二人のおうさま
その様を王は、自虐する。
全ての決定権は、摂政にある。
知ってか知らないかは分からないが、
『確認、』
と一言伝えたっきり、
黒船は摂政との交渉を
望んでいるように見えた。
自らよりも、
摂政に媚を売るのが賢明だ。
摂政にも自身こそ決定権を持っている
そう、思われているのが腹立たしい
確かに、彼は優秀だ。
自分自身、彼に剣も、文も教わっている。
父は自分が幼い頃に死んで、
全部彼が面倒を見てくれた。
正直、王になった当初、
話し掛けてくれた数少ない存在でもあった。
彼が国の在り方について
悩んでいることだって、
知らないわけではなかった。
でも、自分が決めるべきことを
「お任せ下さい」
「貴方の為に」
なんて言って、
勝手に決められていることが過ぎる。
それでいて、
民衆は皆、彼に心酔している。
困ったことがあると、
全部、王である自分ではなく、
摂政である彼を頼った。
血を見るのが嫌いだったのに、
この国は、彼の独裁で、
次第に
軍国家になっていく。
それが、耐えられそうになかった。
この国は穏やかだったんだ。
確かに、国は豊かになった。
繁栄した。
だから、彼が王であるのは
正しいのかもしれない。
けれど、例え
正しい事だとしても、
異様に見えたし、
単純に
死ぬほど嫌だった。
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