そして、僕は教師になる。

教員採用試験に向かおうとして、家を出ようとした時一本の電話がきた。

──おめでとうございます。貴方は、聖女学院の教師に内定しました。したがって、2日後にもうすぐ、届くであろうものに地図が記載されているので、そちらを見て、こちらへお越しきてください。と。

え?ええぇぇぇええええーーー!!嘘!なんで!僕まだなにもしてないよ!今から、教員採用試験に行くとこだったんですけど⁉というか、聖女学院ってお嬢様学校だよね。それに妹が通っているところだよね!

「お兄ちゃん、学校に行くからね」

「あ、ああ」

「それと、試験頑張ってね」

そして、妹は家を出ていく。

僕の家は、決して裕福ってわけじゃないんだけど、なぜか、妹はお嬢様学校に通わせている。それは、両親の意向らしいが。

というよりもどうしよう。2日後、行く?聖女学院に?やばいわ!これ詰んだ。

妹になんて言えばいいの?

パターン1

──お兄ちゃんな、聖女学院に内定した。

なにも隠さず、言う。これでもいいのだけど、僕が妹に言う勇気がでない。

パターン2

──お兄ちゃん、お前の先生になるわ。

これは、意味がわからんな。

パターン3

──今日、試験頑張った。

よし、これで、行こう。

そして、妹が家に帰ってきた。

「ただいま、お兄ちゃん」

「おう。それで帰ってきて早々で悪いんだけど、実はな、お兄ちゃん聖女学院に内定した今朝は、今日試験頑張ったとか言うつもりだったけど、 案外、素直に出るもんだな。

「え?嘘。今日、皐薔薇さつきばら先生が言っていた。新任の先生が男の人って言ってたのってお兄ちゃんだったんだ」

えー、なに、もう、知ってるの。僕が、聖女学院に行くって。

皐薔薇とか、変わった名前だな。

「でもね、なんか不思議に思うところがあるんだ」

「なに?」

「それは、なんで皐薔薇先生が言ったのかってことなんだよね」

「それは、つまりどういうこと?」

「ん?ああ、皐薔薇先生は、私たちの担任なの」

僕は、真相に気づいてしまった。

それって、つまり、僕が、その担任になるんじゃねと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る