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「志麻ちゃん、こんばんは」
清楚な花のワンピース、大きな目の上で切り揃えられた艶やかな黒髪、常盤さんに似た端正な顔立ちのその子は偽りなく美少女だ。
「もうパパ、こんな無愛想な男の店で飲むのは止めてって言ってるでしょ」
おいおいおいおいー。志麻コラおめー。
「ダメだよ志麻。花菱くんを悪く言ってはいけないよ」
うんうん。言ってやってくれ、常盤さん。
「彼が無愛想なのは、愛情の裏返しなんだよ。素直になれないだけなんだ」
はい、やり直し。
「違うわ、パパ」
何が違うって?
「この人に愛情なんてあると思う?」
「あるわっ」
道端に咲いている花にだって幸せを感じるくらいには愛情持ってるわ。
「まぁ、野蛮」
どの口が言うか。
顔立ちは父親と良く似ているのに、中身は全く違う。一体奥さんはどんな人なのか、実は結構前から気になってはいるが、写真を見る限りはおっとりとした人、ってだけで蘭子さんも「いい人よ」しか言わない。ならどうして志麻だけこうなったんだ。
「ねぇパパ、帰りましょう?」
「えー、パパはもうちょっと飲みたいなぁ」
いや、十分飲んだでしょ。
「志麻も何か好きなの頼みなさい」
「えー」
えーとは失礼だな。
「じゃぁなんか甘いの」
「花菱くん、お願いできる?」
「・・・かしこまりました」
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