第Ⅵ章 僕の好きだった人。

僕には、好きな人がいた。その人はとても可憐でとても清楚でとても可愛らしい人であった。僕には、到底釣り合うことなんてないだろうと思ってしまうほどにとても、綺麗な人であった。

しかし、ある日のことである。

その彼女はこの世からいなくなってしまった。

僕は、なぜこの世を去らなくてはいけなかったのか。と思ったことはあった。でも、僕が考えたところでもう、そんなのは、唯の僕の妄想でしかない。

だから、僕は、彼女のことを考えることをやめようとした。

でも、やめることができなかった。

僕は、自分が思った以上に彼女のことを考えていたみたいだった。

だからなのか、自分が彼女に自分の気持ちを伝えなかったことを悔やんでしかたない。

これは、僕の幻想であるけれど、もし、過去に戻れる物があったのなら、僕は、彼女がこの世からいなくなってしまう前に自分の、その人のことが好きですという気持ちを伝えたいと思う。でも、これは、唯の、そう唯の幻想でしかない。もう、叶うことのない願い。

決して叶うことのない願い。

でも、それでも、どこでは、叶えたいと思っている自分がいた。

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