第百三十四回 諸葛宣于と陸機は陣を闘わす
「
「臣は祖父より伝授を受けて陣法の秘術を網羅しております。この陣は玄妙にして敵人の予測を許しません。たとえ
劉聰は頷くと指麾にあたるべく陣に向かった。
晋の盟主である
「
傍らの間諜が言う。
「今日の布陣は張賓ではなく漢賊の正軍師、
「それならば、必ずや
傍らの陸機が言う。
「諸葛宣于など畏れるに足りませぬ。この陣は先の
言うと、陸機は将台を下りて諸将に命じる。
「今日の戦はこれまでの戦と同じではない。漢賊には劉曜と
諸将は軍令を受けてそれぞれの陣についた。
※
成都王は親将の
それを見た陸機が侮って言う。
「吾が雄兵百二十万、上将は三千人、この軍勢があれば山を
劉曜が罵り返す。
「吾が皇兄(劉聰)はかつて
成都王が怒って言う。
「
張方は命を受けると大刀を抜きつれて漢の軍列に斬りかかり、劉曜は
それより陣頭にあって刀鞭を打ち交わし、白刃は雪片のように翻って銅鞭は流星のように孤を描く。しばらく戦いがつづくうち、陣頭に立つ祁弘も鎗を引っ提げ馬を出す。
「
劉曜は偽り逃れる好機と見て、祁弘が馬を寄せてくると怯えたような表情を浮かべて馬を返す。漢陣に向かって駆け出した劉曜を見るや、張方と祁弘は勇んで後に追いすがった。
※
陸機も劉曜が逃げ出したと思い込み、黄旗を揚げて攻撃を命じる。
張方と祁弘は劉曜を追って漢陣の中軍に斬り込もうとしていた。
劉聰、諸葛宣于は劉曜が逃げ戻ってくるのを見ると西南角の陣に逃げ込み、劉曜もその後につづく。張方と祁弘が後を追って進むと、
張方と祁弘も剛勇の猛将、周囲を数多の漢軍に囲まれても平然と西南角の陣に斬り込もうとした。
その時、将台上の張賓が紅白の旗を揚げると、漢兵たちは
晋の二先鋒は勇を奮って漢陣の軍列に衝き入ろうとしたものの、漢兵たちは鎗先を揃えて攻め入るを許さず、まるで堅城のようにつけ入る隙がない。逆に二人が率いる軍勢は周囲より雨のように矢を射かけられ、斃れる兵が数え切れない。
張方と祁弘に続いて漢陣に攻め込んだ四路の軍勢も、同様に漢の軍列を割れずにいた。
そこに、漢の軍列を乱して攻め入るよう陸機からの指示が飛び、砲声を合図に五路の軍勢が一斉に攻めかかる。晋漢両軍の攻防は午の刻から未の刻(正午から午後二時)までつづいたものの、漢兵は
晋将たちもつけ入る隙のない漢陣への攻撃に
それを見た諸葛宣于が言う。
「ついに晋軍を撃滅する好機が到来したようです」
漢陣の中、諸葛宣于の背後に一本の白旗が掲げられ、ついで将台上の張賓も同じ白旗を掲げる。漢の諸将は攻め寄せる晋軍を迎え入れるように陣形を
ついで張賓が紅旗を掲げて翻した。
間髪置かず
両陣営の将官たちは将台の上で
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