別れ(2)
それは、美那から何色が1番好きかという質問をされる数週間前のこと。
「彼氏と別れた。また遊べないかな?」
突然の優香からの連絡。
優香は俺と美那が付き合っていることを知っていた。
もちろんダメだと分かっていた。
しかし、その頃の美那はまだダイエットの成果があまり出ていなく、俺はまだ不満を抱いていた頃だった。
タイプだった優香からの誘惑。
俺は自分の欲望を抑えられずに1度だけならと、優香と再び関係を持った。
だけど1度だけでは済まなかった。
その後も優香との関係は続いていた。
俺はそのことを包み隠さず美那に打ち明けた。
「ということで、俺は最低な男なんだ。失望しただろ。だから別れてくれ」
すべてを話し終えた俺。
美那は呆然としていた。
そして突然何かを思い出したかのように自分の青いカバンから何かを取り出した。
「これ、一緒に飲もう」
美那が取り出したものはワインボトルだった。
「今日、何の日か覚えていないでしょ? 私たちが初めて会った日だよ」
美那はそう言うと勝手にキッチンへ行き、ワイングラスを2つ持って来た。
「本当はお祝いに飲もう思ったんだけど、仕方ないね。これが最後の晩餐ってやつになっちゃうね」
「え? それじゃあ、別れてくれるのか?」
「……うん」
美那はそう言いながらグラスにワインを注いだ。
赤ワインだった。
ワインの美しい赤色が、俺の心を柔らく包んでくれた。
警戒心をなくした俺は美那の青い瞳を見つめながらグラスを傾けた。
久しぶりに飲んだワインの味は不思議な味がした。
頭がクラクラして、視界もぼんやりとした。
美那の顔が歪んで見えた。
その顔は微笑んでいるようだった。
次第に全身の力が抜け、そして俺の意識は、飛んだ。
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