Twitterのヘッダー用に書いた文章
五臓六腑を喰らう西の獏
有触れた伝承のように我々の街には憺々と辺境造りの紫煙を蒸かす心臓が存在し、噛み合わない歯車は夙に錆びついた空上の歴史を呪っていた。
妄心に狂う東の牝豹
静寂の中、微かに眼を開いた鈍色の鰐は、粗末なドレスに身を包んだ明日葉の貴婦人に永遠を誓い、宛ら茫漠の砂上の如き蜃気楼と、ミリ単位に整えられた廃城のミシンに、カタカタと笑うのでした。
踊る乙女の命がそう遠くないことを知りながら、弟切草の叢に迷い込んだ白兎は、安住を求める釈迦の御足に縋りつく猩猩蠅の如く、朧々と立ち竦む罪の重さに思わず息を呑み、零れた涙は裁縫針の先端程の価値もあったろうか。
私が知る限り、金堂の間に奉られた件の冬は、約三十名の生贄と彼自身が見立てた幾億の能面によって殺されたと聞きます。夜分の遅い時間ではありましたが混濁するアイスピックを振り被った一双の蛇を抱いて消えたようです。
偶像の隙間に身を置くことはそう簡単ではない。青年が一人消える音を聞いただろう。本郷において斑紋の間隙に佇む白鼻芯は神の使いとされております故。稲妻の落ちる随にトランシーバーを放すのであれば、帰り道にはお気を付けを。
もし優しい貴女がこの暗闇に落ちるのならば、私は道を照らすランプとなりましょう。
貴女の不安に絆された心を、私の赤い炎で溶かすのです。貴女の碧い瞳に涙が浮かばぬように、楽しい御伽を語ります。暴力的な言葉の波と、退廃的な生還者の凱旋が決して貴女の輝きを奪うことのありませんように。
落日の夕方、安寧を約束された我が国に降った神の杖は、一撃にして惑いし王に引導を渡すこととなりました。嘗てこの地に光が宿っていた時、私は我が王国の宝――――則ち繧「繝ェ繧ケ王女の頽れる様をただ眺めていることしかできませんでした。民は生きる屍となり、幾億の星が地上へ堕ちたあの日を、私は今でも在り在りと思い出す事ができます。
悔恨は既に引き返し難く、混沌が新たな平生と成りかけた今日ですが、私の心に燃ゆる闘志が炭になるにはまだ足らないようです。この願いが貴女の下へ届くのに何度盈虧が繰り返されようとも、私の身が消えてしまうその日まで、私が希望を捨てることはありません。
残された時間はあと僅かとなりましたが、私は貴女の勇気が必ずや旧き営みを取り戻すであろうことを確信しております。彼の詩人が紡いだ物語は、今私に引き継がれ、新たにこの世の光となりましょう。
その日を、この暗い井戸の底でいつまでも待ち続けております。
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