お漏らし


 ―― 昨夜は三人、雑魚寝で過ごす。今日はケイナを連れて町でも見て回ろう。


 (なんか重たいな……)


 ケイナが仰向けになって寝ていた俺に、腹ばいになって抱きつくように寝ていた。


 「……起きたのか ケイゴ…」

 ケイナは起きていたようだ。だが、様子がおかしい…顔を真っ赤にしている。


 「ああ おはよう ケイナ」

 起き上がろうとしたが、しがみついて離れない。


 「どうした? 出掛けるんだぞ? ご飯行かないのか?」


 しょうがないので、そのまま抱きかかえ立ち上がろうとした時、全て把握した。

 俺の上で、お漏らしをしてしまったらしい。ズボンがびしょびしょになってる。

 ケイナは、恥ずかしそうに真っ赤になり半ベソを掻きながら俺を見上げた。


 「……わらわ こんな事はじめてじゃ……」

 「いいよ 時期にやらなくなるさ みんなそうなんだよ」

 「…みんなするのか? ケイゴもするのか?」

 「いや 小さい時だけだ 俺もテレジアもそうだったんだよ 気にすんな」 

 

 とりあえず着替えだな。部屋のシャワー使うか…テレジアは? 

 よし、まだ寝てるな。


 「シャワー浴びて着替えよう」

 「うん!」


 俺達はシャワーを浴び、手ぬぐいで体を拭いてるとテレジアがシャワー室の前で

 声を張り上げた。


 「ちょっと! ケイゴ なんで黙ってケイナちゃんとシャワー浴びてるの? 

 あんたちょっと 怪しいわよ!」


 俺はケイナに

 「俺は怪しいんだってさ」


 するとケイナがテレジアに

 「ケイゴは怪しくない! 怪しくない!」

 「もう……」


 テレジアは、しばらく黙ってたが脱いだ服をみて察したようだ。


 「ケイゴ! 脱いだ服は宿に頼んで洗濯しといてもらうから 持って行くわよ?」

 「ああ 頼むー」


 ケイナは一瞬あせってオロオロしだしたが

 「大丈夫!気づかれないさ」


 小さな声でケイナに言うと、また顔を赤くしてた。

 ドアが閉まる音がした。俺はシャワーを出て着替えをした。ケイナも一緒に出て

 きたが、何を着せたらいいのかわからないのでテレジアが昨日買ってきた袋を開け

 ようとした時、帰ってきた。


 「ちょっと! 何勝手に開けてるの!」

 「いや…何か着させようかと思って……」

 「あたしがやるから ケイゴはどいて!」


 そう言うとケイナをみて


 「ケイゴ 頭洗ってあげてないでしょ?」

 「あ…ああ まだ洗わなくていいかって……」

 「もう任せられないわ! ケイナちゃん これからはお姉ちゃんとしかお風呂

 入っちゃ駄目よ!」

 「なぜじゃ…」

 「いい? ケイゴは だから一緒にお風呂入っても全然キレイにして

 くれないのよ! 」


 俺とケイナは黙って頷いた。どうやら、ケイナの身の回りの係りはテレジアに

 決まったみたいた。テレジアはそのままシャワーを浴びるみたいで部屋から

 出てけ、と言われ宿のフロントに行き二人の風呂が終わるまで広間でお茶を

 飲む事にした。


 「おはようございます」

 「おはようございます」


 宿の店主だった。俺は何処からか、連絡は無いか尋ねたがまだ無いようだ。


 (ついでだ、朝食を出してもらうか)


 「すいません ここは朝食 用意できます?」

 「はい 朝食ですとパンとスープに果実を少々」

 「十分です それを三人分で」

 「はい かしこまりました」


 二十分くらいしたら迎えにいくか。


 ―― お茶を飲み終えた俺は、一階のトイレに寄り二人を迎えに行った。ドアを

 少しだけ開け声をかける。


 「おーい 入るぞ」

 「いいわよ もう大丈夫」


 中に入ると着替えを済ませた二人が居た。ケイナは…また異様な格好を……


 「どう? ねえ! 可愛くない?」

 「……あ ああ…でもちょっと やり過ぎじゃないか?」

 「どこがよ? 最高よ! たまんないわ……」


 何時にも増して、興奮してるテレジア。この辺じゃまったく見ないゴスロリ…

 ゴシック・アンド・ロリータという服装だった。これもなんだか深夜アニメで

 見た記憶がある……


 「首都辺りだと結構見かけるのよ この衣装 上品で凄く可愛いわ!」

 「そっか…あんまやり過ぎないようにな……あっ 朝飯頼んだから食おう」

 「何処で?」

 「宿の朝食だよ 下のテラスで食べよう」

 「オッケー そのままあたしは組合覗いてみるから鍵かけて行くわよ 貴重品は

 持って出てね」

 「わかった 持って行く」


 俺は、地図と金を持ち部屋の外に出た。急にサポーターが決まるかもしれないし

 説明するのに地図は持ってないとな。

 テラスに行くとテーブルに三人分の朝食が用意されている。野菜スープとパンが

 二個づつ、りんごが剥かれ皿に置かれていた。


 テレジアはパンをかじりながら

 「結構おいしいわね ここのパン もっとカチカチかと思っていたわ」

 「そっか そりゃ良かった たまにはこういう所の食事もいいな」

 「そうね」


 テレジアは、スープを頬張りほっぺたについたケイナのスープをフキンで取り

 ながらそう答えた。


 (なんだかまるで母親みたいだな)

 

 ケイナもテレジアに嫌な反応をまったく見せなくなった。汚れを拭いてもらう

 のに自分からほっぺたを差し出すほどだ。食事を済ませた俺達は宿を出た。約一時

 間後に、町の中央にある噴水で待ち合わせる事にした。

 そういえば、ケイナは魔法を使えるのだろうか?俺はケイナに聞いてみる。


 「ケイナは魔法使えるんだろ?」

 「魔法? 変化の事か?」

 「うーん それが魔法だってのはなんとなくわかんだが 他に俺たちが使う 光

 属性のフラッシュや火属性のファイアなんか 使えるのかなって思ってさ」

 「わからん ただ この状態では変化している分 かなり弱い魔力しか扱えない

 と思う そのファイアもフラッシュも よくわからん…」

 「そうか まあそんなに気にすることも無いが 一度しらべてみるか どうせ暇

 だし組合に行ってみよう」

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