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今日もこの街は、何一つ変わらずに暮れてゆく。
皆が慌ただしく雑踏を往く中で、僕は一人、学校の屋上に昇って星を見ていた。
こんな所で立ち止まっていていいのかと訊かれたら、苦笑いで返す他ない。
何か深い考えがあったわけでもないけれど、この満天の星を前に、僕の足は自然と止まっていたのだ。
どれだけ一生懸命に腕を伸ばしてみても、空の天辺で輝く十六夜には、指先だって触れる気配はない。
空を飛べるヒーローだとか、炎を操れる魔法使いだとか、色んなものに憧れてきたけれど、僕は結局僕のままで、きっと明日も変わらない。
明日は蝶になるかもしれない蛹の青虫に思いを馳せるのは、きっと間違っているのだろう。
でも、今だけは、終わらぬ夢を見させて欲しい。
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