終曲「火の鳥」(1)




 ――――そんな目で見るなよ。




 君が俺に対して、失望しているは知ってる。




 俺だって失望している。




 情けない自分に――――。




 警察に――――。




 正義に――――。

 




 正義は、小さい悪には気づけない。

 


 悪は人の中に溶け込み、曖昧で見えなくなる。



 だから、いつの間にか増大した悪意に、寝首をかかれる。

 


 それどころか、偽善の仮面を付けて正義を語る。



 悪は、俺の身近な警察に潜り込んで、正義を偽善にすり替えて行った。



 俺は情けない奴だ。



 自分の正義がいかに脆弱だったか知り、悪の怖さに腰が引けて、不正に目を閉じてしまった。



 情けない。


 

 だが、そんな俺でもな。




 今が、はっきりと悪だってのは解る。




 だから————————————————正義の出番だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る