「い」…イスカリオテ
『い』…イスカリオテ
教会で懺悔すれば何もかもを許してくれる。
そうやって信じていた。
それなのに、この感情を吐き出すことが躊躇われる。
まるで罪人の様に眼付きの悪い三白眼
こんな綺麗なステンドグラスを眺めるのは、
やっぱり似合わない。
けれど、罪人だからこそ、
最期の晩餐が描かれたステンドグラスに惹かれてしまうんだ。
「ああ、こんな所にいたの。
ずっと探してたんだけど?」
俺を飼う主人が微笑む。
でも、それでも、貴方は知る訳がない。
「どうして、イエスは、
みんなに優しかったんですか」
「まあ、そうだね、建前…かな?」
「いいえ。
人に愛されていたから
人に愛されたいって感情を知らないんだ
知らない間に、人を、裏切っていた」
「だから、裏切られた?」
「……そう、です」
「ねぇ、優太くん」
「何…ですか、」
「僕は、分かってるから」
「なら、貴方を裏切る前に此処で殺して下さい」
「君を裏切りたくはないけれど、怖くなったら差し出してもいいよ」
「いつか、そうする。それが嫌だ」
「いいよ、それでも
分かってるから」
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