第8話
その瞬間、私の手の中で携帯が鳴った。
表示は「中原先輩」だ。
仕事が終わったか、確認の電話だ。
私に押しつけた仕事が翌日までに上がっていなかったら、上司である中原先輩の責任になる。
先輩は会社の近くで飲んでて、終電までに私が仕事を片付けられなさそうだったり、
私ではできない部分があると、会社に戻ってきて、手伝ってくれる。
決算期の残業の時はいつもそうなのだ。
中原先輩の電話に出ようかどうしようか、どきどきした。
その時、ハーッと速水君の息が、私の耳にかかった。
次の瞬間「出るな!」
と速水君が、私の携帯を掴んだ。
えっ、
それを防ごうとした私の手が通話ボタンに触れて
「あー、九瀬?」
という中原先輩の声が確かに聞こえた。
その携帯を放り投げて、速水君は私を押し倒した。
速水君の目の色が変わっている。
「Q」に頭を侵されている。
中原先輩の電話のせいだ。
「九瀬っ、九瀬っ、
好きなんだよ、
頼む、頼むっ、
俺と、会社なんてやめて、俺と二人でどこかに」
やだ、やだ、やだ、
私はもがいた。
体の上で、ぷちぷちぷちと服のボタンを外される気配がする。
「助けて、中原先輩!」
私の中で欲望が高まる。
「Q! ダメ、いや」
性欲に包まれて、全身が弾けてしまいそうだ。
腰の後ろにあるスタンガンがごりごりと腰にあたる。
なんとか、これを取らなくちゃ…。
でも速水君は私がスタンガンを掴む前に、それを私の腰の後ろから引き抜いて、遠くに投げた。
ずるりと、スカートも一緒に脱がされる。
「いやだああ!!!」
私の悲鳴を塞ぐように、速水君の熱い唇と舌が入ってくる。
次の瞬間、ゴツッと鈍い音がして、私は意識を失った。
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