造物に運び込む。延々と…
地味な作業であるが、ある程度石が貯まると背負子が肩に食い込むほどの重さになる。その状態で慣れない山道を登り、梯子を登る。途中草を踏みしめると立ちのぼる濃厚な緑の匂いが足の負担を物語っていた。いや、足だけではなく既にユーナの全身の筋肉が悲鳴をあげている。
ユーナと同じように毎日小指の爪ほどの小石を集める作業を続けるレイも、日に日に顔色が悪くなっていく。慣れているはずのレイでも辛いらしい。
砦と呼ばれている建造物は、メデル山の中腹にある拓けた場所に建てられている。石を組み上げて作られた25メートル四方で高さ8メートル程、幅は2メートルはあろうかという立派な城壁。その造りは堅牢の一言に尽きる。ライラプス程度の力ではびくともしないほど頑丈に組まれ、更には周囲に深さ3メートルはある空堀が掘られている。そして城壁の上には板が敷かれ移動がし易いよう工夫されている。
城壁には南向きに大きな城門が一カ所。ここには太い丸太を組み合わせて作られた門扉を兼ねた跳ね橋があり、城壁の上から操作するようになっている。そして東西に通用口と思しき、頑丈な鉄格子造りのドアで隔てられた出入り口が二カ所。この通用口には何故か長く石畳が敷かれ、それを囲むように石造りの塀が備え付けられており、その全長は30メートルほども続いている。
こんな堅牢な城壁に守られたその中には何があるのかというと…
なんと空き地である。四隅に城壁に登る梯子が備え付けられているだけで見事に何もない。ただの城壁だけの建造物がこの砦であった。
もう何十往復したかわからないその城壁を見つめ、ユーナは肩に手を当てた。
背負子の紐が食い込んでくっきりと跡が残り、紫色のあざができていた。その肩の変色はうら若き乙女にはあってはならぬ痛々しさを放っており、実際呻くくらい痛いのではあるが、それはまだいい。夜になればミリアが治療してくれる。
それよりユーナが不満なのは、この地味な作業に何の意味があるのかと言うことだ。自分には時間がない。一回でも多く剣を振り、一秒でも多くイメージを膨らませ、クイーンと向き合うための強い心を作らねばならない。それをレイに訴えると、レイは笑って答えた。
「そんなの無駄っ!そんなこと考えてる暇合ったら、手動かして、足動かせ」
そのままこの無駄とも思える作業をユーナに促し、ひたすら石集めを繰り返して今に至っている。
ユーナは運び込んだ小石を黙々と城壁に担ぎ上げるレイの背中に視線を移した。その視線は鋭く、その眼差しには怒りの感情が滲んでいた。どうやらレイはユーナを戦場に出すのは反対らしい。だから訓練をする時間を奪うためにこんな無駄な作業を続けさせるのではないか…そしてそのまま引退させたいのではないか…そんな考えが脳裏に過ぎる。
いずれにしても上官であるレイの命令に服従するしかないユーナは、己の焦燥を必死で堪え、ただ黙って貴重な六日間を費やしてレイに従ってきた。
「ユ~ナ~!もうちょっと足りないからお代わり持ってきて~」
そんなユーナの気持ちを逆撫でするような、呑気な声でレイはせっつく。
ユーナは口を堅く引き結び、また小石を拾うべく河原に向かって歩き出した。
その日の夜、兵舎の広い湯船に浸かりながら、ユーナは一人で膝を抱えていた。外では今日もミリアに吊し上げられたレイがギャンギャン喚いている。もはやそれにも慣れ、ユーナはミリアを大人しく待っていた。
ユーナが風呂に入る準備をし、覗こうとするレイをミリアが吊し上げ、その遠吠えを聞きながら二人で風呂に入る。ここ最近で既に定着した一連の流れを今日もなぞる。
ミリアは浴室に入ると、まずはユーナの肩に手をかけ、痛々しい痣を消す。次いでかけ湯をし、一人拗ねたように湯船に身を潜ませるユーナの隣に身を落とした。
「どうしたの、ユーナ。恐い顔して…」
ユーナの機嫌を探るようにミリアが声をかける。
ユーナは今、不満なのだ。そしてそれ以上に不安なのだ。明日はいよいよクイーンライラプスと対峙するというのに、何も準備をしていないこの状況が…
レイから全ての事情を打ち明けられているミリアはそれが手に取るようにわかった。
「…ミリアさん、レイは私を引退させようとしてるんですか?」
その問いかけにミリアは、「ん~」と一声唸ると、ニコッと微笑んで答えた。
「恐らく…半分半分じゃないかな…レイがあなたに引退してもらいたいと思っているのは事実…けど同じくらい側に置いてあなたの成長を見ていたいのもレイの本音かな…」
それを聞いたユーナはパッとミリアを向いて大きな声を上げた。その声は切なく、身が切れるような痛哭が混じっていた。
「でもっ…レイは私にクイーンを狩らせる気なんてこれっぽっちもないじゃないですかっ!!リハビリなんて嘘言ってっ!!剣すら握らせてくれないでっ!!これじゃ…これじゃまるで私をここから追い出したいみたいじゃないですかっ!!」
その声を聞いたミリアは息をのんだ。そのまま顔を水面に向け思考の海に沈み込んだミリアを見て、ユーナは喉の奥にまで迫った言葉を飲み込んで、ミリアと同じように湯船に揺らぐ自分の顔を見つめた。
何度も何度も見て見なれた顔であるが、不思議と今日の自分の顔は別の誰かのような気がした。
ユーナに顔を向けることなくミリアは訥々と語り出す。
「レイにはね、血は繋がってないけど、確かに妹がいるの…その妹にはね、レイは会ったことすらない。けどその妹を見つけ出すのが、レイが軍に入った目的なの。それがね、彼が失ってしまった家族を取り戻すたった一つの方法なのよ…」
「…それが私とどう関係が?」
「…レイの妹はあなたと同い年なのよ。だからレイはまだ見ぬ妹とあなたを重ねているんでしょうね…だからこそ危険な目に会ってもらいたくないし、でも側から離れてほしくないのよ…」
言葉を選びながら、慎重にミリアは答えを紡いだ。真実と虚構をない交ぜにしながら…
レイの触れられない過去の一片に触れ、ユーナは押し黙る。ユーナにも事情があるように、レイにも事情があるようだ。
逡巡し始めたユーナの思考を断ち切るように、ミリアは問いかける。
「ねぇ…ユーナ。あなたは軍で何をしたいの?何が目的で軍に来たの?」
それを問いかけられたユーナは肩をビクッと震わせた。いずれ来るとは解っていたその疑問。答えねばならないが、答えるには余りに苦しいその問いの答えを、ユーナは重々しい気分で吐き出した。
「…笑わないで…聞いてくれますか?」
「ええ、もちろん」
その淀みのない返事を聞いて、ユーナは深く一度息を吸い、ゆっくりと吐き出した。
「ミリアさんは、ガイゼルって言う東の町を知っていますか?」
ミリアは小首を傾げて、心当たりを探す。ふと何年か前の記憶の中にその町の名を探り当て、情報を掘り起こす。
「ガイゼル…うろ覚えだけど、東方大隊の最前線基地がある所じゃなかったかしら…」
「ええ…正確には最前線基地だった場所です。4年ほど前正式に軍の撤退が決定し、今は打ち捨てられた小さな町です。私はそこで生まれ育ちました」
それを聞いたミリアは押し黙った。そのまま目を閉じてユーナの語りに耳をそばだてる。
「自然豊かでとっても小さな町でした。草原の中にある町で、東側一帯には森が広がっているんですよ!その森を抜けると大きな湖があって、小さい頃はそこでずうっと泳いでました。明るくてとっても優しい母と、無口だけど温かい父に可愛がられて、私はその町で育ったんです…」
ミリアは思い出した。軍の佐官級会議で奪還の議案に取り上げられ、即廃案されていたその町の名を…
堕神との戦闘は熾烈を極める。人間と堕神は一進一退の攻防を400年間ずっと繰り返し、飽くなき領土争いを続けている。町の放棄は不幸な出来事ではあるが、けして珍しいことではない。むしろ放棄の決定を覆されたユティナ村が奇跡なのだ。
そしてその奇跡の体言者であるミリアやレイにしても、ユティナ村を維持するならばここから離れることはできない。二人がユティナ村から離れれば、一月でここは放棄されるであろう。他の街を奪還するために、おいそれとユティナ村をあけることはできないのだ。そんな微妙なパワーバランスで戦線は維持されているのである。
そんな歴史に埋没した町の一つがガイゼル…ミリアがその名を覚えていなくても不思議ではなかった。しかしそこに生まれ、そこで日々の暮らしを営んでいた者にとってはそれは身を切られるほど辛いものであり、そして忘れられぬ故郷である。
ユーナの言葉には、言葉にならない無念がこめられていた。
「私のお父さんとお母さんは、五年前に亡くなりました…あの時、私は森の奥の湖で遊んでいたんです。町から悲鳴と大きな音が聞こえてきて…慌てて戻ってみると町の方から黒い煙と焦げ臭い匂いが立ちこめて来ました。私は火事だって思ったんです…急いで家に戻ろうとしたら、町から逃げてきた知り合いのおじさんに抱き止められました。そのまま私は担ぎ上げられ、今まで遊んでいた湖のほとりに連れてこられたんです…」
一息入れるとユーナも目を閉じた。その閉じられた目尻には薄く涙が滲んでいる。
「おじさんはそこで何が起きたか教えてくれました…町が堕神に襲われたこと。今兵隊さんが戦っていること。町の人は湖に向かって避難するように指示が出ていること。だからここで大人しくお父さんとお母さんが来るのを待っていなさいと言われました…おじさんの言葉通り、町の人が続々とやってきました。でも…お父さんとお母さんはいつまでも来ませんでした…」
涙を湯船に一滴零したユーナは嗚咽の混じった声で続きを語り出した。
「次の日の朝、大きな音が聞こえなくなったから…といって大人の人たちが町の様子を見に行くことになったんです。私も行きたかったけれど、子供だからと言われて連れて行って貰えませんでした。でも私はお父さんとお母さんが心配で…こっそり大人たちの跡をつけて行ったんです。
…町は滅茶苦茶でした。家も滅茶苦茶でした。お父さんは壊れた壁に寄りかかるように頭から血を流して死んでいました。お父さんの膝では、お腹が破けて血まみれのお母さんが死んでいました。その姿を見て、私は悲鳴をあげて…気を失いました…」
涙を流すユーナを優しく撫でながら、ミリアはぽつりと言葉を漏らした。
「堕神シーヴァの起源種よね…確か…」
「…そうです。突然やってきて、嵐のように全てを薙ぎ払い、噴火のように全てを燃やし尽くしたんです。お父さんお母さんだけじゃなく、町の人の半分がその日に亡くなりました…兵隊さんもみんな亡くなりました…友達も亡くなりました…優しくしてくれたお菓子屋のおばあちゃんも、服屋のおじさんも亡くなりました…」
涙を拭ったユーナはまた下を向き、水面に移る自分に向かって話し出した。
「それから軍の偉い人が来て、私たちはジェゼナって言う違う町に避難するよう指示がでました。誰にも頼ることができなかった私は、偶然出会った剣術の先生に拾われて…内弟子としてお宅に住まわせてもらうようになりました…そして一年が過ぎた頃、軍がガイゼルの町から撤退すると言う話を聞きました。そのままガイゼルを放棄するって…避難民は政府が援助するから、どこか違う土地に身を移すように…って…」
すっと目を開けたミリアがユーナの泣き顔を見ないようにしながら、言葉をかけた。
「…あなたはガイゼルを取り戻すために軍に来たのね?」
「…はい。私のお父さんとお母さんはガイゼルの集団墓地で眠っているそうです。けれどお墓参りに行ったことはありません…そのせいか、私はあの日見たお父さんとお母さんの死に顔が忘れられません…その顔は全然安らかじゃなくて…お父さんの目からは涙の跡が残っていて、お母さんは苦しそうに目が開きっぱなしでした…私はお父さんとお母さんをちゃんと弔ってあげたいんです…だから…いつかガイゼルを取り戻して、二人のお墓を作ってあげたいんです!そのお墓の前で安らかに眠ってね…って言ってあげたいんです!」
終盤の大きな声が鳴りを潜めるようにユーナは静かに呟いた。
「今も夢にお父さんとお母さんの死に顔が出てきます…二人の辛そうな顔を見るのはもうイヤなんです。笑顔に変えてあげたいんです。でも…でもどうしていいかわからなくて…私にはそれしか思いつかないんです…」
語り終わったユーナは無表情でじっと水面を見つめていた。
「こっちにいらっしゃい…」
ミリアはユーナを後ろから抱きしめ、自らの豊満な胸の中にユーナの後頭部を埋め込んだ。
呆然としたユーナはミリアのなすがまま…いつもの恥じらうあどけない姿は見受けられなかった。
「あなたの行く道は険しいわよ…あなたが思っているよりずっとずっと遠く、そしてその頂は高い」
耳元で囁かれた言葉には実現した当人にしかわからない重みがあった。しかしミリアの言葉はそれで終わらなかった。
「でもあなたが引けないって言うのは良くわかったわ」
その口調には大きな納得と淡い期待が滲んでいた。
「…ミリアさんとレイはユティナ村の放棄を撤回させました…だからこの班に来れたのが、私…嬉しくて…私もここで強くなって…って思ったんですけどね…でも…実際は…」
ユーナの口から漏れる言葉は弱々しい。
「ミリアさん…私…明日が恐いです…勇気の意味ってなんですか?私…どうやったら戦えるようになりますか…?」
ミリアはユーナの髪をなでて困ったように囁いた。
「答えは自分で見つけるしかないわ、ユーナ…勇気はただの結果。勇気のきっかけは人によって違うもの…」
謎掛けめいた言い回し。ユーナには見えない勇気の意味がミリアには見えている。しかしその答えを教える術をミリアは持たない。なぜならミリアの勇気とユーナの勇気は違うから。
それでもミリアは言葉を探し出す。
「ユーナ…アドバイスしましょう」
その一言に釣られ、沈んでいたユーナの面が上がった。
「一つ目は…恐いなら恐いままできることをしなさい。無理に恐怖に立ち向かわなくていい。恐怖を抱えたまま戦いなさい」
「…でも…それじゃ…」
「二つ目はレイを信じなさい。レイが必ずあなたを救ってくれます。それができれば、あなたは必ずクイーンを狩ることはできるわ」
力強く断言するようなミリアの物言いにユーナは押し黙った。そんなユーナを見てミリアはニコッと微笑むと、ユーナの思ってもいなかった言葉を続けた。
「明日は私も一緒に行きましょう。私とレイであなたをサポートするわ…お父様とお母様のために剣を取ったあなたの優しさを…私は無駄にしたくない…!!」
その強い決意を示すように、ミリアは強くユーナの体を抱きしめた。少し苦しいが、ユーナは守られてる気がして、その腕から抜け出す気が起きなかった。
風呂から出て、部屋に戻り、ベットに潜り込めば、運命の朝がやってくる。
今日は眠れない夜になることを覚悟していたユーナであるが、この母親の腕の中にいるような安心感を覚えてしまっては、そんな覚悟も無駄になる。そう確信できるほどミリアの腕の中は暖かく、心地が良かった。
朝食のあと、いつものようにブリーフィングが行われる。しかし今日のブリーフィングに和やかな雰囲気は一切なく、全員が堅い。特にユーナは…
「今日はクイーンを狩ります。ユーナはクイーンの誘き出して砦まで誘導。その後クイーンと対峙」
「…はい」
「レイはユーナのサポート。誘き出しの際はユーナのバックアップ。うまく誘えたなら速やかに城壁の上へ。もし砦まで誘えないと判断したら、その時点で介入。そのままユーナと二人でクイーンと対峙」
「…うい」
「私は城壁の上でサポートに徹します。辺り一帯のライラプスを根こそぎ狩り尽くすいい機会だわ。だけどこの山に絶対はない。必ずミスは起こる。そう思って全員気を抜かないで掃討作戦を完遂しましょう」
「…俺、ミリアが参加するって聞いてないんだけど」
レイの不満そうな顔にミリアはにっこり笑って答えた。
「言ってないもの!けど…ね。ユーナにクイーンを狩ってもらうためなら私は力を出し惜しみしないわ。ねぇ…ユーナ」
そうやって婉然と笑いかけるミリアからは余裕と安心感が感じられる。ミリアの笑みに応えるようユーナも笑って見せた。しかし残念なことに、傍目からはほとんど表情が変わったように見えなかったが…
「…けどそれじゃ意味ない。俺とミリアが出たらもう普通の掃討戦じゃん…ユーナのリハビリにならない!」
「わかってるわよ…でもレイも後衛サポートは普段やってないわよね?慣れないことをやると何が起こるかわからないわ。と言うわけで大佐命令です。この作戦の指揮は私が執ります。質問は?レイ少尉」
「…ありません」
「よろしい。では各自装備の最終確認を。15分後出発。砦に到着後、30分で作戦を開始します!」
「…Aye,Aye,Ma'am」
「了解です!」
二人の返事を聞きながら、ミリアも己の装備を一つ一つ触って改める。いつもの軽甲冑に、ナックルとメタルブーツ。そしてミリアのメインウェポンである、腰に差した二丁の
そしてホルスターに大量に詰め込んだ弾丸装填済みの替えのシリンダー。この銃は、弾丸の装填の際に一度シリンダーを銃本体から外してそこに薬莢を詰め込む形でリロードを行う。しかしミリアは装填時間を節約するため、弾丸の装填を済ませたシリンダーをホルスターに大量に詰め込んでいるのである。
全ての装備と予備の弾薬を確認し終わると、ミリアは二人に目を向けた。
二人も自身の装備をはじめとして準備物の点検を終えたらしい。レイは余裕の顔をして、ユーナは不安と緊張がない交ぜになった顔をして、それぞれがミリアを見ている。
ミリアは一瞬目を閉じ、自分の意識を集中すると二人に向かって声を投げた。
「では、行きましょうか。3人で狩る初仕事です。気を引き締めて!」
サッと踵を返し、メタルブーツの音を響かせながら陽光の下に歩み出す。
女神の美貌と歴戦の武人の雰囲気を併せ持ち、その威風堂々とした佇まいから見る者に畏怖と敬愛を与える一人の淑女。
その後に続く人員は二名。一人は、幼い顔立ちに似つかわしくない精悍な眼差しに自信と冷静さを覗かせる青年。もう一人は妖精と見間違うほどの美しい容貌を不安と緊張に曇らせるうら若き乙女。
一行の目的地はメデル山中腹の軍用施設、通称「砦」。目標はクイーンライラプスの討伐および一帯のライラプスの掃討。
87班の初陣の幕が今ここに切って落とされた。
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