四月の妹は可愛い
第4話 ダメ姉は、叔母を語る
夕暮れ時の桜並木。風に吹かれ桜の花びらがひらひら舞う中を、私たち立花姉妹は歩いていた。
「―――もうこんな時間でしたか。今日はいつもよりも少しだけ遅くなっちゃいましたね姉さま」
「だねぇ。全く、新学期始まったばっかりだってのに、皆好き放題に厄介事を押し付けてくるんだからほーんと困ったもんだよねー」
退屈な授業、そして放課後のボランティア部としての面倒な頼まれごとを今日も無事に終わらせて、仲良く我が家に帰る私とコマ。17時を過ぎて夕日が沈みかけ辺りは真っ赤に染まっている。時間も時間というわけで、部活生たちもほとんど下校しているようで周囲には私とコマしか見当たらない。
授業はともかく本日も毎度のことながら、先生も生徒の皆もどれだけ私たちを酷使させるんだと思うくらい仕事や雑用を押し付けてくる結構ハードで疲れる放課後だった。
そういう部活動だってことはわかっているしあの部室を二人独占して使わせてもらっているから大きな声で文句は言えないけど、あくまで自主的な奉仕活動だってことを分かって欲しいと思う。ホント何でうちの学校には生徒会とかないんだろうか……?
「コマ、今日もコマは皆に引っ張りだこだったけど……大丈夫?疲れてないかな?」
「私は大丈夫ですよ。これでも私鍛えてありますし、慣れっこですので。そういう姉さまこそお疲れではありませんか?」
「私?ふふふ、見ての通り元気元気。超元気だよー」
まあけれど、コマと一緒に楽しく作業が出来て……しかもコマとおててを繋いで下校という、最上級に幸せなご褒美のお陰でそんな疲れなど水平線のかなたに吹っ飛んでしまっている私。いやはや、我ながら何とも単純で便利な身体をしているよね。
「それは良かったです。姉さまの元気が私の元気ですから」
「ははっ!そういうことならコマはいっつも元気ってことになっちゃうねー。コマと一緒なら私は元気100倍、無敵になれちゃうし」
「ふふっ♪でしたら私も姉さまと一緒なら無敵になれちゃいます。なんたって双子ですからね」
そんな他愛のない姉妹同士の会話をしばらくしていると、ようやく我が家が見えてくる。程好く歩いて行ける距離に学校があるのはやっぱり通学的に助かるね。
自転車通学だとこうやって二人で誰にも邪魔されずにイチャイチャ仲良く登下校するのが難しいし、電車通学とかだと可愛いコマを狙った痴漢を
「あ。そういやあの人は仕事終わったかな?」
「あー……どうでしょうね。今朝もかなり切羽詰まっているっておっしゃっていましたけど」
「むぅ……ならやっぱ今日も部屋で缶詰状態か。そんじゃ、また私たちとは別の軽く摘まめるもの作ってやらなきゃいけないかなぁ……ありきたりだけどサンドイッチ系のヤツで良いかな?」
なんて言いながら鍵を開けて扉を開ける。仕事の都合上、この家に住むもう一人の住人は普段からこの家から出ることはほとんど無い―――どころか、部屋から出ることがほとんど無い。一応本人の名誉のために言っておくけど引きこもりってわけでは無いけど。
とにかく返事は期待せず彼女の仕事の邪魔にならないように、極力小さな声で帰宅の挨拶をしてみることに。
「ただいまー」
「ただいま帰りました」
『おー、やっと帰ってきたかー』
「「……あれ?」」
私たちの予想に反してちゃんと声が返ってくる。しかもいつもいる部屋の中からではなくリビングから聞こえてきた声に、思わず私もコマも顔を見合わせてしまう。
おや……これは珍しいこともあるものだ。とりあえず声のしたリビングに私たちも向かうことに。
「よう。遅かったなお前たち。また例の奉仕活動の部活かー?」
「お、おお……珍しい。叔母さんが部屋から自主的に出てきてる……」
「おいマコ。帰って早々人のことをヒッキーみたいに言うなっての。失敬な奴だな」
「お疲れ様です叔母さま。遅くなってしまい申し訳ありません」
「ん、お前さんもご苦労さんコマ」
リビングには、ソファの上でぐでーっと寝転がっている一人の女性の姿が。その人は当然コマには負けるものの、それでも中々のプロポーションを持っている美人さん。
…………だというのに、どてら+ジャージと言うズボラで何とも残念なファッションをして、多分この人を好きになった人にこんな姿を見られたら百年の恋も冷めるだろうなとちょっぴり心配してしまう恰好のまま私たちを迎えてくれる。
「ま、ともあれお帰り二人とも」
「「ただいま叔母さん(叔母さま)」」
どこか私たち立花姉妹に顔立ちが似ているこの人は―――宮野めい子さん。母方の叔母だ。前にも説明したと思うが、以前コマが倒れた時私が一番頼りになれる大人と判断して救急車を呼ぶついでに頼った人で……今は私たち双子の保護者みたいな存在をしてくれている。
……ああそうだ。叔母さんの説明ついでに、また少しだけ昔話をしようか。コマが一命をとりとめた後の話だ。
◇ ◇ ◇
「ちょ、ちょっと待ってくれめい子君……それは流石に……」
「あー?流石に何だよ?この期に及んでオメー何か言いたいのか?」
「だ、だからねめい子……私たちも反省しているし―――」
「やかましい。反省するのが遅すぎなんだよ、姉貴も旦那もな。……この子たちは、私が預かる」
叔母さんが私たちを引き取ってくれると言ってくれたのは、コマの退院の日の事だった。
「今回マコが上手いこと立ち回らなかったらマジでコマ死んでたんだぞ。小学生が出来たことすらアンタらは出来てねぇんだ。それでも親なのか?あ?」
「そ、れ……は……。だ、だがねめい子君。子供の教育上、親と子を離すのは良くないかと……」
「教育上良くない?ふざけんな。毎日毎日碌でもないこと子供の目の前で言い争ってアンタらはこの子たちに一体何の教育をしてきたんだ?……反面教師にすらなんねぇよバカが。そもそもアンタらが気にしているのはマコやコマのことじゃなくて―――世間体だろが」
「「……」」
何というか良くも悪くもサバサバとした性格の真っすぐな叔母さんは、前々から私たち双子の事を気にかけてくれていた。本来両親がすべきだったコマの入院の手続きを代わってしてくれたのも叔母さんだし、診断の時も忙しい中一緒にいてくれたしお見舞いも退院の手続きも全部ひっくるめてやってくれていたのである。
「そんな屑共にこいつらは任せられないね。どうせ近いうちに同じことやらかすに決まってるもん」
「…………っ!(ボソッ)な、何よ偉そうに……子育てもしたことないくせに」
「聞こえてんぞクソ姉貴。ま、確かにその通りだ。子育てどころか結婚も、特定の誰かと付き合ったことすらねぇよ。……だが少なくともアタシのところに来ればマコもコマも聞きたくもない口喧嘩は聞かなくて済むと思うがね。さて、アンタらのところに残るかアタシと一緒に来るか、この子たちにとってはどっちがマシだろうねぇ?」
「「…………ぅ」」
「……安心しな。別にアンタらから親権を奪う気はねぇよ。あくまで預かるだけだ。それにマコとコマの生活費や養育費、それから住む家はアタシが全部引き受けてやる。それで文句はねぇな?な?」
そんでもってコマを危うく死なせかけた件もあり色んな意味で業を煮やした叔母さんが、両親を黙らせて『アタシの家に来ないか』と提案してくれた。
再度両親のいざこざでコマの味覚障害がこれ以上悪化しない為にも、そして私たちが安心して暮らしていける為にも、前もって叔母さんは手配してくれていたらしい。
「―――まあ、そうはいっても。決めるのはマコ、コマ。お前たち二人だがな。……マコ、コマ。お前さんたちのかーちゃんが言った通り、アタシは子育てなんざしたことない。先に言っとくけど家事全般ダメだし、仕事が忙しくて構ってやれないことだって多いだろう。それに赤の他人……とまでは言わないが、どう頑張ってもアタシは親代わりにはなれても親にはなれないから」
……色々と考えてくれていたからこそ、その最終的な選択は私たちに委ねてくれた叔母さん。言葉遣いもその言葉もぶっきらぼうだけど、それでも優しい表情で私たちの目線に立って問いかけてくれた。
「それでも―――それでもだ。お前たちは、このアタシが絶対に守ってやるって約束する。で、どうだ?二人とも、どうする?とーちゃんかーちゃんのところに残るも良し。アタシのとこで勝手気ままに過ごすも良し。自分たちで自由に選びな」
「「……」」
当然、私たち双子の返事は決まっていた。その叔母さんの問いに、私とコマはお互い目を合わせハモるようにこう答える。
「「おばちゃんと、いっしょに行く」」
◇ ◇ ◇
そんなこんなで6年経った今でも叔母さんにお世話になっている私とコマ。約束してくれた通り、住む家も私たち個別の部屋も(私としてはコマと一緒の部屋が良かったんだけど)私たちが安心して暮らせる環境も与えてくれた。
勿論不器用ながら父や母から与えられなかった愛情もだ。遠慮なんてせず困ったときはお互い助け合い3人家族としてこの家で暮らしている。今となってはこの叔母さんの家こそが私たちの帰るべき場所だ。
「それにしても……お前ら仕方ないとはいえ、毎日よくもまあ奉仕活動とか続けられるよなぁ……アタシは無理だわ。アタシはアタシの仕事で手一杯だし自主的にそういう事するとかホント無理。自分の時間は自分の好きなことに使いたいねぇ」
「そうでしょうか?ボランティアも結構楽しいですよ。ねぇ、姉さま」
「うむす。コマと一緒ならなんだって楽しいからねー」
「ふーん……暇なんだなお前さんたち。あーあ、羨ましい限りだよ。アタシも暇が欲しいねぇ。仕事なんてしたくないねぇ」
叔母さんの仕事は物書きで、普段は自身の部屋に籠ってあーでもないこーでもないと文字を綴っている。一体どんな本を書いているのかは聞いたことは無いけど、そこそこ―――それこそ私たち双子を養える程度には売れているとか。折角だし今度叔母さんが書いている本を読ませてもらおうかな。
「暇とかなんて失礼な。これでもかなり忙しいんだよ私たち。……てかそういう叔母さんこそ何か随分暇そう―――と言うか余裕そうだけど仕事はもう良いの?何か煮詰まってるって今朝は言ってたけど、ちゃんと終わったの?」
「そうですよね。叔母さまはもうお仕事は片付いたのですか?」
それはそうと朝は栄養ドリンク片手に青い顔で『締め切り……ネタ……明日までに……』とあれほど切羽詰まっていたというのに、この人こんなに余裕ぶってて大丈夫なのだろうか?まあこんなところで寝転がっているという事は仕事も終わった証拠なんだろうけど……
「……」
「「叔母さん(叔母さま)?」」
「……あー、うん。大丈夫。終わったから」
私とコマの問いかけに、何故か歯切れの悪い返事をする叔母さん。……何その反応?ちゃんと仕事が終わったならもっと胸張ればいいのに。
「そ、そんなことはどうでも良いんだよ!それよかさぁ……帰ってきてすぐで悪いけどマコ、お前さんに頼みがあるんだけど聞いてくれるか……」
「ん?なぁに叔母さん?」
「……はらへった。お願い、急いでメシ作って……」
「……はいはい了解」
話題を変えるようにタイミングよくグーッとお腹の虫を鳴らしご飯の催促をする叔母さんに思わず苦笑いしてしまう私とコマ。一応叔母さんにお世話にはなっているけれど、最近はどちらかというと私たちが叔母さんのお世話をしている気もしなくはないねこりゃ。
やれやれと言いながら鞄をとりあえずリビングに置き、いつものように愛用の【妹LOVE】と刺繍を施しているエプロンを取り出す私。
「あ……姉さま。その、ご迷惑でなければ私もお手伝いしましょうか?」
「うん?ああ、大丈夫大丈夫。下ごしらえとかはある程度朝のうちに済ませてたから特にお手伝いは必要ないよ。すぐに作るから叔母さんと一緒に休んでてねコマ」
そんなご飯の準備に取り掛かった私に対して、優しくて気遣い上手なコマが手伝いを申し出てくれる。その気持ちは死ぬほど嬉しいんだけど……今日も部活の手伝い、先生の手伝い、生徒たちの悩み相談と色々と引っ張りだこでコマも疲れただろうしここはゆっくり休ませてあげよう。料理は私一人で十分だもんね。
そう思いながら軽い気持ちでコマのありがたいお誘いを断ると、
「そう……ですか。わかりました。まあ、確かに私では足手まといになるだけですからね……使い物にならないダメで邪魔な妹でごめんなさい姉さま……役立たずな自分が情けないです……」
「……は、はぁ!?」
そう言って目を伏せて悲しそうな表情を見せるコマ。その瞳には一滴の涙が―――って!し、しまった……っ!?私のバカ、コマ悲しませちゃダメじゃないか!?
「いやいやいや!?ダメとか邪魔とか全然そんなんじゃないからね!?そ、その……これはホラ、コマの手を煩わせるまでもないからであって、決してコマが足手まといなんてそんな―――」
「……ふふっ、ごめんなさい。冗談ですよ姉さま」
「…………へ?」
と、慌てて駆け寄って手を握る私に、くすくすと笑ってその手を握り返してくるコマ。ポカンとしている私に舌をぺろっと出して小悪魔スマイルを見せてくれる。え、えっと……じょ……冗談?
「からかっちゃってごめんなさい。大丈夫、わかっていますよ。こういうのは適材適所ですものね。食事に関しては姉さまに全部お任せします」
「……あ、ああなんだ冗談か……よ、良かった……」
どうやら私をからかっていたらしいコマ。ちょっぴり心臓に悪いそんなコマの冗談に内心ホッとすると同時に……少しだけ嬉しさも感じてしまう。学校ではみんなの憧れ的な存在で常に清く正しく美しくを地で行く子だけど、家に帰ったら嬉しいことにこんな風に私に対して甘えてくれるコマ。
これって私がコマに甘えてもらえる存在って認められてる証拠だし、姉冥利につきて嬉しい。何より学校や余所とのギャップが堪らなく愛おしくてコマの姉として生まれててマジで良かったって思える。ああホント、マジ幸せ……
「もー、ビックリしちゃったじゃない。コマったらお茶目なんだから。でも学校では絶対に見られないそんなお茶目で可愛い表情も素敵だよコマぁ……っ! 」
「そ、そうですか?姉さまにそう言って頂けるのはとても嬉しいです。では夕食は申し訳ございませんがよろしくお願い致しますね」
「まっかせて!コマの為だけに、お姉ちゃんが超絶美味しいの作ってあげるからねぇ♪」
「(バンバンバン!)マーコー!アタシのメシも忘れんなー!つか妹とイチャついてないでさっさとメシ作れー!」
「あーもう!わかった、わかったから待ってってば叔母さん!もー……」
お茶目にコマにからかわれ、叔母さんに駄々をこねられながらもキッチンへと向かうことに。いよっし、気合も入ったし今日も美味しいご飯でコマを幸せにしてあげようじゃないか!……あと、まあついでに叔母さんのも。
さて。ちょっと意外と思われるかもしれないけど、色々とダメな私にも多少は得意なことがある。料理だ。
これは同居人である他の二人が料理を不得手にしているからこそ磨かれた、私の数少ない趣味であり唯一の特技でもある。
「コマー、今日の献立の他に何か食べたいものあるかなー?料理でもいいし、食べ物でもいいから言ってみてよ」
『えっと……そうですね。うーん……あ。姉さま、確か貰い物のタケノコがありましたよね?旬ですし出来たらタケノコ料理を食べてみたいです』
「おっけー、じゃあタケノコ使って一品なんか作るねー」
『ありがとうございます。楽しみにしてますね』
まずコマの場合は……元々器用な子だから包丁の使い方は中々だし、多分レシピ通りに作れば問題ないとは思うけれど―――味覚障害を患っているせいであまり料理はやりたがらない。一応私と予め例の如く口づけをして味覚を戻しておけば普通に作れるとは思うんだけど……
以前料理の途中で
「叔母さんは何か追加で食べたいものあるー?」
『何でもいいー。いいからはよ作れマコー』
「相変わらず料理人泣かせなこと言ってくれるね……いっそ献立変更して叔母さんの嫌いなものフルコースで作ってやろうかー?」
『アタシの嫌いなもの以外なら何でもいいー』
そんでもって叔母さん。本人も忙しい身だから料理を作る暇はあまり無いようだし、何より一緒に暮らす以前から豪語していた通り家事全般がダメらしく、料理とてその例外ではない。
何というかその性格通りに料理も大ざっぱで、たまに手伝ってくれてもキャベツの千切りを頼んだのに全く切れずに繋がっていたり、形や大きさがまちまちだったりするのは当たり前。何も考えずドバドバと調味料を入れ込むし、調理時間も適当で……しまいには悪い意味でお約束のお米を洗剤で洗ったりもして……
というわけで。叔母さんに引き取られて以来料理に関しては私がなし崩し的な形で六年間欠かさずやってきた。料理を始めたばかりの頃は絆創膏と火傷痕が絶えなかったけれど……継続は力なりとはよく言ったもので。ダメな私でも今ではすっかりこの家の調理担当だ。
「んじゃ多分一時間以内に何とか作ると思うから、二人でテレビでも見ながら待っててねー」
『わかりました。もしもお手伝いできることがあるなら遠慮せずに私を呼んでくださいね姉さま』
「ありがとー♪その時はお姉ちゃんコマにいっぱい頼っちゃうからねー♪」
ま、私としてはコマは応援してくれて、そして私のご飯を楽しみにしてくれることこそが一番のお手伝いなんだけどね!
『えぇー……一時間もかかんのかよ。んじゃしゃーないし待ってる間は菓子でも食べるとすっかなー』
「…………叔母さんや。夕食前の間食はあんまりして欲しくないんだけどなぁ……あ!それと先に言っとくけど、コマ用のお菓子食べたら叔母さんの夕食無しだからねー!」
『わかったー、じゃあマコ用の菓子貰うわー』
「おいこら待てい。……いやまあ私も今ダイエット中だし、コマのお菓子に手を出さないなら別にいいけどさぁ」
子どもかアンタは。叔母さんの発言に苦笑いしつつエプロンを装着。今日のメニュー自体はいつものように決めているお陰で献立について今からあれでもないこれでもないと悩む必要はない。それに効率が良いようにある程度の下ごしらえは昨晩と今朝の時点ですでに終わっている。
そんなわけで対して迷わずキッチンに立つと、すぐさま冷蔵庫から使う材料を取り出して調理に移る私。
『あの、叔母さま?今おやつ食べたら折角の姉さまのご飯が食べられなくなりませんか?』
『しゃーないだろ、腹減ったんだし何か食わないとやってられないよ。今日は朝も昼も食う暇無かったしなぁ……それにメシはメシでちゃんと食べるから安心しときなって』
『……なら良いですけど。…………ですが、そう言い切った以上、何が何でも、絶対に、死んでも……姉さまのお夕食を残しちゃダメですからね叔母さま。もしこれで姉さまの料理がお腹いっぱいで食べられない、なんてふざけたことを言うようでしたら―――叔母さまといえど、私とっても怒りますのでお覚悟を』
『わ、わかってるってば。絶対に残さんからそう睨みなさんなコマ……』
リビングから聞こえてくるコマと叔母さんの何やら楽しそうな会話をBGMにトントンとリズミカルに包丁で材料を刻む私。
さーてと、さっきからギャーギャーうるさい叔母さんも、それから愛しい妹のコマもお腹を空かせて待っているんだ。超特急で美味しい夕ご飯を作ってあげようねー
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