第3話 いざ初バトル!

「いざ尋常に……っ!」

相手は飛び掛かってきた。

まだこっちは準備出来てないのに。


「さあ挑戦者の攻撃!

勇者はその攻撃をぉぉ…………っ」


身を半分翻し、飛び来る残像をかわす。


「避けたァァァァァァァァ!!」


最早校長の実況など聞こえてこない。


「初見にしては中々。しかし」


相手はニタァと下品極まりない笑みを見せてきた。

「私が【必中】の淡島だと知らん様だな」

「!?」


そう言われた瞬間だった。

僕のからだは1数メートル吹き飛んだのである。

無論、無様に着地……不時着し、大切一帳羅がボロ雑巾に早変わりしてしまった。

すり傷、打撲、……裂傷まで出来ていた。

僕は辛うじて立ちあがり、再び剣を握る。


「ほう?」


といった感じで、奴は表情をニヤつかせたままだ。


悔しかった。

負けた事じゃなくて、自分の無力さが。

これまでなら喫する事の無かった感情に、僕は打ちのめされた。

そういう意味で、僕は敗北したのだ。


「……降……参」

二文字の重圧が満身創痍の躯に突き刺さるのと同時に、恐怖や絶望から解放される。

安堵している自分に、並々ならぬ嫌悪感が湧いた。


「さ、敗者には1つ、言う事を聞いて貰おうじゃないか。決闘のお決まりだな」


煮るなり焼くなり好きにすれば良い。

僕は最早、放任して逃げたかったのだ。


「――――着いて来い。何処までも、な」


…………え?

僕はその意外な命令に、耳を疑う。


「お前は強くなれる。多分俺みたいな奴よりずっと、な。

だから来い。嫌ならいつでも殺りに来い。

ただし、俺より先に死んでくれるなよ?」


何故――――。

何故この男は、敵であるはずの僕に、こんな事を……?

頭が混乱して、放心してしまう。

と、その腕を掴まれ立たされた。


「要するに、旅のお供になれ。

俺はいずれ魔王をたおす男。

名前覚えとけ。誇り高き虎、とらだ」


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もしも現実世界が魔法で溢れたら・超現実解釈版 アーモンド @armond-tree

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