第3話 真贋

 昇太郎は戦国の世にやって来て青森家で一夜を明かした。翌朝、目覚めとともに体を起こした昇太郎は自らの体にかかっている布団から這い出る。冬の朝の寒さが部屋の中の空気も冷たくしているが、布団によって温められた体を冷まして目覚めるにはちょうどよかった。温かくして眠ったこともあってか、体の調子も悪くはない。寝惚け眼も刺激してくる寒さによって思った以上に早く覚醒する。現代日本にいたとしたら、たとえ冬でもこれほど早く覚醒することはないだろう。

「起きたらまずは暖房を考えるもんね」

 冷気により覚醒した体と頭。昇太郎にとっての現実の世界は文明の利器に溢れている。ボタン一つで暖かい空気を出してくれる空調、短時間であたり一帯を温めてくれるストーブ、座った場所が温かいカーペットや床暖房。そういったものに頼る当たり前の生活を当たり前だと思わず客観視できる。この世界に来たことでそういった今まで気づかなかった新しい着眼点を持てるのもいいことだった。

「・・・寒い」

 木材を中心に作られている家屋は微妙に隙間風がある。空気の流れが必ずどこかに存在しており、閉め切っているはずの部屋の中にいてもわずかに流れる空気が肌で感じることができる。それが昇太郎の温かくなった体をゆっくりと冷ましていくのだが、冬の寒気も協力しての冷却作業は思いの外早い。さっきまで温まっていた体は素早く冷まされ、わずかな時間で寒さを感じるほど昇太郎の体は冷えてきた。

 寒さを感じた昇太郎は再び布団の中に潜り込む。さっきまで入っていた自分の体温が残っていることもあり、布団の中に入る事で寒さが軽減されるどころか温かくほっこりした気分になれる。

(冬の布団って天国だなぁ・・・)

 布団の中に残る自分の体温でぬくぬくとしている時、部屋の扉が開いて水月が顔を出した。部屋の中を見た彼女は布団の中に包まっている昇太郎

「おはよう。あれ? お寝坊さん? もー、いけないなぁ。朝早く起きた方がいいよ」

 すでに目覚めていた昇太郎だが、寒さのせいで再び布団に潜り込んだ。その絶妙なタイミングで水月が現れたため、昇太郎がまるでまだ眠っているという印象を持たれてしまった。

「いや、水月さん? 僕、起きているからね」

 布団から頭を出した昇太郎と部屋を覗き込む水月の目が合う。水月は相変わらず好奇心旺盛な子供のようにニコニコしている。

「冬の明後日寒いからね。大丈夫、昇太郎がお寝坊さんだってことは黙っておいてあげるからね」

「いや、僕・・・起きているんだけど・・・」

 水月の中で、昇太郎はもう寝坊キャラとして確立されてしまったようだ。水月はちょこちょこと部屋の中に入ってくると、昇太郎の顔に含みを感じさせる笑みを近づける。

「お寝坊さんの昇太郎。父上が呼んでいるよ」

「え?」

「父上が一緒に朝食をとるから呼んで来い、だって」

 水月の口から出てきた父親の話。恐ろしい強面が一瞬で脳裏に蘇る。その怖い顔と目覚めて早々に向き合わなければならないことが朝一番で憂鬱なことであった。

「えっと・・・拒否権は?」

「ないと思うよ。断ったらきっと、ここに来て食べると思う」

「避けられない?」

「用があったら何が何でもその用を済ませないと気が済まない人なの」

「・・・はぁ」

 昇太郎のような平成の現代人にしてみればあまりなじみのない昭和の頑固おやじと接しなければならないという感覚だが、その頑固おやじをはるかに超える戦国の世の一国の領主だ。ちょっとした出来事が最悪の展開につながることも考えられる。戦国という世界の一国の領主とはそれだけの力を有しているのだ。権力を持つ格上の相手の気分を害するだけで切り殺されることも十分ありうる世界で、権力に加えてさらになじみのない頑固おやじと接触しなければならないということは少なからず恐怖心を抱いてしまう。

「大丈夫だよ、昇太郎。私が・・・」

 水月は言葉を一瞬つまらせる。そして何かを考える間を置いた後、彼女は言葉を続けた。

「命だけは何とかするから!」

「何かある前提!?」

 水月の言葉は演技にも見えるが、どことなく真剣な様子も感じられる。彼女の父親の姿と言動を思い起こせば、彼女の憂慮が現実のものになってしまいそうな気がしてしまう。

「ほらほら、遅れると余計怒られるかもよ?」

「わ、わかったよ・・・」

 このまま布団に潜り込んでいれば、嵐が過ぎ去るのを待つかのように時が過ぎていってくれないだろうかと思う昇太郎。しかしその選択肢は最初から存在することはなく、布団から出て水月の案内で青森広敬が待つ朝食のための部屋へと向かう。死刑台に連行される死刑囚は似たような気持ちなのだろうか、という後ろ向きの思考が消えてくれることはないのだった。

「はい、どうぞ」

 水月に案内されて到着した屋敷の一室。引き戸を開ければ畳の部屋。その中には二人分のお膳が置かれており、その片方には青森広敬がすでに座っている。相変わらず周囲の空気を張り詰めさせる威圧感を与える強面の彼は、部屋に姿を現した昇太郎を一瞥すると自らの目の前にあるお膳の向かい側に置いてあるお膳に目配せをする。

「来たか。遠慮はいらぬ、座るがよい」

 よりによって一対一の差し向かい。せめて水月やその他の家族や家臣がいれば昇太郎も少しは心が落ち着くのだろうが、真っ向から向き合う形で二人きりという最悪の朝食に空腹感は一切ない。もうお腹いっぱいを通り越して威圧感で胸やけを起こしてしまいそうだ。

「は、はい・・・」

 恐る恐る部屋に足を踏み入れた昇太郎は用意されたお膳の前に腰かける。恐怖と緊張から背筋を伸ばした正座で青森広敬と相対する。

「そう固くなるな。昇太郎は客人だ。遠慮なく食べよ」

 客人をもてなしているつもりなのかもしれないが、昇太郎からしてみればもてなされている気は一切しない。もてなすのとはまるで逆の状況に置かれている気分だった。しかしそこで朝食を断るわけにもいかず、昇太郎は自らのために用意された朝食に目を向ける。

(思ったより質素・・・なのかな? 領主っていうくらいだからもう少し豪華なのかと思っていたけど・・・)

 昇太郎の前に用意されているお膳は一汁一菜。ご飯、汁物、そしてその他に一皿。ご飯はお椀にやや少なめ、汁物は少量の野菜が入った味噌汁、そして一皿には小ぶりな焼き魚が置かれているだけだ。食料が豊富でなかった時代の古き日本の食卓はこうだったのかと思う一方で、あまりにも少ない量に昇太郎はわざと自分には少ない量が用意されているのかと思った。そしてすかさず目の前に座る青森広敬の前にあるお膳にも目を向ける。するとそこには自分とまったく変わらない量の食事が用意されていた。

(これが普通の朝食・・・なのかな?)

 領主である青森広敬と同じ量が用意されているということは、これがこの屋敷では最上の食事と言ってもいいだろう。それが目の前に置かれているということは、青森家では最上のもてなしをしてくれていると見ていいのかもしれない。そう思うと家中の人達の朝食はもっと少ないのだろうか、などと言うことを昇太郎は無意識のうちに考え込んでいた。

「どうした? 食わぬのか?」

 箸を手に持ち、朝食を進めている青森広敬。彼はごく普通に食事に手を付けない昇太郎が遠慮をしているのか、はたまた食欲がないのかという気遣いの意味で聞いたのだが、その言葉を昇太郎は青森家の出した食事が食べられないとは何事か、という威圧的な意味合いを勝手に言葉の意味として受け取った。そんな昇太郎だからこそ急いで箸を手に取り、朝食に手を付けることにした。

(味噌汁が温かくて体が温まる・・・味はちょっと薄いけど)

 質素倹約の健康志向なのかと思う領と味付け。焼き魚にも味付けはほとんどなく、正直言ってまずくはないがおいしいとは言えない。ご飯があまり進まないが、残すわけにもいかない上に残すほどの量でもない。昇太郎は全て平らげるのは容易な量の朝食を食べている時、目の前の青森広敬から「ボリボリ」という音が聞こえる。その音が何なのかと目を向けると、彼は躊躇うことなく魚を丸かじりしていたのだ・・・頭から骨ごと。

「え、えぇ?」

 魚の骨、ましてや頭や尾を食べる習慣のない現代っ子の昇太郎は目を丸く見開いて驚き、言葉を完全に失っていた。

「どうした?」

「えっと・・・ご、豪快に食べますね・・・」

 骨を食べるということについて行けない昇太郎だったが、それを直接言ってしまっていいものかと悩んだ末、直接的に表現はしないものの自分の完成とはズレているということをやんわり伝える手段に出る。

「食べられるものは貴重だ。何一つ無駄にはできぬ」

 食に対するこだわりなのか、青森広敬は年老いた容姿とはかけ離れた力強さで魚の骨を噛み砕いていく。ひとしきり口で噛み砕き終えた骨は喉を通って胃の中へ。青森広敬にとって魚の骨も立派な食事のようだ。

「どうした? 食わぬのか?」

 食べる手が止まってしまった昇太郎を不思議そうに見ている青森広敬。しかしその雰囲気は残すことを許さぬという強い意志が感じられる。

「た、食べます。いただきます」

 昇太郎はすぐに朝食を再開するのだが、どうしても気になってしまうことがある。

(ぼ、僕も・・・魚の骨、食べないといけないのかな?)

 昇太郎は朝食を食べながら、お膳の上に乗った魚と何度も睨めっこをするように目を行ったり来たりさせながら悩んでいるのだった。




 朝食を終えたら早々に青森広敬は部屋を出て行ってしまう。いったい何のために一緒に食事をしたのかわからない。食べている間もほとんど会話らしい会話はなかったし、ただただ針の筵の上で朝食を食べさせられた印象だった。

「昇太郎、食べ終わった?」

 水月が遊ぶのを待ちきれなかったと言わんばかりに部屋の突撃してくる。その水月は昇太郎の表情に目が留まる。

「昇太郎? 変な顔をしてどうかした?」

 眉をひそめ、口を半開きにした昇太郎の変な顔が水月の頭に疑問符を浮かべさせる。首をかしげて疑問について考え込む水月だが、昇太郎の変な表情だけでは何位があったのかまるで見当がつかない。

「昇太郎は魚の骨を食うのに慣れておらぬようだな」

 部屋を出て行った青森広敬が早くも部屋に返って来た。手には大きくて少々厚手の羽織を持っているところを見ると、外出の準備をしているように見える。

「魚の骨? 昇太郎、そんなものも食べられないの?」

 魚の骨を食べたことで変な表情になった、その事実に水月は首をかしげる。

「あ、顎が・・・疲れて・・・」

 魚の骨を噛み砕く時に必要とされる顎の力。それは現代で生きていればほぼ必要がないレベルのものと言っても過言ではない。食べやすくおいしくすることが目的の料理という行動を経た結果、魚の骨を丸かじりする顎の力が必要な料理などほぼない。

「しかも・・・骨が・・・何回か・・・刺さって・・・痛い・・・」

 口が半開きの状態なのは何も魚の骨を噛み砕く時に今まで使ったことの無い顎の力を要求されたからだけではない。魚の骨が口の中を傷つけてしまい、その痛みも相まっての表情であった。

「あー・・・慣れない間は骨が刺さるよね。私も小さい頃何回か刺さったことあるよ」

 水月も小さい頃は魚の骨で口の中を怪我したことがあるようだが、彼女の口ぶりからすればもう魚の骨程度で怪我をすることはないようだ。慣れれば怪我をしないという彼女の言葉はにわかには信じられないが、水月の性格を考えればあながち嘘とは思えない昇太郎であった。

「昇太郎、朝食を終えてすぐで悪いが少し付き合ってもらうぞ」

 青森広敬はそう言うと手に持っていた厚手の羽織を昇太郎に投げて渡す。

「それを着て表に来い。行き先はその時に言う」

 青森広敬はそう言って部屋を出て、屋敷の玄関へと向かおうとする。その背中に水月が自らの意見をぶつけた。

「父上! 私も一緒に行きたいです!」

 屋敷の中に閉じこもっているだけの自分をあまり好ましく思っていない水月。彼女は自ら屋敷の外を出る青森広敬やそれに付き合わされる昇太郎と同行することを申し出たのだ。

「・・・ふむ、今日は領内しか回らぬ。わしの言うことを守れるというのであれば今日は同行を許そう」

「ありがとうございます!」

 水月は外出できることが嬉しいのか、父親へ向けたお礼の言葉による表情は何とも言えないくらい明るい。

「えっと・・・僕に拒否権は・・・ないんだろうなぁ・・・」

 昇太郎を連れて行くと言った青森広敬。その行動に同行すると言った水月。その申し出に対して許可が出た。この時点で昇太郎の意見など一切聞き入れられないことは明白。口の中を怪我してしまう朝食の時が終わったと思いきや、昇太郎には更なる受難が待ち受けているのであった。




 厚着をして青森家屋敷を出た昇太郎。青森広敬と水月の護衛と思われる十名近くの男達と一緒にどこかへと連れていかれる。護衛の男達は身長や顔つきにはばらつきがあるものの、みんな鍛えられた屈強な腕や足腰が見て取れる。昇太郎が喧嘩を挑んだところで百戦全敗は目に見えている。そんな男達が十人と、それよりも恐ろしさと強さを兼ね備えていると思われる青森広敬が彼らを束ねている。途中で昇太郎を口封じに亡き者にすることが屋敷にいる時以上に容易な状況になったことを察すると、寒さ以外での身震いが昇太郎の全身を襲う。

「あ、あの・・・どちらへ?」

 行き先は外で話すと言ったのは青森広敬だ。故に昇太郎はその行き先を率直に聞くことにした。

「巡察だ」

「じゅ、じゅんさつ?」

「領内を見て回ることだ。国がどのような状況にあるかを領主が自らの目で見て判断するのだ」

「あ、なるほど・・・」

 青森広敬は青森領を自らの目で見て回り、領地が正しく治められているかを自分の目で確認しに行くのだ。それに昇太郎を何故同行させるのかはわからないが、ひとまず昇太郎を亡き者にしようという考えはなさそうなことに安堵する。しかし状況が変わればその安堵もただののんきとなってしまいかねない。昇太郎はこの巡察中、一切気を抜くことができないことに変わりはなかった。

 巡察として最初にやって来たのは城下町。しかし城下町とは言っても活気は余りあるようには見られない。冬の寒い時期というのもあるだろうが、それよりも何より人々の顔に生気が感じられないのだ。

「なんだか・・・みんな暗いですね」

「そうなんだよ。今年は特に、ね」

 昇太郎の隣を歩く水月が少々悲しそうな表情を見せる。

「今年は? どうして今年だけ?」

「作物の成りが悪かったの。だから商業地でも売れる物が少なくて、食べるものも少ないんだよ」

「蓄えとかはないの?」

「蓄えはしていたけど・・・去年のうちにほとんどなくなっちゃったの」

「去年?」

「作物の成りが悪かったのは・・・二年連続なんだ」

 青森広敬は決して国の治め方が悪い人ではない。凶作が起こってもそれに耐えられるだけの備えをしっかりとやって来ていたのだ。それで去年は乗り切ることができた。しかし凶作が二年連続で続くと話は別だ。凶作の時の備えにも当然限界がある。貯蓄は尽き果ててしまうのが目に見えており、国中が飢餓の不安と恐怖にさいなまれているのだ。さらに外から食料を得ようにもそれを行うだけの金銭が足りない。凶作は一国の領地が壊滅的な打撃を受けるのだが、完璧な備えをしていれば少なからずその被害は軽減できる。しかしそれが二年連続となると、国を挙げての備えをしていてもよい結果を残すのは極めて難しい。

「去年は何故か作物の成りが悪くて、今年は期待していたんだけど嵐で・・・ね」

 作物は水が少なければ枯れてしまい、水が多すぎると腐ってしまう。適度な量を的確に作物に与えていかなければならないのだが、自然現象にまではさすがに手が出せない。青森家は自然現象によって危機的状況にあるのだった。

 活力を失った城下町を通り過ぎれば見えてくるのは畑が生活の中心になっている農村。そこでは城下町以上に活力が失われていた。

「冬は畑仕事がほとんどないから家の中で草履や草鞋を作ったりしているんだけど、城下町があの状況だからかな。食べられないものを作っても・・・今年は売れないみたい」

 だからだろうか。なす術もなく無気力に寒さに耐える人が多い。冬は木の実や山菜なども少なく、狩りをするにも獣の多くが冬眠をしてしまっていてなかなか食べるものが見つからない。食糧の供給が需要に対して全く追いついていないのだ。

(だから・・・領主の食事もあんなに質素だったんだ・・・)

 今朝食べた朝食も質素だった。味噌汁の味が薄いのも節約をしてのことだろう。青森家は今、最悪の状況に置かれている。

「あっちの川では魚を取っている人がいるね」

 冬の寒さに負けず川魚を獲ろうと必死になっている人がまばらにいる。しかしその成果は芳しくないようだ。

「みんな川魚を獲った後なんだ。だからもう魚があんまり残っていないんだ」

 水月の説明を聞いて手に入る魚の数が少ない様子にも納得がいった。食料に困った人達が川に大挙して押し寄せ、取れるだけ取った後の川の状況が今なのだ。

「川魚を増やすには全部獲っちゃダメなのに・・・」

 昇太郎は現実と理想の間を隔てる大きな壁の存在を知った。川で魚が大量に手に入れば多少食べるものが減ってもやっていける。しかし川魚が豊富な川では人の手による狩猟が行われていないことが多い。要は人の手で数を減らしてしまうと、次に生まれてくる小魚たちの絶対量が減ってしまう。それを繰り返すことで川魚の種類にかかわらず総量が減って行ってしまうのだ。しかし食べるものがなければ川魚に頼る他ない。食べるものに困ったときこそたくさん魚が取れる川を作りたいという理想がある一方で、人の手による魚の減少が食べるものを減らしてしまうという現実を作り出す。

「最悪の展開だ・・・」

 悪循環が今後、自然に回復するであろう魚の数すらも減らしてしまっている。これから先のことなど考える余裕もなくなってしまった人たちが、目先のことに集中するあまり少し先の目先のことすらも潰してしまう。最悪の展開が青森領で今現在起こっている現実である。

「やはり・・・あそこに集まっていたか」

「え?」

 青森広敬に連れられてやって来たのは何やら塀に囲われた建物。その正面の入り口には数十人の兵士らしき男達がいて、彼らともめているのは兵士たちの何倍もの数の農村の住人達。

「あれは?」

「あれは食料を保管している場所だ」

「え? 食料があるんですか?」

「ない。昨年の凶作でほとんど空だ。今も中身は空っぽの見た目だけだ」

「それをあそこに集まっている人達は・・・」

「知っているはずがないだろう・・・いや、言えるはずがないと言った方が正しいか。昨年の凶作の時、あそこから大量の食糧を運び出して領民に等しく配ったのだ。それをもう一度行ってほしいと人が集まっているのだが、ない袖は振れぬというわけだ」

「でも言えない・・・知ってしまえば・・・」

 食べるものがどこにもないということを知られるわけにはいかない。それが一体どのような事態を招くかなど想像できない。一揆が起こるかもしれなければ、領民が徒党を組んで隣国に食料を奪いに出かけるかもしれない。この現状で隣国と事を構えることなどできるはずもなく、だからと言ってむざむざ一揆が起こるのを待つわけにもいかない。

「領民たちにはまだ食料を配布することはできない。倉庫にある量も限られているためまだ我慢してほしい。苦しいのはみんな同じだ・・・そう言って先延ばしにしているだけだ」

 食べるものがどこにもない状態で、各農村や城下町の家々の蓄えも徐々に減っていっているのが現状だ。最悪の結果を先延ばしにしているだけに過ぎないが、領地を守るためには決定打がない以上その先延ばし策もやむを得ない。

「このままいけば春までもたぬ。もったとしても、山菜などが生えて来るなりすぐさま刈り取られていくだろう。そうなれば先ほどの川魚と変わらぬ結果が待っている。どうにかせねばならぬのだが・・・どうしようもない」

 二年連続の凶作によって食料も金銭もない。青森家には食料を手に入れる術がない。

「隣国の人達に頭を下げて食料を譲ってもらうことはできないの?」

 昇太郎は一国の領主としてのプライドを捨ててでも食料を手に入れる方法差模索すべきだと思った。しかしそこにはもう一つ壁が存在する。

「嵐のせいでな。この辺り一帯はどこも凶作なのだ。隣国も凶作で食料の値段はどこへ行っても高値だ。頭を下げたくらいでは譲ってもらうことはできぬ」

 台風により一つの地域の作物がまとめて大損害を受けるというニュースを昇太郎もテレビで見たことがある。青森家やその周辺は台風が通り過ぎた後のような状態にあるのだ。

「食べるものを手に入れるためにも戦をするしかないと訴える家臣もおる。まだ戦えるうちに出て行くしかない、とな」

 食べる物もなく、手に入れる術もない。そうなってしまえばあるところから奪うしかないという判断は頷ける。しかし青森広敬はその決断を下せずにいる。

「どうしてそれをしないのですか?」

「ふっ・・・できるわけがなかろう。わしも人だ。食料が有り余る地が近くにあるのであれば出向くが、周りはどこへ行っても凶作の国ばかりだ。食料を奪いに行ったところで大した量は奪えぬし、奪えば奪われた者達が困るだけだ。どこへ行ってもどこかが飢餓を被らなければならないのだ」

 その被害が自分達であることを受け入れているわけではないが、受け入れざるを得ないと自分に言い聞かせているところが青森広敬にはある。

「さて、あとはあの山の上へ行こう」

「山の上?」

 青森広敬が指をさした先には山がある。それほど高い山ではなく、何故彼がその山を行き先に選んだのか、昇太郎にはよくわからなかった。しかし彼が行くというのであれば何かしらの意味はあるのだろう。

「つく頃には良い時間帯になっているであろう」

 青森広敬はそう言うとさっさと山の方へ歩いていく。護衛の男達も彼について行き、水月と昇太郎も仕方なくその後に続いた。

 護衛の男を先頭に山道を登っていく一行。緑が目立つところと、葉がほとんどなくなり枝や幹が良く見える木と様々。歩く道は当然整地されたコンクリートではなく、砂利や石が当たり前のように通り道に見える。人が長い時間をかけて通ることで地面が踏み固められてできた自然の通り道。多くの人が歩いてきた道ではあるが、整地されていない道は昇太郎にしてみれば平坦でも歩きにくい。それが山を登る坂道となれば、昇太郎からしてみればただの障害物競走のコースと変わりがない。

「はぁ・・・はぁ・・・」

 厚着をしても多少肌寒かった冬の山風。しかし歩きにくい山道を登ることで体力の消耗や普段使わない筋肉を使ったからだろうか。額や服を着ている体は少し汗ばんできて、足にも疲れが感じられる。現代にいた昇太郎はこれほど自らの足で歩いたのは以前戦国の世へとやって来たあの時以来。あの時も戦国の世の日常で暮らしただけで肉体的な限界を超えてしまった。今も昇太郎は疲れを感じているが、他の誰も疲れた様子は一切見せていない。女の子の水月でさえ平然とした顔で山道を登っている。

(足腰弱いなぁ・・・現代人に整地されていない山道は厳しいよ・・・)

 遅れないようにするのがやっとの昇太郎だが、さすがに少し遅れが生じそうになって来る。それを取り戻そうと気合を入れなおし、少し速度を上げた瞬間だった。

「うっ! あ・・・」

 昇太郎は苦痛を感じるようなくぐもった声を漏らしながらその場に倒れ込む。

「な、何事だ!」

「敵襲か! 周囲を警戒しろ!」

 昇太郎が倒れたことで護衛の男達は第一に敵の襲撃を警戒して、青森広敬を守るように取り囲んで周囲の敵に備える。

「どうした? どこが痛む?」

 周囲の警戒を護衛に任せた青森広敬は昇太郎のもとへとやって来る。

「足か。矢が刺さったわけでもなければ罠にかかった様子もない。蛇か何かに襲われたのか? しかし今は冬、蛇も獣も出て来るとは・・・」

 昇太郎の様子から敵襲の可能性が低いと見た青森広敬。昇太郎が痛めたと思われる足に水月と共に注目する。

「あ・・・足が・・・攣りました・・・」

 足を押さえて倒れ込む昇太郎が自らの体に出た症状を自己申告すると、周囲を警戒していた護衛の男達は拍子抜けしたせいか時間が止まったかのように一瞬の間硬直していた。

「昇太郎・・・まだ三合目くらいだよ?」

「え? さ、三合目?」

 足はすでに限界に達している。これ以上山を登るのは難しいが、もう少しで目的地だというのなら頑張れないこともない。しかしまだ目標の三割程度しか達していないということに加え、三割程度で限界が来てしまったという無念。昇太郎の心は以前戦国の世に来た時にさんざん言われた軟弱という言葉が思い起こされる。

「これでは目的地まで行けぬな。しかたあるまい」

 青森広敬は昇太郎を山の中で拾った時と同じように軽々と担ぎ上げる。荷物のように簡単に担ぎ上げられた昇太郎は自らのせいで足止めをしてしまった罪悪感からか、物のように担ぎ上げられた状況に一言も異論を唱えることはなかった。

「えっと・・・なんだかすみません」

「かまわぬ。連れていくことだけを考え、お前がどれだけ歩けるかを気にしなかったわしの落ち度だ」

 どう考えてもこの世界の人間の常識に遠く及ばない距離しか歩けなかった昇太郎が異端すぎるのだが、その事実にぶち当たっても彼は一切昇太郎を悪く言うことはなかった。むしろ自らの至らなさを責めているくらいだ。

「昇太郎って・・・もしかしてものすごくひ弱?」

 女の見である水月も平然としている距離すら歩くことができずに足を攣ってリタイアしてしまった昇太郎。かつて灰原家で琴乃に言われた時と同じように、一切反論の余地がないのであった。

「えっと・・・はい」

 青森広敬に担ぎ上げられた状態のまま、昇太郎は情けなく肯定の言葉を述べるのだった。

「殿、御自らがそのようなことをなさらずとも我らが・・・」

「よい。この者を拾ったのはわしだ。わしが全ての責を負うのは当然であろう」

 昇太郎を担ぎ上げる青森広敬。荷物は我らが持ちますという部下の護衛達だったが、上司の鏡と言える発言に護衛の男達は無言のまま一礼。そして再び護衛の任務へと戻る。

「行くぞ」

 そして一行は再び目的地へと向かって足を進めていく。




 山のほぼ頂上部分に到達した一行。そこで昇太郎は青森広敬の肩から降ろされ、大きめの岩に腰かけて一息つく。近くには水が湧き出ている水源があり、護衛の人達は交代で水を飲んでいる。青森広敬や水月も同じく水を飲み一息ついた。

「はい、昇太郎」

 竹でできた水筒に水を汲んで昇太郎のもとにまでやってきた水月。喉が渇くほど自らの足で歩いていない昇太郎だったが、彼女の善意をむげにはできず水筒を手に取って水を飲む。

(冷たい・・・ってか、寒い・・・)

 唯一体を動かしていない昇太郎には冬の湧水は冷たすぎた。寒さが増し、風邪をひかないかが心配になる。

「ここは我が領地において重要な水源の一つだ。湧き水は山のあちらを蛇行して流れ、ふもとの農村へと続いている」

 昇太郎が水を一口飲んで少ししたところで、青森広敬はこの場所の水源について説明を始める。その説明を一瞬の間をおいて護衛の男が止めに入る。

「と、殿っ! どこの国の者かもわからぬような男にそのようなことを話すのはいかがなものかと・・・」

「行商人として間者を入れればすぐにわかる事であろう。青森家は今、自力ではどうしようもないところにまで来てしまっている。天に助けを求めるがごとく、突然現れたものに助けを乞うのも致し方あるまい」

 青森家は危機的状況にあり、その救済策はすでにないに等しい。故にその解決策を外の者に求めることは決して間違いではない。ただ、人選を誤れば無事では済まない。その人選の成否については自らの眼力を信じるほかない。

「しかし・・・」

「では、何か妙案があるか?」

「あ、いや・・・それは・・・」

 護衛の男は言葉につまってしまって黙り込んでしまう。しばらくの沈黙の後、青森広敬は再び話し始める。

「この山は我が国にとって重要な水源であると同時に、わが国にとって一番の悩みの種でもある。何故だかわかるか?」

 青森広敬の意表を突いた突然の問いに昇太郎は慌てながらも、山がなぜ悩みの種であるかを考える。

(悩みの種? 水源であることは重要だからなくなっていいことはないはずだけど、それでもなくなった方がいいと言える理由がある?)

 昇太郎は山全体をキョロキョロと見渡す。そして山から見える麓にも視線を向ける。

(うーん・・・わからないなぁ。水源だし、きっと木の実や果物とか山菜も取れるはずだし・・・悩みの種?)

 答えが見つからない昇太郎はさらに目に見える全ての情報を頭の中に入れながら考え続ける。その最中、手にした水筒を無意識に口元に運んで一口水を口に含む。

(冷たい・・・寒いなぁ。冬でも日光が当たってくれれば少しは暖かいのに・・・あれ? 日光? そう言えば時間帯がどうとか言っていた。家を出たのが朝なら、今は昼前くらいかな? それにしては・・・見える山の麓がほとんど日陰・・・)

 農作業にとって最も重要な日光をこの山が遮断してしまっているのだ。故に農作物の育ちは平時からさほど良くないと言える。そこに嵐などの天災が加われば大打撃は必至だ。

「日当たりが悪い・・・と、言うことですか?」

「そうだ。よくわかったな」

 青森家の領地は山の上から見ればわかることがある。周囲を山に囲まれた内陸地で、さらに南側には一段と高い山があるため日照不足に陥りやすい。耕作可能な平面の土地はさほど多くはなく、日照不足を解消できる場所で農作業が可能な場所はかなり限定されてしまう。それが戦などでの重要な場所となれば、農作業を行う上での好立地でも畑を作ることができない。一見山に囲まれて軍事作戦上は守りやすい土地のようだが、それを引き換えにするかのように失うものも多い土地なのであった。

「我が領地は戦となればそう簡単には破れることはない。山々に囲まれ、城も山と川という天然の要害を利用して作られている。しかしその一方で食べる物には常に不安を持たなければならないのだ。これを何とかして乗り越え、わしは我が領地に民に良い暮らしを与えてやりたい。だが、それは・・・わしの力ではとうてい及ばぬ」

 自力ではもはやどうにもならない。だからこそ他力に頼るしかない。それが青森広敬の苦渋の決断であった。

「今、我が国は食べるものに困っておる。これを乗り越えるには、我が国内にある武具などを売り払い、金に換えて食べる物を買う他にない。それは国の守りを疎かにすることにつながるのだが、少なくとも民を飢えから守ってやることができる。だが、それをすれば次はない。次の秋の実りが悪ければ・・・換えられるものは何一つなくなってしまうのだ」

 苦肉の策に苦渋の決断で最悪の事態は免れるかもしれない。しかしそれは次の秋の実り次第ではただ最悪の結果を先延ばしにしたに過ぎない。青森家にはもうただ一度の失敗も許されない。その瀬戸際に立たされているからこそ、青森広敬は恥と危険を承知で外部の者である昇太郎に助けを求めるのだった。

「昇太郎の話は私にはよくわからないことも多かったけど、それでもたくさんのことを知っていたよね。お願い・・・私達を助けてほしいの」

 水月の表情がいつになく真剣なものになっている。彼女も領主の娘であることから、自分の国が置かれている厳しい状況については重々承知しているのだろう。切なる願いが言葉の中に込められている。

「この状況で使える手段は・・・段々畑、陰性もしくは半陰性植物、耐寒性植物・・・かな。あとは嵐の時の水害を防ぐ治水に、日当りが少なくても実る品種改良・・・できれば収入のために高原野菜のブランド化もできればやりたいな」

 昇太郎はとりあえず頭に浮かんだ案を片っ端から口走っていく。その口走った内容は青森広敬や水月をはじめ、護衛達の誰もが聞いたことの無い言葉ばかりであった。

「しょ・・・昇太郎?」

 聞きなれない言葉が並んだことで皆あっけにとられている。昇太郎の頭の中では全てが知識として存在しているのだが、その知識は他の誰の頭の中にも存在しない。昇太郎と彼以外のみんなの間に温度差のような差があるのだった。

「ああ、えっと・・・一つずつ説明するね。まず段々畑だけど、これは平面の耕作面積が少ない土地で用いられた耕作面積を増やす手法の一つなんだ。日当りのいい山の斜面を階段のように地面を整地して、そこを農作業ができるようにする方法ね。ここから見えるあの山の斜面なら日当りもまだよさそうだから使えないことはないと思う」

 まずは日照不足に陥りがちな土地でも少なからず日光に恵まれている場所がある。それが平面でない以上は平面にするしかない。そのために昇太郎が出した案は段々畑。水田用に畔を作って水を張って用いられるものは棚田という。日本の山岳地帯やその近辺で用いられる農作業の手法の一つだ。

「次は陰性植物、もしくは半陰性植物だけど、これは日光が当たらなくても成長する草木や花や野菜のことを言うんだ。日当りの悪い土地ならこの陰性植物や半陰性植物を農作業の主力にすると安定して収穫できると思う」

 日当りのあまりよくない場所、もしくはほとんど日の当たらない場所でも植物はしっかりと根を張って育っている。それはそう言った日の当たらない場所でも育つ植物が存在していることを指す。要はその日の当たらない場所で育つ植物の中でも食べられるものを中心に育てるようにすればいいということだ。

「それと治水だけど、嵐の時に水害にあった場所と会わなかった場所を地図で照らし合わせてみる必要があると思う。水害にあた場所には堤防を築くなり畑の場所を移動させるなりすれば、水害の被害の減らせると思うよ」

 農作物の最大の敵は天候だ。害虫や害獣は人の手である程度防ぐことが可能だ。しかし天候となればもはや人力の域を超えている。それでも被害を最小限に抑えるためには何かしらの手を打つほかない。その治水対策の重要性を昇太郎は説いている。

「品種改良っていうのは、人間にも個体差があるよね。僕はこんなに体が弱いけど、そこにいるみんなは強いじゃない。それと一緒で農作物の一個一個にも違いがあるんだ。日陰でも育った奴は食べずに保管するなりして、次の種まきや田植えの時に使うと日陰でも育ちやすい奴が増えるんだよ」

 良い実のなる木から取れた実の種を新たに植えて育てると、良い実のなりやすい木が育つ。逆に悪い実のなる木から取れた実の種を新たに植えて育てると、悪い実のなりやすい木が育つ。これは一朝一夕で何とかなる問題ではないが、長い目でこの地の生活を見れば必要不可欠である。

「それで高原野菜っていうのは標高の高いところで育てる野菜のことで、ブランド化っていうのはその土地でしか取れない希少価値の高いものにするっていうこと。つまり青森家の領内でしか育てられないものを作り出して、それが美味しければ高い値段でもいろいろなところに売れるんだ。そうすると収入にもつながるんだよ。さっき言った陰性植物や半陰性植物は日の当たりやすい場所だと育てにくいから、逆にこういう土地の方が先行投資も少なくて育てられるはずだよ」

 日陰の土地であることはハンデであるが、それを逆手にとって収益につなげることができるというのが昇太郎の意見だった。その昇太郎の意見のほぼ全てを初めて聞く青森家の面々は理解が追い付かず、どう返答していいものか悩んでしまっている。しかしそれでも昇太郎が言っていることの意味は何となくだが分かる。農作物を育てるのに適していない土地だからと言って農作物を育てることに一定の諦めを感じることは誤りだと、その土地にはその土地にあった農作物を育てればいいのだということを青森家の面々は何となくだが理解できた。

「それは・・・可能なのか?」

「はい。大丈夫です。実際にやっている人達もいますから」

 昇太郎の言う実際にやっている人とは、この戦国の世の人間ではなく自分の板現代日本での話ではあるが、農作物を育てる基本や応用に大差はない。現代日本で可能なことであればこの世界でも不可能ではないはずだ。

「なるほど・・・それが実現できれば素晴らしいことこの上ない。詳細を聞きたい。一刻も早く帰るぞ!」

 青森広敬の号令で護衛の者達は護衛の任務に戻り、青森広敬は再び昇太郎を軽々と担ぎ上げる。担ぎ上げられた昇太郎の顔に水月が笑顔を近づけている。

「昇太郎は・・・面白いね」

 感謝の意も込められているのであろう言葉と笑顔。それは一行が青森家の屋敷に到着するまで、ずっと昇太郎に向けられているのだった。

(この優男・・・やはり本物か)

 昇太郎を担ぎ上げる青森広敬。明確な言質を取ったわけでもなければ、確かな証拠をつかんだわけでもない。しかし自らの理解が及ばない圧倒的な知識量に驚かされた。それこそが形こそないものの証拠だと言えなくもない。青森広敬は担ぎ上げている優男こそ、弱小の灰原家をわずかな時間で自国を超える二か国を併呑して平定してしまった灰原昇太郎本人だと確信したのだった。そしてその灰原昇太郎こそが青森家の領地を救える唯一無二の存在だということも十分承知している。青森広敬の昇太郎に対する評価は大いに変わることとなったのだった。

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