第49話 ダメ姉は、感謝する

『来週旅行に行くから、お前らちゃんと準備しとけよー』


 マジで何の前触れもなく唐突に叔母さんに告げられた、一泊二日の旅行計画。その準備に追われて慌ただしくバタバタとしていたら……気づけばあっという間に旅行当日となっていた。


「んー……快☆晴ッ!こりゃまた見事に晴れたねー!海水浴にはこれ以上ないってくらいの天気!良いねぇ良いねぇ!」


 雲一つない真っ青な空の下、大きく腕を伸ばしながら叫ぶ私こと立花マコ。この空の濃い青さ、じりじりと照り付ける日差し、そしてセミたちが忙しく鳴く喧噪……まさに夏真っ盛りといったところだろう。


「本当に良く晴れましたね。こういう日に海で姉さまと遊べるなんて最高ですよ」

「ねー!私もこれで思いっきりコマと一緒に海を堪能できるよ!」


 叫ぶ私の隣で、上品に白い日傘を差した妹のコマが同意してくれる。ホントに晴れて良かった。これでもしも今日の天気が大雨だったり台風直撃とかだったりしたら折角の海旅行が台無しだもんね。

 この楽しい旅行当日にこんなにも晴らしてくれたお天道様に感謝感謝っと。


「ところでさコマ。今日は日傘を差してるんだね。なんか珍しいよね?」

「ええ。こんなにも日差しが強いわけですし、折角なので使ってみようかと」


 ふと気になって尋ねてみると、日傘をくるくると回しながらコマは応えてくれる。普段のコマならこういう時は麦わら帽子を被っていることが多いから、日傘を差している姿はちょっと新鮮だ。


「…………あの、姉さま?もしかしてこれは……に、似合いませんかね?ちょっとカッコつけすぎだったりします?気取り過ぎてたりしますでしょうか?」

「へ?……ああいや違うの。寧ろその逆だと思ってるよ」

「逆……?」


 ……似合わない?違う、逆だ。死ぬほど似合っている。今着ている白いノースリーブと青いロングスカートという涼しげなファッションも勿論似合うけど……それ以上に日傘を差して佇んでいるコマの姿は、思わず写真を撮りたくなっちゃうくらい非常に絵になっている。

 正直私たちくらいの年頃の女子が日傘なんざ差してたら、気取っているように見えるんだけど……何というかコマの場合はクールで大人びている雰囲気のお陰かそういう気取ってる感じが全然しない。寧ろ……


「寧ろ、品の良い本物のお嬢様とかお姫様みたいに見えて凄く良いなーって思ってさ」

「え……っ!?そ、そうですか……?」

「うん、よく似合ってるよコマ。超素敵だと思う」

「あ、ありがとうございます…………(ボソッ)姉さまに、褒められた……やった……♪」


 そんなコマの佇まいに見惚れて褒めてあげる私。褒められたコマは俯いて恥じらいながらも、頬を染めて嬉しそうな表情をしている。

 ……見た目は知的にクールにかっこよく、それでいてこういう愛らしい初心な反応を見せてくれるとか……やだ、うちの妹ったら何しても素敵。


「そ、それにしても叔母さまたちはまだでしょうかね?時間的にはそろそろだとは思いますけど」


 褒められたことに対して照れ隠ししているようでまだ少し頬を染めたまま、コマは急に話題を変えてそんな事を私に聞いてくる。そんなところも可愛いぞコマ。


「ああ、それなら一応さっき連絡とってみたよ。すぐに来てくれるってさ。―――っと。噂をすればだ。ほらアレ見てよコマ」


 なんて話をコマとしていると、タイミング良く後方からクラクションを軽く鳴らされる。振り返ってみると6人乗りくらいの大きさの車がやってきて、私とコマの傍にゆっくりと停車した。その車の運転席側のドアが開くと中から……


「お待たせしてしまい申し訳ありませんマコさん、コマさん。準備に少々手間取ってしまいまして」


 小説家である叔母さんの担当の編集さんが、遅れたことに対して本気で申し訳なさそうにしながら現れたではないか。


「編集さんお疲れ様です。大丈夫ですよ、私たちそんなに待ってませんから。ねっ、コマ?」

「そうですね。それよりもお忙しい中、私たちの旅行に付き添って頂き本当にありがとうございます。今日明日はよろしくお願いしますね編集さま」

「いえいえ。こちらこそすみません、私なんかが付き添うなど……本来ならば折角の家族旅行に水を差すところですのに……」


 編集さん・私・コマの三人はその場でペコペコ頭を下げながら礼と謝罪をし合う。うーん、なんて典型的日本人気質な対応なのだろうか。


「マコ、コマ。こいつに対してそんな挨拶はいらねーよ。それよかさっさと入りな。時間勿体ねーぞ。…………それと編集!ドア開けっ放しにすんな!外の熱気が車の中に入って暑いだろうが!つーか三人ともなーにそんなところでモタモタしてんだ!さっさと行くぞ!」


 ……その一方でそういうの全く意に介さない傍若無人気質な人もいるけど。助手席に乗っている叔母さんが、何やらぶすっとした態度で私たちに声をかける。


「……そうですね。お二人とも。めい子先生の言う通り、まずはとにかく車内にどうぞ。外で待つのは暑かったでしょう?お二人の荷物は私が入れておきますから、ゆっくりと涼んでいてください。荷物を詰め終えたらすぐに出発しますからね」

「「はい!」」


 編集さんのご厚意に甘えて荷物を預ける私とコマ。そのままクーラーの効いた車内へとお邪魔することになった。



 ◇ ◇ ◇



「それじゃあ改めまして。編集さん、今日は本当にありがとうございます」

「何から何まで本当に助かります編集さま。本来ならばこちらで行うべきことでしたのに……」


 旅行用の荷物と私とコマ、そして叔母さんを乗せて高速道路を軽快に走る車。その車内で私とコマは運転中の編集さんに改めて感謝の言葉を送ることに。


「とんでもありません。こちらこそ無理を言って皆さんの付き添いをやらせて貰っちゃって……助かりますよマコさん、コマさん」


 その言葉を受け取って爽やかに返答する編集さん。相変わらず優しいなぁこの人……ありがたいや。


「……編集。そう思ってんなら遠慮せずにとっとと帰れー。今すぐ帰れー」

「編集さんにご足労かける原因作った叔母さんは黙ってて。……すみません編集さん。ホントにうちのダメ叔母が。姪として恥ずかしい限りっスよ……」

「ハハハっ!良いんですよマコさん。いつもの事ですから気にしないでください」


 そんな編集さんに対して『帰れ』などと無礼なことを言う叔母さんを諫めてミラー越しに頭を下げる私。ったく叔母さんめ……いつも編集さんに世話になってるくせに、なんでこんなに強気でいられるのか不思議だよ全く……

 今回だって編集さんのお陰で旅行に行けるようなものなのにね。


 ……さてと。そろそろどうして私たちの旅行にこちらの編集さんが付き添ってもらっているのか、説明しなければなるまい。

 それは先日……そうだ、私とコマが選びっこして選んだ水着を購入し、二人仲良く帰宅した際の出来事である。



 ◇ ◇ ◇



 ~マコ回想中~


『ねえ叔母さん。聞いても良いかな?』

『あー?何だマコ?』

『準備に追われてつい聞きそびれてたけど、一泊二日の旅行って事は…勿論ホテルとか宿とかはもう予約してるんだよね?一体どこに泊まるのかな?それとさ、海ってどこの海に行く予定なの?』

『ん?ホテル?宿?……予約?』

『と言いますか、よくこの時期に海の近くの宿を予約出来ましたね叔母さま。夏休みですし、今まさにピークシーズンでしょう?予約を取るのは相当に大変だったのではないですか?』


 旅行の準備を急ピッチで終わらせて、一息入れるついでに叔母さんにそう話題を振ってみる私たち。

 この時は旅行を提案してきたのは叔母さんなんだし、てっきりすでに叔母さんも準備完了しているハズだろうと私は勿論コマも思い込んでいたんだけど……


『いいや、別にまだなんもしてないけど?』

『『……え?』』

『だからさ、別にホテルの予約とかしてないぞアタシ。旅行は一週間近く先の話だし、今から急いで予約する必要ないんじゃないのか?大体そんなことしなくても適当に探せば宿くらい見つかんだろ』

『『…………』』


 そんな無責任な叔母さんの発言に二人で唖然。開いた口が塞がらなくなってしまう。……そう。この叔母さん、提案するだけ提案しておいて私たちの予定を確認せずに旅行に行くぞと勝手に決めただけに留まらず……行くつもりだった海の近くにあるホテルや宿の予約をしていないと抜かしてきたのである。


 これには流石に頭を抱えた。何せコマの言う通り、夏休みに入ったわけだしホテルや宿はもうどこもかしこも旅行客でいっぱいのハズ。

 実際慌ててすぐさま海の近くのホテル等に連絡をつけてみた私だったのだけれど……


【ええっと……そうですね。……今からご予約なさるのでしたら、大変申し訳ございませんがキャンセル待ちくらいしか……】


 と無情にも伝えられた。……つまりは慌てて済ませた旅行の準備も、コマと共に選びっこした水着も全部無駄になってしまったというわけで……


『―――ということがありましてね。……もー!ほんっとにあの叔母さんってダメ人間ですよね編集さん!人を振り回すだけ振り回しておいて…結局旅行の話は無しになったとか、信じられませんよね!?』

『……な、なるほど。先生が無計画すぎて家族旅行が白紙に戻ってしまった……ということですか。……ふむ』


 そのことをその日の夜、叔母さんの失態をメル友・電話友達であり私やコマの頼れる相談相手の一人である編集さんに電話越しに愚痴っていた私。

 そんな私の愚痴を静かに聞いてくださっていた編集さんは、しばらく黙って何かを考えていたご様子だったのだけれど……


『あの……マコさん。もしマコさんやコマさんが宜しければですが……してみましょうか?』

『……へ?』


 なんて、提案してくださったのである。



 ◇ ◇ ◇



 ……というわけで。実にありがたいことに、今回の私たちの白紙に戻った家族旅行のすべてを面倒見てくれた編集さん。

 今私たちが乗っている車は編集さんの車だし、運転しているのだって編集さん。それどころか今回の旅行先の下調べ、海近くで程好いお値段のコテージの予約交渉に至るまで何から何まで編集さんが行ってくれたのである。ありがたすぎて足向けて寝られないわ……


「やれやれだ。こういうことは提案者の叔母さんが率先してやらなきゃならなかったのに……なにやってんのさ叔母さんは」

「だってしゃーねぇだろ……アタシだってここしばらく忙しくてそれどころじゃなかったしさぁ」

「だったら無計画に『旅行に行くぞ』とか提案しないでよね……あと、ちゃんと叔母さんも編集さんにお礼言いなさい」

「姉さまの仰る通りですよ叔母さま。今回の件は勿論のこと、普段からご迷惑をおかけしているわけですし……こんな時だけでも編集さまにきちんとお礼を伝えるべきです」


 助手席でふんぞり返っている叔母さんに注意する私たち。なんでこの人自分でやらかしておいて偉そうなんだろう?


「…………そりゃ、確かに旅行計画を組み直してくれた事に関してはありがたいけどさぁ……」

「けど、何さ?」

「…………何で編集も付いて行く流れになったんだよ。……これさ、一応アタシたちの家族旅行だぞ?アタシだって車の運転は出来るんだし、わざわざ編集が付いてくることは無かったじゃんか……」


 運転している編集さんに、頬を膨らませたまま嫌味っぽくそんな失礼極まりないことを言い放つ叔母さん。編集さんも今回の旅行に付いて行くことになった時からずっと不平不満タラタラなんだよねこの人……

 正直二、三発叔母さんは編集さんに殴られても文句言えないと思う。ここまで尽くしてくださっている人に向けて良い態度じゃないからね。あと叔母さん、子どもみたいに不機嫌に頬膨らませて文句言っても可愛くないし似合わないから是非ともやめて欲しい。


「……そもそも別に初めの計画通りでも良かったんだよ。最悪車の中で寝泊まりすりゃいいし、それが嫌なら日帰り旅行に変えればいいわけだしよぉ……なーんでコイツまで付き添うことになるだか」

「ええいまだ言うか。……一体編集さんの何が不満なのさ叔母さん。これ以上大人げなくウダウダ愚痴るなら、編集さんより先にこの私が怒るよ」

「姉さまに同意します。編集さまに失礼ですよ叔母さま。謝罪と感謝の気持ちを言葉に出して伝えるべきです」


 もう一度叔母さんに注意する私とコマ。だけど編集さんはにこやかに首を振って『大丈夫です』と言ってくれる。


「良いのですよマコさん、コマさん。正直な話、めい子先生が私の同行に不満があるのも無理はありませんよ。私はちゃんと先生が不機嫌な理由も理解していますから気にしないでください」

「……ほー?その言い分だと……編集、お前さんにはアタシが不機嫌な理由がわかると?」

「ええ勿論です。私と先生は長年の付き合いですからね。先生はつまりこう言いたいんでしょう?」

「…………よし、言ってみろや」


 そうして編集さんは一旦言葉を区切ってから、


「折角コマさんとマコさんが百合百合イチャイチャしている―――もとい仲良くしているのに、男である私の存在が邪魔である、と!」

「やかましい。全然ちげーよこの百合男子ドアホウが」


 素敵なスマイルを浮かべて高らかにそんなことを告げてくる。うむ、その発想は無かった。


「マコさん。そしてコマさん……申し訳ございません。先生の仰る通り「おい待てバカ者、だからアタシはそんな事一言だって言ってねーからな!?」お二人の邪魔になり兼ねない私ですので……今回の旅行に同行するかしないかは、かなりギリギリまで悩んでいたのです」


 心の底から申し訳ないと言いたげな表情で、運転しながら編集さんが謝ってくれる。……大きな声では言えないけれど、実を言うとこの編集さん……とても聡い事に私のコマへの想いに結構前から気付いているらしい。

 そしてそのことについてちょくちょくアドバイスをくれたり時折色んなフォローをしてくれている理解者さんなのである。いやぁ……ホント良い人だわ。


「ですがめい子先生の場合、去年のように『家族旅行に行ってくる』と書いたメモだけ残して一か月近く仕事を放り出して雲隠れしてしまう恐れもありますし……何より旅先で酒に溺れてトラブルを起こしてしまう可能性も無きにしも非ずですからね」

「「ですよねー」」

「そこの双子、勝手に納得すんな」


 長い付き合いなだけあって、相変わらずこの人よく叔母さんの行動パターンを読んでるよね。感心しちゃうわ。


「そうなれば今後の仕事に影響が出るだけでなく、お二人の楽しい時間もご破算になってしまいます。……その辺りの予想されるトラブルと私が付き添う事とを比較考量した結果、付き添う事を決めた次第です」

「…………お前はアタシの保護者か何かかよ。……昔からそうだ。だから付いてきてほしくなかったのによぉ……」


 苦笑いをする編集さんと助手席でガックリ肩を落として絶望している叔母さん。そんなわけで旅行の計画+叔母さんが何かやらかした場合の保険に、叔母さんの保護者役兼監視役として私たちの旅行に編集さんが付き添ってくれることになったのである。

 叔母さんの事を面倒見てくれる人がいるのはマジで助かるよね。その分コマとイチャイチャ海水浴出来る時間が増えるわけだもの。


「楽しい家族旅行に水を差すような形になってしまい申し訳ございません。決してお二人の邪魔はしないように努めますからね。私の事は是非とも都合の良いパシリか、もしくは空気だと思ってください。お二人が望むように行動しますし何でしたら視界の入らないところに下がりますので」

「そんな……全然気にしなくて良いんですよ編集さん。付いてきてもらえて嬉しいって思ってるくらいですもん。ねっコマ?」

「そうですよ編集さま。編集さまが安全なお方なのは昔から私たちも知っていますから。編集さまも私たちに気を遣わずに旅行を楽しんでもらえたら嬉しいです」

「……ありがとうございます。そう言って頂けるとこちらとしても安心しますよ」


 私たちのそんな言葉に編集さんはホッとした表情を見せる。私もコマも編集さんには昔からお世話になっているわけだし、付いてきてくださった事に感謝こそすれ邪険に扱う理由など一つもない。叔母さんの面倒見てくれてることも含めて、今度改めて礼をしなきゃならんね。


「……ああ、そうだ。マコさん、コマさん。そのお礼と言ってはなんですけど……一つ良い話があるのですが」

「「良い話?」」


 なんてことを考えていたら、編集さんの方からそんな話を切り出してくる。お礼に良い話……?何だろうか?


「実はですね。今回私が予約したコテージ……ちょっとしたありましてね」

「問題、ですか?それは一体……?」

「それがですね……この私の不手際で、ついうっかり寝室が二部屋しかないコテージを予約してしまったのです。いやぁホントにうっかりしてましたよ。ハハハっ!」

「は、はぁ……えっと、それがどうかしましたか?」


 ……ひょっとして、寝室が足りないから誰かが車の中で寝泊まりしろってことかな?まあ私ならそれでも構わないんだけど……でもそれのどの辺が良い話なんだろうか?


「ええ。ですから大変心苦しいのですが……」

「「ですが?」」

「…………今夜はマコさんとコマさんで一部屋、めい子先生と私で一部屋ずつ寝室を使うという事にしませんか?」

「「っ!?」」


 編集さんの一言に思わず身を乗り出して真剣に聞く私。……な、何ですと? それはつまり……コマと一緒の部屋で寝泊まり出来るという事……っ!?

 い、いや待て落ち着け立花マコ……もしかしたらこのナイスガイな編集さんの事だし、コマと一緒の部屋で寝泊まりどころか―――


「ち、ちなみに編集さん?つ、つかぬことを聞きたいのですけども……」

「そ、その寝室のベッドの数は……おいくつでしょうか編集さま……?」


 そんな私とコマの問いに対して、編集さんは満面の笑みを浮かべてこう返す。


。ダブルサイズのベッドが一つだけですよマコさん、コマさん。いやぁ、本当にすみませんねお二人ともー(棒)」

「「心の底からありがとうございます……っ!!」」


 確☆定……!本日はコマとの添い寝、確定だぁああああああああ……っ!バックミラー越しに親指を立ててサムズアップしている編集さんに死ぬほど感謝する私。編集さん、アンタ神だよ神。

 そんなこんなで未だ本命の海に辿り着いていないというのに盛大に一喜一憂している私たち立花姉妹を乗せて、編集さんが操る車は真っすぐ目的地へと走る。ありがとう編集さん。お陰で今回の旅行、より一層楽しみになりましたよ……!






「……オイ、ちょっと待てやシュウ」

「?何ですか先輩―――じゃなかった、何ですか先生?」

「黙って聞いてたけどよ。今のお前の話からするとよ……アタシとお前も今夜添い寝することになるんだが……?しかもあろうことか、ダブルのベッドで」

「ええ、そうなりますね。それが?」

「…………そのことについて、お前は何かアタシに言わなきゃならないことがあるんじゃ無いのかい?」

「言わなきゃならないこと?ええっと……?ハテ?何でしょうか?」

「ヒント:お前男、アタシ女。ここまで言えばわかるよな?」

「……ああ、そういう事ですか。安心してください先生。私と先生が一緒に寝たところで―――過ちなんて起こるハズないじゃないですかHAHAHA!」

「HAHAHA!…………運転中だったことを神に感謝するんだなシュウ。じゃなきゃ今頃ボコってたところだぞテメェ……!いっそのこと、こっちの方から夜襲してやろうかこのヤロウ……」

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