第3話襲撃の痕跡 小さな者の覚悟

 村人総出で夜のハゲタカオオザルの襲撃に備える…

 シャンピローゼは焦っていた吸血鬼なのに夜の魔力が殆ど使えない… 天使のナリュークエルを噛んでまだ1日も経って無い ペナルティーを把握出来て無かったのだ 『…仕方ありません…』ナリュークエルがシャンピローゼの額に掌を当て天使の血の呪縛を解く『あなただけでも逃げて下さい…』シャンピが顰めっ面で云う 『そーしたいけどパタットはアタシのシモベだ…結構気にいってるそいつの家族の頼みごと断れないし村の連中やランチェッタちゃんを放っとけるか!』椅子を逆向きにし背もたれで頬杖をつくシャンピ シャンピとナリュークエルの居るランチェッタの家の部屋にランチェッタが帰って来た… 泣き腫らした赤い頬と覚悟を決めた目だ 『…シャンピさんお願いです。 今から私を噛んで吸血鬼にして下さい!』赤い頭巾をほどき床に落とし白い服の襟元を破きボタンが跳ぶ 『…ハゲタカオオザルなら大丈夫…夜の能力をナリュークエルに解放して貰ってたから今から倒して来るから…』 ランチェッタの頭巾を拾うシャンピがランチェッタの肩にそっと手を置く『あとアタシ眷族は作らない主義だし 男性経験無いと眷族創れないし…』 外に出ると村長と武装した振るえる村人達が松明をごうごうと焚いている 『少しいいかの…』村長に連れられ村の一室に入る 盾持ち銃使いがベットで大汗を出しながら朦朧とする意識の中自分のありったけの装備をシャンピに説明しながら渡す『……まさか吸血鬼のお嬢さん…に全部挙げるよ私はもつ駄目だ…多分朝までも保たない…弾の種類は五種類このメモを観てくれ…すまないが村を頼む…』 大汗をかいているが触れる指は冷たいし肌の色も真っ白だ…右手一本でシャンピの掌を握る凄く弱々しい…外では生き残った弓使いと木こり戦士が村人に武器の扱い方を教えたり 穴を掘るよう支持している 人がギリギリ入れる穴だ深く小さな穴ならハゲタカオオザルに掴まれないあと戦い時掴まれたり何かを投げつけられても逃げ込める穴だ 傷ついた戦士も村人も襲撃に備える 

 村の外へと出る頃 木こり戦士が包帯を巻いた身体で子供の頭を撫でる 若い娘が木こり戦士にリュックを渡す リュックを背負いこんだ木こり戦士が走って来る

 『…オラも行く 嫁と子供にゃ挨拶したし行くべ…』

 木こり戦士の後ろで若い娘が泣いている… ランチェッタがおばちゃんや子供達が抱きつく 大きな鞄をランチェッタに渡す 

 後ろを見ない木こり戦士 死の覚悟だ 『村の事はメッツル…弓使いに任しただ』木こり戦士が微笑む 

 シャンピローゼとパタット ナリュークエル ランチェッタ 木こり戦士の四人と一匹でハゲタカオオザルの巣れ向かう 

 マントのコウモリ達でみんなを運ぶコウモリ達が浮力の魔力を使っているのだ シャンピがランチェッタに問う『ヤツらの巣はどこ?だいたいでいいから!!』 初めて味わうコウモリ浮遊で驚いてるみんな ランチェッタが応える『…多分あの山の岩山の所です!!』月明かりの中岩山に降りるランチェッタに銃とメモとありったけの弾を渡すシャンピ 『…前衛はワタシでランチェッタは撃って木こり戦士はランチェッタを守って…ナリュークエル着いて来ても何も出来ないのになんで来たの? 制約違反…これ以上すると天使じゃ無くなるんでしょ?』

 『…囮くらいは出来ますよ…弟に逢えましたし最悪天使の力を使います…神罰も覚悟しました…』『……』

 全員が沈黙しつつ準備を進める 

 

 ハゲタカオオザルの巣の入り口 

 獣のニオイと糞や尿 腐った肉や果物のニオイが洞窟らしい穴から風と共に流れて来る ハゲタカオオザルの血がかなり落ちている シャンピが舌を斬ったやつの血だ 『中から濃い血の匂いがする…多分残りは2匹舌を斬ったやつは仲間に喰われたみたい…』シャンピが吸血鬼の魔力を使ったのだ 石を拾ったシャンピが洞窟に投げる石の音が洞窟で広がりエコーロケーションで洞窟の構造とハゲタカオオザルの位置がシャンピに把握される

 大きなメスの個体が新たな動物を殺し喰っている もう一匹のオスの所在が判らないが洞窟を進む 一番広い洞窟内の部屋がハゲタカオオザルのメスの巣だった武装しつつ洞窟を進む 木こり戦士がランチェッタの前でその後ろがナリュークエル 一番前に居るのがパタットソードを持つシャンピ 洞窟の壁を背に進む ハゲタカオオザルにシャンピが一気に近づく! 全員が洞窟の部屋に入る威嚇し地面を叩くメスの大型ハゲタカオオザル 座って居た時とは違いとても大きい15メオールは在る ランチェッタ目掛けオスのハゲタカオオザルの頭蓋骨を投げつける 木こり戦士が斧で頭蓋骨を破壊するシャンピが夜の魔力でマントを地面に這わせハゲタカオオザルの脚を下から複数刺す返し刃が広がり更に地面も固定する 『ランチェッタ!!撃って!!』シャンピが叫ぶ 赤い弾頭の弾をランチェッタが撃ち込む 頭を狙った射撃を右手で受けるハゲタカオオザルのメス 刺さった弾を引き抜くハゲタカオオザル オイルと発火素材が飛び散る

 洞窟内にハゲタカオオザルの呼応が響く 仲間を呼んでいる すると外から木々が割れ枝が折れる音が近づく 『もう一匹が来るぞぉぉ!!!!』一番入って来た穴に近い木こり戦士が叫ぶ ランチェッタが弾とオイルを入って来た穴に撒く…着火させようと火打ち石を使う焦ってうまく行かない 岩や石がハゲタカオオザルのオスに蹴飛ばされズンズンと迫って来る音が近づく 洞窟の上から石か堕ちてくる 炎が広がる洞窟 『正面の一匹を先に倒すよ!!』 シャンピがパタットソードを顔前に構え魔力を込める 闇の力がパタットソードを赤いオーラで覆う 剣の形が数匹の蛇の様にうねる 延びたマントマントがハゲタカオオザルメスの力で引きちぎられると同時にシャンピが高速で近づく!! ハゲタカオオザルが左手を上から叩き下ろす かわすシャンピ ハゲタカオオザルの足元から一気にシャンピの剣が無数に別れハゲタカオオザルを貫く 胸や頭 口の中に蛇の頭がうねる引き抜くと蛇に触れた部分から灰色に変色したあとグズグズと崩れる この世界の魔物は死んでもそのままだ腐って分解され土に還るが半分ほど毒と呪いを受けたハゲタカオオザルは頭や胸などを部分的に失う血は流れず 赤い煙を上げている シャンピは結構な魔力を使った…パタットソードを杖にしようやく立ってられる状態だ 冷や汗と油汗 呼吸すらおかしい…ヒューヒューと肺や喉が痛む それでも後ろの一匹を仕留めるため身を起こし歩み出す 

 

 

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