7月がさよならをいう赤い水 拡散してゆくこの希死念慮

韮崎旭

7月がさよならをいう赤い水 拡散してゆくこの希死念慮

七色を三つ数えて爆破する 朝の残渣の滑稽な声

偽物の見世物ばかり捌くなら 鳥居の向こうは楽園となる

住宅地 めまい 耳鳴り 虚脱感 しろい窓だけ切り取ってゆけ

あしたまた今よりマシな私でいたい 警笛の声聞かぬふりして

青酸にひたした今日を顧みず 切り落とすなら私の首を

繰り返す何度でもまた嘔吐する 理想ばかりを掻き毟りつつ

届かない 届く気もない 見えちゃいない 私がなりたいものは溢れる

それどこですか 初めて知りました 聞いたことがありませんね バス停ですか?

不眠症 死んだようなとき 詰め込んで 爪を剥ぐなら春の訪れ

トラツグミ からす アオサギ ムクドリ スズメ コンクリートの夜は遊泳

二つ目はまだ足りないとこぼしては 苦い眼球 淡い髄液

無駄です 君のその逃避行 君のその 生存 君のその廃墟 君のその悲惨

腐敗するだけまだそこにある 文字の連ねる汚濁する思想

自滅しよう 手を取る先に空を持ち 踏み出す先に 海を待つだけ

ひと時の狂気を喜びとして浸り 勿忘草の影を踏みつけ

荒野・砂漠 ありもしない墓を暴いてごらん そこには徒労が待つだけだから

溶け出した 不安の影を飲み込んで 今日をわたしは命日とする

消化器を虐待するまた 日を改めて 自身を常に虐待している

ふさわしいものは侮蔑と軽侮ほど 破綻と無知を橙に染め

自壊・自傷・自己毀損・自死・自己破壊 私は笑うただ楽しむため

文字列になりそこなった 市街地を かかえたままで腐らせてゆく

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7月がさよならをいう赤い水 拡散してゆくこの希死念慮 韮崎旭 @nakaimaizumi

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