第6話 ゴブリンさんと族と類
学園に到着したミューとゴブリンさんだったがここでも案の定、周りの目は気持ちの良いものではなかった。
「みて、あれ」 「あれが噂の、、、」
「本当にゴブリンだ」 「服着てるw」
わざとなのか聴こえる様な声で喋る者も
中にはおり、ミューは正直うんざりしていた。
(学園もうやめちゃおうかな、、)
学園は基本2年で貴族、平民関係なく15〜18の間に入学でき、魔術や武術はもちろん一般的な知識や魔獣の特徴や対処の仕方を学ぶ所である。
ミューは現在2年で1番のイベントである召喚の儀は終えており、魔術や武術はからきしなので授業を受けてもしょうがなく、知識のほうはやる事が無かったのでその殆どを修学してしまった。
つまり学園にいても既にあまり良い事がないのである。もちろん学園を卒業すれば騎士や魔術師への道もあるが、ミューの実力を考えれば誰でもなれる魔獣を倒し、時に遺跡という名のダンジョンを攻略する冒険者になる以外の道はなかった。
『ふム、本当に混血ガ多い。魔族やエルフ族獣族の、、、いや全ての種族が皆混じっているのカ』
ゴブリンさんは視線や言葉よりもそれを発している根本。そちらの方に興味があった。
「あっ、そうですね。ゴブリンさんには昔の話ばかり聞いて現在の話はしてませんでした。」
ゴブリンさんの疑問を受けミューは種族間の交わり、混血の歴史を語る事にした。
「混血が増えてきたのは300年前ほどと言われています。それまでは亜人決戦の終結でどの種族も自分達の仲間の数を増やすのに必死でした。そして混血や異種族結婚は禁止、又は強い差別をうけていたのです」
『我のトキも混血は少なかったな。亜人ハ混血の様なものだが、保守的な種族のホウが多かった』
「そうです。保守的で他の種族には攻撃的でした。しかしそれも世界最悪の魔王と言われた"終焉の魔王"の出現によって全てが変わりました。終焉の魔王はその力をもって悪の頂点に君臨しました。全てをこわし、皆平等に殺す。一番数の多い人族は多大な被害が出て焦りました。そして何よりその終焉の魔王は人族だったのです」
『人族の身でそれほどマデの存在に?それはまさに奇跡ダナ。私と同じように神の残滓ニ選ばれた存在カ?』
「その残滓?が何かわかりませんが、強力なスキルを持っていたそうです」
『スキル?我がいた頃には無かったモノだ』
「スキルというのは先天的、後天的に与えられる力です。望んで手に入れた人や勝手に手に入っていた人など様々ですか詳しい事は良く解っていません。終焉の魔王のスキルはその中でも特別だったと書き残されています。」
『なるほド。それは神の残滓かもシレン。今はスキルと言われているのか』
「神の残滓、、、?そちらが気になりますが今は混血の話をつづけますね」
ゴブリンさんから出てきた神の残滓という言葉と現代のスキルの関係性にかなりの興味が出てきていたが、その欲望を振り切りミューは話を続けた。
「そうして終焉の魔王は殺して殺して殺し尽くしました。そうすると人類は純潔、混血などと言ってられなくなりました。とにかく生き残るために血の交わりが自然と増えたのです。圧倒的な脅威の前に種族は団結を選び族から類へとかわりました。他の種族はわかりませんが人族の純潔はもういません。今は総称して人類といわれるようになりました」
『そうか、、、。人族への怒りや恨みハ何処にもブツけようが無いカ。その終焉の魔王がいれば我ら亜人モ生き残れたカモしれないな』
「そうかもしれません。すいません。」
ゴブリンさんの言葉の重さに少し申し訳なるミューは咄嗟にあやまってしまった。
『ミューヨ、冗談だ』
「えっ!!」
ゴブリンさんの不意打ちに心底ミューは驚いた。コワモテでいかにも堅そうなゴブリンさんが冗談を言えるなんて!?意外とお茶目さんなのかもしれないとミューはおもった。
『亜人は滅びる運命ダッタ。それだけダ。それに人族にも優しきモノがいるのも知っている。人族はただ、数が多すぎタのだ』
そういうとゴブリンさんはその口を閉じた。その言葉は自分にも何処か言い聞かせているようにミューは感じてしまった。
「おーい みんなおはよー授業はじめるぞ」
そんなやり取りをしていると教員が教室に入って号令をかけた。
「今日は実戦授業だからがんばれよー」
教員がそういうと周りの反応は様々だった。
「やったぜー!」 「たのしみね」
「最悪だわ、、、」「この日のために術を磨いた!」 「いやだだぁぁあ」
実戦授業は生徒同士1対1で模擬戦を行う授業で魔術、武術、召喚獣なんでもありの訓練だ。そしてミューの反応は「帰りたい」それ1つであった。
「魔術も武術も苦手なのに、、、よりにもよって実戦授業かぁ、、、」
ミューはあからさまに気を落とす。何度かこの授業を受けたがその結果は散々な物だった。誰が見ても魔術も武術も才能なし。それが分かっているので億劫でしかたなかった。そんなミューを横目にゴブリンさんはゆっくりと肩を回し準備運動のように見える動きをした。
『ミューよ。ちょうど良イ、我の力とミューの力を試そウ』
「えっ!ゴブリンさんやる気ですか!!」
『周りハ我々を侮ってイルようだからな。存在は認めさせねバならん』
そういうとゴブリンさんはほんの少しニヤリと口角をあげた。その隙間から鋭い牙がキラリと光るのだった。
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いつも読んでくださりありがとうございます。
このゴブリンさんが一番反応が多くてびっくりです!!この小説はタイトルと1話だけ3年くらい前に上げてそっから全く話をアップして無かったので、とても嬉しい限りです!!星やらハートやら貰えるとモチベになりますのでこれからも応援よろしくお願いします!!
ついでにもう二つ小説を書いています。
「踊るマーメイドフェスタ」
「例え世界が滅びても拾い者はやめない!」
です!王道ファンタジーとコメディものですの試しに読んでもらえたら嬉しいです!!
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