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しばらく親子でいちゃついてる(?)姿をみながらシェークする。出来上がったオレンジ色のそれを志麻の前に出した。
わがままなお姫様の為の一杯に選んだのはシンデレラというノンアルコールドリンク。志麻はまだ十九歳だ。
志麻は一瞬だけ表情を明るくすると、無言でそれを口にした。
「どうだい? 花菱くんは腕がいいだろう?」
志麻は少し考えるようにしてから「まぁまぁね」と言った。
どの口が言うか、どの口が。今美味そうな顔しただろ。
「さぁシンデレラ、魔法が解けた時間だね。帰る事にしようか」
とっくに十二時は回っているが常盤さんは志麻と腕を組んで店を出て行った。
「ふぅ」
誰も居なくなった店内でジャズに紛れてため息を吐いた。
志麻のあの態度は、それこそ愛情の裏返しだ。父である常盤さんに対する愛情。仕事が忙しい父に構ってもらいたいだけなのだ。志麻の瞳には常盤さんしか映っていないのだから。
そう思うと、途端にあの少女が可愛く見え、たりはしないか。やっぱり。
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