12月のダイアリー 13

12月10日(火)晴


やっと体調もふつうになってきたし、気持ちも上向いてきた気がする。

だけどテレビを見ていると、不意にCMにみっこが出てくることがあって、そうなるといきなり悲痛な気持ちに逆戻り。

とびっきりの笑顔で颯爽さっそうとポーズ決める彼女に、モルディブで見た撮影風景や文化祭でのファッションショー、みっこと交わしたいろんな会話やケンカしたことなんかが、いっぺんにフラッシュバックしてきちゃって、いたたまれなくなる。


『ふたりに出会う前、わたしはみっこも川島君もいなくてやっていたんだから、その頃のわたしに戻っただけ』


なんて、先週の日記には書いたけど、やっぱりそれは違う。


みっこと友だちでいた、一年半。

その間に、わたしたちはたくさんの会話とコミュニケーションを重ね、少しずつ、お互いを理解しあってきた。

みっこの考えも行動もわたしの一部になっていき、彼女とわたしはお互いを溶かしあって、混ざりあっていった。

それを無理やり引きはがしたんだから、傷になるのも当たりまえ。


一部とはいえ、みっこの思考や哲学を取り込んだわたしは、もう以前のわたしじゃない。

彼女がいるから、今のわたしでいられるんだ。

それを無理に引き裂くのは、まるで生傷のかさぶたを剥がすような痛み。


川島君とだって、そう。

ううん。

川島君とはもっと、溶けあって、一体になっていた。

からだも心も。


それを引きはがしてしまったんだから、痛くて痛くてなかなか傷が癒えないのは、当然よね。

しばらくはわたし、この痛みからは解放されない。

もう、時間が癒してくれるのを、待つしかない。






12月15日(日)曇り


あの日から40日。

今のわたしはただ、あの日から何日経ったか、数えているだけ。

時の流れに気持ちを委ねようと決めてからは、わたしはもう、月日が過ぎていくのをじっと待っているだけ。

どんな傷でもいつかは癒えるように、わたしの心もいつかは立ち直れる。

もちろん、命にかかわる傷もあるけど、今のわたしは、とりあえず生きているから。


他に解決法は、あったかもしれない。

そうかもしれないけど…

今のわたしには、この方法しか見えない。






12月20日(金)雨時々雪


45日目。

わたしってこのままずっと、ただ過ぎ去った日を数えながら、一日一日生きていくだけなのかな?

『時が解決してくれるよ』

なんてみんな言うけど、わたしの時はこの冬空のように凍りついて、もう止まっているみたい。


END


2th Nov. 2011 初稿

6th Mar.2018 改稿

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