ダメ姉は、誘惑する(その5)

 愛する妻、コマに抱かれなくなり倦怠期の疑いが出てきた。それを打破すべく、頼れる親友・後輩ズに力を借りて『コマ誘惑作戦』なるものを実行した私だったんだけど……


「……ひぐっ……ぐすっ……うぅう……」


 …………結果は、惨敗。知恵を出してくれたカナカナ&レンちゃんは恍惚の表情でリタイアし、最後の希望だったヒメっちの策も通じず。

 私なりに頑張ってはみたもののこれっぽっちもコマを誘惑できず、負け犬さながらにコマのもとから逃げ出して体育座りで泣きべそをかいていた……


「……ダメだ、やっぱダメじゃん私……」


 私をあれほど必死に求めてくれた蜜月はどうなったのコマ……?魅力を感じて貰えなくなったのか?いいや……そもそも私に魅力なんてやっぱしないのでは……

 この駄肉か?この胸と尻にしこたま仕込んだ駄肉がダメなのか?醜くぶくぶく太ってるのがダメなのか?私のこの残念子豚幼児スタイルじゃ、抱くに抱けないのか……?


「…………こまぁ……」


 どんよりどよどよ。自分の魅力の無さに絶望して今までになく落ち込んでしまう。コマ……ねえ、おしえて……お姉ちゃん、何がわるかったのかな……?


「―――あのさ、マコ。何に対して落ち込んでるのかはアタシは知らん。興味もない。ぶっちゃけ落ち込むのはどうぞご勝手にって感じだがよ」

「…………なにさ」

「……なんでアタシの部屋で、それも仕事中のアタシの前で!ウジウジめそめそ落ち込んでんだテメェ!?仕事の邪魔すんなや!手が離せないの見てわかんねーのか貴様!?」

「慰めてほしんだよぉ!?相談に乗ってほしいんだよ!?泣いてる姪を前にして、それでもアンタ保護者かよぉ!?」

「知るか阿呆ぉ!見ての通りこちとら絶賛修羅場なんだよ!?泣きたいのはむしろこっちなんだよ!?」

「修羅場なのはいつもの事でしょが!つーか、時間あれだけあったのにサボりまくった叔母さんが悪いんでしょうが!?」

「サボってねーもん!書くための英気を養ってただけだもん!」


 今更コマの部屋には戻れない。自分の部屋には倒れたカナカナたちがいる。そういうわけで、避難ついでに最終手段として叔母さんの部屋へと駆けこんだ私。

 そんな傷心中のかわいい姪に対して慰めもせずにさっさと追い返そうとする叔母さんは人の心が無いと思う。


「ハァ……んで?今度はなんだよ。何を下らんことで悩んでるんだ?まあ、お前の悩みなんて200%コマ関連の事なんだろうけどさ」

「決めつけないでよね。…………いやまあ、実際その通りなんだけどさ。実はね―――」


 ひとしきりお互いギャーギャー言い合ったところで。執筆中だった叔母さんは観念したようにため息一つ吐き、手を休めて私の話を聞いてくれる。

 まあ私も叔母さんごときがこの悩みを解決できるとは思っていない。が、他にもう当てもない。とりあえずあまり期待はせずに現状報告をしてみることに。



 ~マコ説明中:しばらくお待ちください~



「コマに……抱かれなくなった……?え?あいつが?マコを?抱かない……?」


 はじめどうでも良さげに私の話を聞いていた叔母さんも、説明を終えるころには流石に少し驚いた顔を見せる。


「あー、そういや最近ギシギシアンアン聞こえなくてよく眠れるなーってちょっと思ってたけど、そういう理由があったんだな。そうか……そういう事か…………あいつがマコを抱かないなんてあり得るのか?例え40℃の熱を出そうがマコを全力で抱きに行く奴だろコマは」

「人の妹を性欲魔人みたいに言わないでほしい。流石のコマもそうなってまで抱こうとはしないでしょ……」

「いーや、奴なら抱くね。……それだけに確かに妙だな。マコのスケベな格好、イケメンな男装、違法スレスレロリ風味―――そんなご馳走を前にしてあいつが耐えられるはずがない。こりゃマジで何かあったとしか思えないな」


 そんな叔母さんの考察に少し意外に思う私。あれ……?


「……ねえ、叔母さん」

「あん?なんだよマコ」

「叔母さんも、カナカナたちと同じで……私の魅力がなくなって……そのせいでコマに愛想尽かされたとは思わないんだね」


 遠慮のない叔母さんなら『コマはきっと、マコのこれこれこういう部分に魅力を感じなくなったんだろう』ってはっきり指摘してくれると思ってたのに……


「ねーよ。アホ抜かせ。あいつはマコの良いところは勿論、ダメなところもすべて含めて愛する女だぞ。例えお前が今以上にブクブク太っても『ヤバいです……うちの姉さま、抱き心地最高すぎじゃないですか……イタダキマス』とか言いかねない女だぞ」


 そんな私の疑問をバッサリ切り捨てる。うーん……そういうもんかなぁ……


「ちなみにマコよ。お前さんがコマに抱かれなくなったのって一体いつからなんだい?」

「え?ええっと……流石にはっきりとした日時とかは覚えてないけど……多分一か月くらい前から、かなぁ……?」


 別に一か月前に何か特別な事があったような記憶はないんだけど……そう思いながら叔母さんに告げると、


「……一か月くらい前?それって……」


 何故か叔母さんはいかにも何か心当たりがあるという雰囲気を出し始めたではないか。


「ひょっとして、アレか……?いや、でもまさか……いくらあのコマが考え過ぎなきらいがあるとはいえ……だが……」

「叔母さん……?」

「…………奴ならあり得る、か?味覚障害も相貌失認もやらかした奴なら……あいつ極端すぎるもんなぁ……」

「お、叔母さん。どういう事?一か月前に何かあったの……?」


 ブツブツと何やら考え込む叔母さん。ひょっとして叔母さんは何か知っているのか……?


「……マコ。直接、コマに聞いてみな。アタシがこの場で色々考察するよりか、それが一番手っ取り早いだろ」

「えっ!?で、でも……」

「心配すんな。今回の件……コマがお前さんを抱かなくなった理由だがよ、おそらくお前側に非があったわけじゃないはずだ。全部コマの問題だろう。お前が問い詰めれば理由くらい普通に答えてくれるぞ」

「そう、かな……そうかも……?」


 ……まあ確かに。こんなところであれこれ理由を考えたところで、状況が変わるわけでも無し。コマに直接理由を聞くのが一番だろう。

 そろそろほとぼりも冷めた頃だろうし、腹をくくってコマのもとへ乗り込んでみるか……


「わ、分かったよ……ちょっと準備して行ってくる」

「おうおう。とっとと行ってこい。仕事の邪魔だからよー






ま、そう気張らずとも安心していいと思うぞマコ。あいつはお前を抱かなくなったんじゃなくて―――死ぬほど抱きたくても抱けなくなっただけだろうし。それも……実にくだらない理由でな」



 ◇ ◇ ◇



 叔母さんの部屋を出てから1時間後。念入りに準備完了した私は再びコマの部屋の前へとやってきた。

 そう、準備自体はすでに万全。隅から隅までお風呂で身体をきれいに洗い湯につかり、一度上がった後で『いや、まだ足りないんじゃないか……?』と思い至りもう一度だけ身体中を洗い湯につかり、再び上がって『いいや、もう少しだけ洗い残しがあるかもしれない』とUターンして最後にシャワーを浴びてきた。


「………フーッ……よし」


 やれることは全部やったわけだし。あとは勇気をもってコマのもとへとはせ参じるのみ。ここまで来たら、あとは当たって砕けるだけだ。……いや砕けちゃ不味いけど、それくらいもう後がないってことね。



 コンコンコン



『は、はい……』

「……コマ、私。マコ……今ちょっと、良いかな?」

『姉さま……!ど、どうぞです!』


 ノックを済ませ、本日何度目かのコマのお部屋へお邪魔する。中へ入ると申し訳なさそうな顔のコマが私を出迎えてくれる。


「……」

「あ、あの……マコ姉さま」

「……」

「ひ、ヒメさまから聞きましたよ。どうして姉さまが先ほどから……私を誘惑しているのか、その理由を」

「…………」

「ち、違うんです。誤解のないように説明させてください。わ、私はですね―――」


 コマは私の顔を見るなり、可愛らしくあわあわと慌てながら何やら説明しようとし始める。けれどもバスローブ姿の私はそんなコマの話の途中で羽織っていたバスローブに手をかけ、



パサッ



「ッ!?ね、ねえ……さま!?な、なな……何、を!?」


 そのままぱさりと床に落とした。バスローブの下には何も着けてなどいない。つまりは……今の私は一糸纏わぬ姿。そんなはしたない姿で、コマの前に立っていた。


「お、お風邪を……召してしましますよ姉さま。は、早く何か着て……」

「……どうして」

「え……?」

「どうして、抱いてくれないの……コマ」

「ぁ、きゃっ……!?」


 そう言い切って、私はコマに体当たり。たたらを踏んだコマは後ろのベッドに横たわる。ごめん、こんな乱暴な真似をして。でも……ホントにごめんね、もう抑えられない……


「ねえ、コマ……コマ……!私、魅力ないのかな?私の事、飽きちゃったのかな?……こういう事したがってるのって……ホントは私だけだったのかな?」

「姉さま、胸……胸を、胸が……」


 コマの手を取り、自分の胸に導く私。コマの手が何も着けてないありのままの私の胸に……すでに痛いくらい固くなった蕾に触れると、身体が自然とピクンっと跳ねてしまう。


「悪いところがあるなら、お姉ちゃん頑張って治すよ。魅力がないなら、コマに魅力的って思ってもらえるように頑張る。コマの望むことなら私はなんだってする。コマのしたいように、私を好きにして良いんだよ。だって……私はコマのものなんだから……」

「姉さま……」

「だから、教えて。どうして……どうして、抱いてくれなくなったの……?私、何か悪い事しちゃったの……?お姉ちゃんの事、嫌いになっちゃたの……?抱きたく、ないの……?ねえ、どうして……コマ、コマコマこまこまぁ……」


 コマに馬乗りになりながら、情けなくも必死にそう問いかける私。あまりに情けなくて、あまりに必死だったからか。問いかけている最中に涙がぽろぽろ溢れてコマのお顔にかかってしまう。

 あー……ホント、情けないったらありゃしない。妹に抱いてもらえないからその妹を押し倒して、涙まで見せるだなんて……


「…………姉さま」


 そんな私の涙をふき取り、そして頬に手を添えてコマはため息を吐きこう告げる。







「そんなの、抱きたいに、決まってるじゃないですかぁああああああっ!!!」

「ふぇ……?」


 コマの魂の声が家中に木霊する。こ、コマがこんなに大声上げるなんてびっくりした……


「姉さま抱きたいです、抱きたいに決まっているでしょう!?なんなんですか!?今日なんて、あんなにセクシーに決まった服着たり……あんなにカッコいい格好で私に迫ってきたり……あんなに愛らしい姿で無邪気に抱きついてきたり……!拷問ですか!?死ぬかと思いましたよっ!私が、どれだけ!どれだけ今日これまで死ぬ気で耐えていたと思っているんですか!?どれだけ死ぬ思いで我慢してたと思っているんですか!?理性がぷつんと切れて、頭の中沸騰しかかってましたよ!?自分の手を握りしめすぎて、歯を食いしばり過ぎて血が出てましたよ……!鼻血止めるのにテッシュ10箱使う羽目になったんですよ!?何なんですか!?姉さまは天使で悪魔なんですか!?」

「えっ、え……?」


 想定外の反応に戸惑う私。耐えて、た……?我慢……?…………抱きたかったぁ!?


「ちょ、ちょい待ち!?どういうことそれ!?なんで、なんで我慢なんてそんな……無意味で無慈悲な事をしてたの!?」

「そ、それは……そのぅ……」

「コマ、ちゃんと分かるように説明!」


 新手の放置プレイか何かなの!?お姉ちゃん焦らしプレイでもしていたのコマ!?わかんない、余計にわかんないよ私!?再度問い詰める私に、コマは観念した表情で説明を始めた。


「……これは一か月ほど前の話です。叔母さまととあるバラエティー番組を見ていた時の事なのですが―――」



 ~コマ回想中~



【女の子必見!彼氏に愛される彼女の成り方講座!】


『もっともっと愛されたい!これから先も彼氏に愛してほしい!そんな女の子の為の恋愛講座、今週も始まりました!皆さんこんにちは、司会の―――』

「やれやれ。恋愛講座ねぇ……こんなの個人個人の恋愛観があるだろうに、当たるもんなのかねぇ?」

「あはは……どうでしょうね。もしかしたら参考にはなるかもしれませんよ」

「っても所詮バラエティーだしなぁ。テキトーに脚色されてるもんだろこんなん。アタシの小説みたいなもんだろどーせ」

「れ、恋愛小説を主に書いている人がそんな身もふたもない……」

「アタシはフィクションだって割り切ってるからなー。恋愛とかそういうのぶっちゃけどうでも良いって昔から思ってたもん」

「で、ですが叔母さま?折角編集さまとお付き合いする事になったわけですし、ちょっとは恋愛の事も考えましょうよ。ホラ、ちょうど今こういう番組があってるわけですし、勉強だと思って……」

『―――さて先生。さっそくですが【彼氏に愛されない女の子の条件】とはズバリどんなものなのでしょうか?』

『そうねぇ。やっぱりアレよアレ。『求めすぎる女』は地雷よね』

「…………ぇ」

『ほうほう。それはつまりどういう事でしょうか?』

『決まっているわ。嫌がってる彼氏を相手に無理やり『愛情を証明したい』とかなんとか言って性交渉求める女。アレはダメダメね。絶対長くは続かないわ』

「!?」

『独りよがりなのよね、ああいうの。『体目的だったのか』って逆に嫌われちゃったり冷めちゃう原因にもなり兼ねないの。エッチすれば彼の心をつなぎとめられる?愛を確かめたくて毎日エッチした方がいい?逆よ逆。心の癒しとか安らぎの為にも求めすぎちゃダメ!そういうのやり過ぎちゃうと―――すぐ破局するわよ、わかってんのかしらテレビの前のそこのアナタっ!』

「~~~~~~ッ!!??」

「うへぇ……なんだこの化粧濃いオバハン……なぁコマー?これ見るのやめよーぜ。つまんねーよ。なんか他の…………おぉ!ボクシングやってんじゃん!こっちにしようこっち!」

「…………(ガツガツは、ダメ……体目的だって思われる……破局……)」



 ~コマ回想終了~



「…………それが、理由……?」

「…………(コクリ)」


 恥ずかしそうに顔を赤らめコクリと頷くコマ。あまりにアレな理由に、私は拍子抜け。えぇー……そ、そんなアホみたいな番組に影響されて……私は一か月近くも抱いてもらえなかったの……?


「じゃ、じゃあ……私の魅力がなくなったとか……そういうアレでは……」

「ち、違います!?先ほどヒメさまから何故姉さまが私を誘惑していたのかは聞いていましたが……マコ姉さまの魅力がなくなるわけないじゃないですか!?日を重ねるごとに、魅力は増しているっていうのに……!現に今現在も進行中で、ドキドキされっぱなしで誘惑されているのに!」

「……今もドキドキ、してる?」

「してます……ドキドキ通り越して、ムラムラです……でも、体目的で姉さまを愛してる―――それだけは、想われたくないから……だから……」

「だから、抱かなくなった……と?」

「……はい」


 そっかー……そういう事だったのかー……ようやく理由も判明したところで、私は脱力しながらホッと息を吐く。


「…………ハァ。あのね、コマ」

「えっ?あ、はい……」

「そういうの、いいから」


 ホッとしたところで言うべきことは言っておこう。そうじゃなきゃコマはこれから先も私を抱いてくれなくなる。それはちょっと……コマにとっても、私にとってもつらい事だわ。


「他の人の恋愛観は知らない。どうでも良い。……コマがムラムラしたら、いつでも良いよ。抱いて。コマが好きなように、私を抱いてくれるといい」

「で、ですが……!」

「性欲も……それから気持ちも、想いも。溜めすぎるのは過ぎるのは良くないと思う。そうじゃなきゃパンクしちゃうよ。色々とね。ただでさえ色んなものを溜め込み過ぎた結果、コマは味覚障害とか相貌失認を患ったことがあるわけだし」

「ぁう……」


 痛いところをつかれたようでコマの反論は小さくなる。叔母さんの言うとおりだ。コマって頭良過ぎて余計な事を考えちゃうし、頭良いはずなのに極端すぎるんだよね……

 まあ、そこがコマの悪いとことでもあり魅力でもあるんですけどねっ!


「私の為に我慢してくれたのは嬉しいよ。でも……今までコマは我慢してきたわけじゃない?私に恋をしてくれた長い年月の間、コマはずっと我慢していたわけじゃないの。だったらその長い年月の分、我慢なんてしないでほしい」

「姉さま……」

「……つーかさ。ガツガツ求められて、私の愛が冷めるとコマは思ってんの?私のコマ愛はその程度だと思われてたわけなの?どうなの?んん?」

「えっ、あ……いえそんな事は決して……」

「……ガツガツ求められたら、私の場合は更に愛は燃え上がるに決まってんでしょうが!お姉ちゃんのコマへの愛を、舐めないでほしい!舐めるのは私の身体だけにして頂戴な!」

「は、はいっ!」


 まったく。コマも困ったものよのぅ。私がどれだけコマの事を大好きなのかちゃんと理解できてないようだわ。これは……時間をかけてちゃんと教えて行かなきゃね。それこそ一生涯をかけてね。


「そういうわけだから。どうかコマは今まで通り私の事抱いてくれると嬉しい。愛してくれると嬉しい。私もコマが迫ってきたら、全力でコマの事求めちゃうから。ね?」

「……本当に、抱いてもよろしいのですか?求めても大丈夫なのですか……?」

「ハッハッハ!大丈夫も何も…………付き合い始めてからあれだけコマに色々調教かいはつされた私なわけだし、コマにされない方が大丈夫じゃない身体になったんだよ!?辛いんだよ!そこんとこ分かってんのコマ!?」

「ご、ごめんなさいっ!?わ、分かりました姉さま!」


 この一か月、自分だけが我慢してたと思わないでほしい。私ももうマジで限界ギリギリなのよ……自分で発散しようにも満足できない身体に変えられちゃったんだよ?ほかでもないコマの手で。


「分かればよろしい。んじゃコマ。謝罪を兼ねて一つ姉として命令します」

「命令……!?は、はい!お好きなように!」

「よし。なら命令です―――あたためて」

「ぇ……」

「こんな格好の姉を、コマは放置しておくの?ひどい妹もいるものだねぇ?」

「あっ……」


 ちょっぴりイジワルにそう誘う私。意図を察したコマは頬を染める。


「……その。あたため方は……どのようにご所望でしょうか?」

「抱きしめて。できれば……素肌同士で。ああ、それと……」

「はい」

「……一か月我慢させた分、きもちいい事してくれると……嬉しいかな」

「……喜んで♡」


 そうしてコマは私にキスをして、そしてあっという間に服を脱ぎ捨て私を抱き始めた。


 これは余談だけど。この後さっき着たカナカナたちチョイスの服をもう一度わざわざ着せられて。んでもってそれぞれのシチュエーションを使わされて。それはもういっぱいいっぱい愛されました。

 …………あと。自分から調子に乗ってそんな風に誘っておいて何だけど。マジで我慢させられた一か月分を帳消しにするくらい全力でも愛されて……あまりの激しさに色んな意味で丸一週間ほどベッドから動けなくなりました……

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