アリンコ
そびえ立つ岩壁を背にして、赤髪ショートカットの女性が大型犬はどのサイズの大量のアリと対峙していた
「くそ!こっちに来るんじゃない!
[
呪文詠唱と共に赤く大きな花が現れ、そこから花びらが舞う
その花びらがアリに触れた瞬間、爆発し吹き飛んでいく
しかし、その場から吹き飛ぶだけで地面に着地するとすぐに立ち上がりまたジリジリと向かってくる
「この威力では倒すには至らない!
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ![
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
ズドォォォォン!!
「なにっ!?」
激しい轟音と共に目の前に何かが落ちてくる
土埃のせいで視界はよく見えない
「やっぱり、アリアだったのね!」
美しい髪をボサボサにし、土埃と涙目のナノが肩を掴む
「ナノ!ナノじゃないか!
どうした!?なぜ上からおちてくる!?」
「説明は後!この状況をなんとかしないと・・・」
「[
呪文が唱えられると辺り一面に、魔法陣が大量に展開され、そこから業火と言えるほどの火柱が上がっている
そこら中から生き物の焼ける匂いと、虫の呻き声が響き渡る、まさに地獄絵図だ
「お、終わったみたいだね」
ナノが苦笑いで地獄絵図を見つめる
「アーミーアントか・・・
巣を潰さないとまた湧くなこの害虫は」
煙の中から、手をポケットに突っ込んだフレアが歩きでる
「なんて魔力だ・・・
私達とは桁違いだぞ」
ナノの同僚であるアリアが驚いていると何事もなかったかのように、フレアが岩に座って休みだす
「おー、こりゃまた可愛い人だね
俺はフレア=アイテールだ」
「あぁ、ありがとう
私はアリア、このナノと共にこの場所に調査にやってきた、よろしく」
アリアはすっと右手を差し出した
「よろしく」
グッと右手で握り返した瞬間
ボロッと右腕がもげた
「うおぉぉぁぁっ!?」
「ありゃ、悪い悪い
まだちゃんとくっついてなかったみたいだわ
さっきもげたからさ」
「な、ナノ!?何者なんだこいつは!!」
「あ、うん
ちゃんと説明するね・・・」
ナノはやれやれと、ため息をついた
「つまり、あなたはアンデッドととしてこの世に蘇った勇者殿ということか?」
「んー、まぁそうなるな」
「ナノ、お前はそれをなんの疑問もなく信じたのか?
勇者フレアは千年前の人物、そんな者がアンデッドとして蘇ったなんてにわかには信じられないだろう?」
アリアの言うことはもっともだ
普通は疑うところだろう
「でも、彼の強さは見たでしょう?
私も助けてもらったし
それに彼の持つ剣につけられたエンブレムを見てよ
勇者の持つ剣にのみつけられたマークよ?
この剣を持ってることが証拠じゃない?」
「しかし、誰もその真実を証明できない以上、簡単に信用するわけには・・・」
「まぁ、あんたの言うことはもっともだな」
フレアはすっと立ち上がると、首の骨をぼきぼきと鳴らした
「じゃあ、俺のことを知ってるやつのところへ行って証明しよう
心当たりがある」
「心あたり?そんなのあるの?」
「まあな」
「ふむ、まぁ助けてもらって申し訳ないがあなたをこのまま放置するわけにもいかないからな
調査結果もここは、魔物凶暴化の兆しありで問題ないだろうし、その心当たりという場所へ連れて行ってもらおうか」
「おっけー
じゃあみんなで楽しく遠足といこうじゃない」
フレアはにこやかに微笑むとずんずんと歩き出した
「おい、本当に彼が勇者だとしても、勇者ってあんな感じなのか?」
「それは私も思った」
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