12月のダイアリー 12

12月2日(月)曇り


昨日、雪の降る中、一日中寒い海にいたからかな?

なんだか、からだがだるい。

熱っぽい。


バカなことしたもんだ。






12月5日(木)曇り


やっと風邪がよくなってきた。

あれから熱が上がってしまい、今週は学校を休んで、ずっと家で寝ていた。


熱にうなされて夢に出てくるのは、みっこや川島君ばかり。

ふたりが手をつないで、わたしから去っていく。

冷ややかに、あざけるように、わたしを見る。

そんな悪夢ばかり。


ううん。

まんざら『悪夢』なんかじゃないかも。

ふたりは今、つきあっているのかもしれないんだし。


あの日からまだ一ヶ月。

たった一ヶ月しか経っていないっていうのに、わたしにはもう、何年も、何十年も経ったように感じる。


失恋は、終わらない『悪夢』だ。






12月6日(金)雨


今日は小説講座の日。

やっぱりわたしは行けない。

なのに川島君は、ちゃんと出席してるみたい。


それって、なんだか悔しい。

どうしてわたしが遠慮することがあるの?

小説講座は、わたしが本当にやりたかったこと。

それなのに、川島君は今でもふつうに出席して、わたしが行けないなんて、おかしいじゃない。

そりゃ、わたしも川島君のことを無視して出席すればいいんだろうけど、それはやっぱり無理そう。

どうしても彼のことが気になってしまうだろうから。

顔を合わせても、まだ平常な気持ちで話しなんてできないだろう。


そんなことで夢をあきらめるなんて、つまらなすぎる。

わたしもそろそろ、勇気出さなきゃ。







12月7日(土)晴


今日はみっこの二十歳の誕生日。

だけどわたしは、なんにもしてあげられない。

もう、関係ない。


みっこのことは、忘れよう。

川島君のことも、忘れよう。


いつまでも振り返っていても、辛いだけ。


そんなマイナスなことを考えるより、ポジティブなことを考えてみよう。

新しい恋だって、待っているかもしれない。

川島君だけが男じゃないし、みっことの友情がすべてだったわけでもない。


ふたりに出会う前、わたしはみっこも川島君もいなくてやっていたんだから、その頃のわたしに戻っただけじゃない。

ただ、それだけのことだと思えばいい。


つづく

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