「だれか助けてください!」「そういうのいいから」
W/F
第1話見知らぬ写真
俺、
冬の夜空に白く、靄がかかり、走馬灯のように空へと消えていく。
ふと、突然幼少期を思い出した雄一はスマホを取り出し、ギャラリーから
『昔の写真』と書かれたファイルを開いた。中には小さかった自分や、結構前に死んだじーちゃんやばぁちゃんとの写真など、写真を開くと同時にたくさんの思い出が次から次へと浮かび上がる。
「あの頃は楽しかったな…ほんと…今とは大違いだぜ…ん?」
ある一枚の写真を見たとき、不意に手が止まった。
それはまだ小学生くらいであろう自分ともう一人、見知らぬ茶髪の女の子とのツーショット写真だった。
「誰だ…この子…?」
「あ!雄一さん!こんなところで何してるんですか?」
と、横から元気な女の子の声がした。
彼女は
確か中学…いや、高校生だったか。ここの大家さんの娘さんで、一人暮らしのついでにここの管理を任されているらしい。それでいいのか大家。
「お、しおりちゃん。部活帰り?」
「はい!ばっちり走りこんできました!」
「元気だねぇこんな寒いのに。」
今は三月の上旬だが、春というほどまだ温かくはなく、いまだにマフラーと手袋は離せない。しおりちゃんも俺と同じようにマフラーと手袋は手放せないようだ。
「雄一さんも寒い中ここで一人佇んでいたんじゃないですか。何していたんですか?」
ああ。と、しおりちゃんにスマホの写真を見せた。
「おお!これもしかして雄一さん?と横の娘は…?はっ。まさか、girl friend!?」
「無駄に発音いいな…違うよ。たぶん。」
「たぶん?まさか一方的に迫ってまだ返事をもらっていないとか!?」
「それも違うよ!?…単にこの子のことを思い出せないだけなんだ。」
正直、ここまで思い出そうとしたらその目的物のワンフレームだけでも出てくるものだと思うが…やはりでてこない…一体だれなんだ…?
「思いだせないってことはそれほど重要なことではないってことですよ。きっと、親戚の家に行ったときに偶然同年代の子と出会って、帰りに親が思い出として写真を撮ったとかその程度じゃないですか?」
「かなぁ…」
「おおう…呼び止めといてなんですけど、寒くなってきたのでそろそろ部屋に入りますね…」
「そうだな…あ、そういや、昨日カレー作ったんだけど量が多いからあとで食べてくんない?米も持っていくから」
「うおおおおおおお!!!!さすがだ雄一さん!んじゃあ後で着替えて部屋に行くね!んじゃ!」
「お、おう。…よっぽどひもじかったのかな…」
少し錆が目立つ鉄階段をのぼり、自室の202室まで足を運んだ。
おもいのほか体が冷えており、今すぐにでも湯船に飛び込みたい。
右ポケットからカギを取り出しカギを開けた。
―と。
「ッ…!?」
俺は一人暮らしで、しかも合鍵は親には預けていない。
だがどういうわけか。
部屋の奥で―
部屋の明かりが灯っていた。
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