4-2 帰還 パート2
魔法陣の巫女――
この異世界のガイド役であり、被召喚者の力の
本来、かのじょが喚ぶべきは、魔法陣に適正のある人間だ。
たいていの転移・転生は、理不尽なストレスや理不尽な突発的死に晒され、その瞬間未練を伴った強烈な思念を発することで異なる世界とチャンネルするものが多い。
だが、一連の説明をまとめて考えれば、なるほど少女と連絡をとることができた少年は、そういうケースではなかったということになる。異世界に行くきっかけとしてはめずらしくない類例であるところの『聴こえないはずの声に耳を傾ける』タイプだったのだ。もうひとつの典型例だったのに、予測の外だった。
【うかつですね】
「だが……あいつは出会い頭に『ライト』で失神させたじゃないか」
【効きが悪い対象はきわめて短時間で復活しますし、前後の記憶が残っている場合もあります】
「『選ばれしもの』か……ふざけてやがる。ふんじばっときゃよかった」
【われわれの証拠がばっちり残ります】
(そうだった……)
しっかりしろ、おれよ。
【脳波パターンに狂いが見られます。女の子がどうなったのか気になっていますね】
「おれたちも追わないとならん」
【自動帰還システムを使用するには、まずスタート地点の草原まで戻る必要があります。空間ジャンプのチャージにはあと数時間】
「あちゃあ」
【かのじょと世界間通話を試みましたが、接続はしましたが返事がありません。なんらかの物理的妨害がある可能性が高いです】
「あの小僧が? そんな強硬手段をとるやつには見えなかったが」
「ひとは見かけによらないもんだろ?」
(たしかに……)
おれは背後から無造作にかけられた声に、ゆっくりとふりむいた。
「さっきはどうも、おじさん」
現れていた新たな転移魔法陣の上に立っていたのは、なんの変哲もない、いかにもふつうの高校生みたいな少年。
なんにだって、なれるやつだ。
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