第Ⅶ章 あの日降ってきた石には、彼女の気持ちが込められていた

僕が大事に、保管していた。石。希望石。

その希望石が、ある日、ある日降ってきた時よりも、激しい光を放った。

その光は、部屋中を光の包むほどにもの凄い光であった。

そして、光収まると。希望石が、人型になった。

その人型になった希望石は、まるで彼女のようだった。というか僕が好きになった坂山愛佳その人にしか見えなかった。

「な、なんで………」

と掠れた声がでた。

そして、坂山愛佳にしかみない人は、口を開いた。

「私は、坂山愛佳本人ではない。しかし、坂山愛佳の意思を受け継いでいる。そのため、こうして君の前に現れた。それで相談なのだが、今から坂山愛佳の気持ちを君に伝えてもいいか?」

僕は、なにも考えずに

「はい」

という返事をした。

「そうか。わかった」

僕は固唾を飲みながら、待った。目の前の僕が好きになった坂山愛佳にしか見えない、光の造形に期待をしながら。

そして、やっと口を開いた。

「唐突ですいません。私は、坂山愛佳は、貴方のことが、林道一馬君のことが好きです。でも、すいません。たぶん、これが聞こえている時には 、もう、私はこの世にはいないと思います。でも、伝えたかった。だから、私にも教えてください。貴方が私を坂山愛佳という人物のことをどう思っているのかを」

そこで、声はなくなってしまった。彼女はそこで、いなくなってしまったのか。そうじゃないのか。そんなことは、僕には絶対にわからないことだった。もう、確認しようのないことであった。

僕は、僕は、

「……僕も……あ、貴女のことが好き……でしたよ」

僕は、こんなこと無意味だとわかっていながらも、それでも、伝えたかったから、言いたかったから。自分の気持ちをこの感情のない、唯、坂山愛佳に似ただけの物に自分の気持ちを吐露した。


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