伝説のゴブリンさんは召喚獣として召喚されたようです。

ナルスン

召喚獣 ゴブリンさん

第1話 昔々のお話



世界では

様々な種族が文明を築き発展していきました。


賢く、発明が得意な人族


強く、魔力を自在に操る魔人族


気高く、圧倒的なパワーを有する獣人族


そして様々な容姿をした亜人族


ゴブリンは亜人族に分類される種族

容姿は醜く、頭も良くありませんが、細々と暮らし、森を支える管理人として同じ亜人族のエルフとも良い関係を築いていました。


しかし、世が戦乱に飲み込まれると一変します。

どの種族も戦うため魂の昇華を求めるようになりました。命を奪うことでその存在の強さを取り込むのです。


この世界にはびこる出現不明な魔獣の数では効率的に魂の昇華を見込めません。ここで人族は大きな過ちを犯してしまいます。魂の昇華のためにエルフ、ドワーフを除く亜人族を魔獣として殺していったのです。



様々な種族が犠牲になりました。ハーピー、ケンタウロス、セイレーン。ゴブリンもまた絶滅に瀕してしまいました。



魔族や獣人族、そして同じ亜人族のドワーフやエルフは他の亜人族を助けてはくれませんでした。



そんな中、1人のゴブリンが立ち上がります。

力も強くなく、戦う技術もない。

しかし、くだらない理由で殺されていく同胞のため立ち上がらずにはいられなかったのです。



勇気という武器しか持たず、ゴブリンはただの1人で戦い続けました。



容姿が醜いからなんなのだ。

知能が低くいからなんなのだ。

我々にも貴様らと変わらず心はあるのだと。



これが世にある亜人決戦の始まりです。

ゴブリンは様々な種族と戦いそして自分の意に反して魂の昇華が何度も行われました。



戦いの中で仲間もできました。

亜人族を魂の昇華の道具にするなど非人道的だと

運動を起こしていた人族です。



その中でゴブリンは種族を超えた愛を知り、優しさの素晴らしさを感じ身につけたのです。



長かった戦も、とうとう終わる時が来ました。

亜人決戦最後の戦いです。幾度の魂の昇華でゴブリンに敵うものはいませんでした。そして亜人決戦はゴブリン率いる亜人族の勝利で幕を閉じました。そして各種族との対談でゴブリンは伝えたのです。



我々は醜い、しかし心は純粋そのものなのだ。

容姿ばかりが全てなのか? 強さの本質はその心の美しさにある。我々を見捨てたエルフ、ドワーフには亜人族と名乗るを辞めなさい。エルフ族、ドワーフ族として生きていくべきだ。我々の数も残り少ない。我々の知性はその内この世界から消えるだろう。



聞けば魔物は人の怨念と言うではないか。

我々は遠からず魔物になってしまうだろう。

我々の他種族に対する怨みは計り知れないのだ。

我々が獣になった時、その時は容赦はいらない。

誇り高い亜人族の尊厳を守るために一思いに切ってくれ。



ゴブリンは他の種族に対し大きな罰は求めませんでした。許すことで負の連鎖を断ち切ったのです。

しかしゴブリンは自分も多くの命を奪った責任を

感じていました。償いをしなければならないとおもったのです。



そうしてゴブリンは旅に出て沢山の困っている人々の力になっていきました。そんなことを続けているうちに、ゴブリンは敬意をこめて伝説のゴブリンさんと呼ばれるようになりましす、、、




長い時が経ちました。ゴブリンさんは魂の昇華により長い命を授かっていました。そして遂に亜人族と同じ姿の魔物が現れ始めたのです。

ゴブリンさんはこう書き記しています。



やはりこの時がきてしまった。我も姿を消すことにする。これから他の種族には迷惑をかけるが、

どうか責任をもって我らを屠ってほしいのです。

亜人族の誇りをその胸に抱かせて天に導いてあげてほしいのだ。


そう言うとゴブリンさんは姿を消しました。

人々はゴブリンさんのことを忘れないように本にし劇にし語り継ぎましたとさ、、、





「めでたし、めでたし。」



深い夜が訪れている中、少女は読んでいた物語をそっと閉じた。



「あしたは召喚の儀かー、いやになっちゃうな。 また皆んなにバカにされちゃいます。でも頑張ります!私の召喚に答えてくれるでしょうか、、?不安だけど楽しみです!」



部屋のロウソクの火を消したことで夜はさらに深まった。少女は明日の召喚の儀に想いを馳せながら

眠りについたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る