第12話 大手通信会社社員、新商品の後日談

『メッセージボックス』に関しての後日談。

 というか……お金の話。すいませんね、一応商売人なもので。へへへ。


 ぶっちゃけると……、お金を貰うかかなり迷った。

 何せ使い道を見出したのはタルムンおじいさんだからだ。


 僕たちは『メッセージボックス』を作ったけど、どうやって売るか思いつかなかった。

 そんな中、使い道を見つけ、箱に色を付けたり、録音時間を伸ばすようにアドバイスくれたのはタルムンおじいさんだ。

 流石、現役を退いてもタルムン商店の創業者だ。商才があり、目の付け所が違う。


 それにタルムン商店ぐらいの流通力があってこそ、使いこなせたと言っていい。

 タルムン商店の馬車の保有量はソロモンシティ随一らしいし。


「いや~……なんかお金を貰うの悪いですよ。タルムンおじいさんの言う通りにしただけですし」


「ほっほっほ、そういうわけにはいかないのね」


「う~~ん」


 なんか気が引けちゃう。


「あのねデンちゃん。『メッセージボックス』はデンちゃんのお店の商品なのね。

 それを使わせてもらったんだからちゃんと対価を払わないといけないのね」


「そう……ですか」


「それに出来たら今後も使いたいのね。うちは馬車がたくさんあるから使い道はいくらでもあるのね」


 確かにタルムンおじいさんなら色々使い道を見つけそうだ。


「だから、良かったら契約させてほしいのね」


「契約?」


「そうなのね。使った分に応じてお支払する契約はどうなのね?」


「そ、そりゃあ~願ってもないですよ」


「それじゃあ今度、契約書を持ってくるのね」


「あ、ありがとうございます!」


 そこから契約内容をつめることにした。

 『メッセージボックス』は1回しか使えないが、アムが充電すれば再利用は可能だ。

 なので本体代と充電費用が契約内容になる。携帯電話みたいだね。


 本体は20台欲しいと言われた。試作品として10台作っていたんだけど、新しく20台作りたいって。


 まあ……試作品は僕が日曜大工で作った。だから、まあ、正直微妙な箱だよ。


 新たに作るメッセージボックスはタルムン商店が全面監修だ。

 タルムン商店お抱えの職人さんが、高そうな木を使って作った。

 かっこよくて重厚感のあるデザイン。ついでに音質も向上したみたい。


 良い木は良い音を出す。スピーカーと一緒だね。


 出来た箱にアムが魔法陣を書き込む。終始僕はずっと見てるだけだ。


 流石にこれだけやってもらって本体代貰うわけにもいかず、「不要です」と伝えた。

 タルムンおじいさんは渋々納得してくれたが、後日大量のハンバーガーを注文してくれた。


「商店のみんなにご馳走するのね」


 僕は300個のハンバーガーを受注することになった。



 ハンバーガー用の食材をドルゴ商店に買いに行くと、


「てめーは料理屋でもやってるのか!? ガハハ!」


 と嫌味を言われた。言われたけど売り上げに貢献してるんだから悪い気はしてないみたい。

 「ちょっと安くしておいてやるよ!」だってさ。ドルゴさんに優しくされるのはいつぶりだろう。

 3往復して食材を買い込んだ。店に美味しそうな匂いが立ち込める。


 前日の深夜から仕込みを初めて、ギリギリお昼に間に合わせた。

 タルムン商店のお兄さんが馬車でハンバーガーを運んでいく。


 嬉しいことに、これがまた良い宣伝になった。

 タルムン商店が大量に購入したハンバーガーってことで客足が増えた。

 まあ、少しだけだけどさ嬉しいよね。



 さて、話を戻すと『メッセージボックス』の充電費用は一個あたり1,000ゴールドになった。

 かなり美味しい条件だ。何せほとんど手間がかからない。


 そんなわけで新しい収入源が増えたわけだ。アム様様である。



「アムのおかげで収入が増えたよ、ありがとう」


「えへへ~」


「お礼に何かしたいんだけど、希望はある?」


「ん~」


 ご飯か、服かなと予想した。


「じゃ、ダンジョンに行こう♪」


「うぇ?」


「ダンジョン! 難しいやつね!」


 次はダンジョンに行くことになってしましました。どうなる次回!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る