第2話 召喚の儀 出会い
「今日は召喚の儀だから気合い入れないとです!」
ミューは自分に気合いを入れ直し教室に入った。
王立学園に入学してしばらく、今日は一大イベント
の召喚の儀があるのだ。
「みんなおはよー」
「おっ!落ちこぼれのミューがきたぞー」
「男子やめなよー本当の事でも言っちゃダメ」
「ギリギリ滑り込み入学で魔術も武術ダメダメだもんなぁ!!勉強できたって戦えなくちゃ仕方ないぜ」
罵詈雑言がミューにふりかかるが、いつもの事だとそれを振り払う。王立学園は貴族平民関係なく子供達を集め、魔獣の脅威を退ける人材を育成する機関である。魔術は大気の"力"をコントロールし炎や風を発現させる。武術は体内の"力"をコントロールし体を強化し爆発てきな身体能力を発現させる。
ミューはこの両方に適性があまりなかった。
出来ないわけではない。下手で苦手なのだ。
だからこそこの召喚の儀にかけていた。
召喚の儀とは魔獣を呼び出し、自分の
かつて知性があったと言う魔獣とパスを繋げて
自分のサポート、または魔獣を主体に自分がサポートをするなど、生涯の相棒を得ることができるのかも知れない儀式だ。
「お前らー 時間だー 席につけー」
教室に教員が入り生徒たちは思い思いに席座る。
「今日はいよいよ召喚の儀だー 魔獣とパスを繋いで自分の相棒とする儀式だー。事前に言ったが、全員が成功するわけじゃ無いー 魔獣とパスを繋ぐ為にはどうするのか? 答えろミュー」
「魔獣を納得させなければいけません。それは戦いだったり、魔獣の欲しいものを確約したり方法は様々ですが、魔獣に自分を認めさせる必要があります」
ミューは教科書に書いてあったままに答える
他の才能は引くけれど勉強や暗記、読書は得意な事といえるミューにはこれくらい朝飯前だった。
「そうだミュー さすがだなー それじゃぁ
お前らー 移動するぞー」
そうして教室をでて地下の広場へ全員で移動した。
広場はしっかりとした作りになっておりシンプルな作りにみえて床や壁には魔法陣が幾つも掘られておりその作りの壮大さにみな息を飲んだ。
「さー 召喚の前に 俺の相棒をみせよー
来いよー ヴァルガー」
そう教員の気の抜けた声と同時に虚空から紫色いろの毛をした立派な狼がでてきた。
「こいつはヴァルガー 俺の相棒だー 種類はシアウルフっていうらしい。今の時代にはもう居ないみたいだから詳しい事はわからんがな。 お前らの時も昔の魔物が出てくる時もある。どうしようもない時はリタイアしろよー 命は大事だからなー」
そう言ってヴァルガーを虚空にもどし召喚の儀が
スタートした。
「まずは俺からだ!」
初めに名乗り出たのは平民でのディスクだった。
彼は魔術、武術にも優れ将来有望の人材である。
「それじゃー ディスクー なんでも良いから
強く来いって呼び出せー そしたら来るからー」
「そんなんでいいのかよ、きやがれ召喚獣!」
教員の気の抜け具合に困惑しながらディスクが叫んだ時地面や壁の魔法陣が光り、ディスクの対面に虚空を描く。そしてその虚空から魔獣が召喚された。
「これが俺の召喚獣!!」
ディスクが召喚したのは闘牛タイプの魔物だった。
その体は炎を出しており見るからに好戦的であった。しばらく見合わせたあと闘牛がブルッと体を震わせ突進を仕掛けてきた。
「いいぜ!!きにいった!!勝負だ牛やろぅ!!」
ディスクは逃げる事なく武術を発動する。爆発的に上がる身体能力で突っ込んでくる闘牛をツノを掴み
受け止めながら運動エネルギーを利用して後ろに投げ飛ばした。
「チェーーストーーーー!!」
投げ飛ばされた闘牛は体をうまく捻り何事もなく着地した。そうしてまたブルッと体を震わせたあとディスクにゆっくりと近づき座り込んだ。
「ディスクー そいつはおまえをみとめたぞー
名前つけやれー」
気の抜けた声と共にパスの成功をつげられディスクは少し悩んで"ブルート"と名前をつけた。
ディスクを皮切りにして、皆召喚の儀をおこなった。成功するものもいれば失敗するものもいる。
しかし失敗したからといってどうと言うこともない。偉大な冒険者や騎士、傭兵に召喚獣を持っていなかった物もたくさんいるのだ。
しかしミューは気が気ではなかった。
これが失敗すれば自分はいよいよ学園での居場所がなくなってしまう。魔術も武術もだめ。これに賭けていた。
「それじゃー ミューお前の番だー、、、
おい、ミューきいてるかー?」
「はっ はい!!」
教員の言葉が聴こえないほどミューは緊張していた。しばらくして覚悟をきめたのか言葉を紡ぐ
「お願い!来てください!私の召喚獣!!」
ミューの言葉と共に魔法陣は光り虚空をつくる
そして虚空から出てきたのはゴブリンだった。
これが後の大冒険者ミューと召喚獣ゴブリンさんの
はじめての出会いだった。
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