廃墟を射す冴えた青


少年は、王になってから、

自分を嘲笑う様になった。


自身の決断は

いつも間違っている。






そう思わなければならないのに、

王として認められたい自分がいる。


実におかしいことだ。






しかし、もうそれも悩まなくていい。








小さな王の飛行艇國。


暮明が染み込んでいく様は、

終わりに蝕まれる光景と似ている。






しかし、その様な状況でも、

小さな窓から差し込むのは、


爽やかな青空の光









まるで、嘲笑うかのように、

爽やかで平和な光だった。




大衆は虚ろに空を仰ぐ。


透き通る青空が

諦めた眼に映れば鈍さを帯びる。



飛行艇國は自由の青とは、遠い錆色の空間で

どうして真実の青を映せると言うんだろう。





摂政はもう終わるというのに、

現実逃避の様に、現実と向き合っている。


青空から流れてくる鉛の弾を避け、

鉛を撃込む彼らの様子を見て

細やかな指揮をするが、


やはり、声に落ち着きがない。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る