「う」…移ろう主従
『う』…移ろう主従
グレーテは我儘だ。
可愛いから、飼ってみたんだけど
妹って言うのはどうやら
兄の前では可愛いのに、
僕の前では、ちっちゃい女王様でね。
金が溶けた様な柔らかな髪が、たおやかに僕の肩に揺れる。
「次は、お菓子の魔王城も作る?」
「お金と魔力が…」
「わたしはね、もうすぐ貴方に食べられちゃうんだから
今ぐらいはご奉仕してね。痩せちゃうよ?」
「これ以上痩せたら食べる肉なくなるからやめてよ。
君、自分を何だと思ってるの?」
「君の、おやつでしょ?」
「そうだけど……」
その傍から、君の砂糖菓子みたいな甘い香りが鼻孔をくすぐって、
本当に、理性に悪い。
「…やめて、くれないかな…?」
「なんで?」
それを知ってて誘う様に微笑んで、チロリ、と魅せる赤い舌
食べる様に飼ってるはずなのに、
食べちゃいたいぐらい可愛いのか食べたくないぐらいに可愛いのか。倒錯される。
まるで、彼女に食べられていくようだよ
ハンス君。
君の代わりになった、君の妹の心配は要らない。
君よりも賢くて、僕よりも相当な魔女だよ
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