薄荷

 無人の縁側に寝転がりながら

 密かに夏の鼓動を感じる


 風鈴を揺らす白南風の息吹と

 喉の奥に残るハッカの匂い


 いつか夢の裡に追いかけた逃げ水は

 今は金魚鉢一つ分のスケールに収まっている


 今日も変わらず微笑む貴女は

 それでもどこか垢ぬけたようで


 細れ霧が晴れた今にこそ

 私は太陽に手を伸ばそう

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