第3話

「あなたはだあれ、ここはどこ?


 私はだあれ?」



 現実の私はもう大人でお母さん。


でも、この家には違う水の歌が流れている。



「赤チンって、今もあるんだ」


息をつくように漏らした声に


「あるよ。東京の小さな工場が作っていて…」と答えがあった。


途端に私が思い描くのは、どんぶらこと川を渡って、私の元までやってくる赤チン。


熱のせいか、一滴の赤チンに私の中の水は赤く染まってゆくようだ。


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