別れ(1)

「ねえ、伸哉。私、痩せたと思わない?」


ある日、俺の部屋に来ていた美那がそう言った。


「……うん」


俺はスマホを眺めながら冷たく答えた。


美那はダイエットに成功し、顔も体もスリムになっていた。


だけど俺は素直に喜ぶことが出来なかった。


美那はすべて青に包まれていた。


髪の毛も青に染め、瞳も青になり、顔も化粧のせいで青白くなっていた。


まさに青い怪物。


俺が好きだった太陽のような美那はもうそこにはいなかった。


「……別れよう」


俺はずっと思っていたことを美那に告げた。


これ以上美那と一緒にいることは出来ない。


「俺は出会った時の美那が好きだった。今の美那は異常だ。いくら俺が青が好きだからと言ってもやり過ぎだろ」


美那は青い瞳で俺のことを見つめた。


「ごめんなさい。伸哉がそんなに思いつめていたなんて知らなかった。私はただ、伸哉にもっと好きになってもらいたくて――」


「それが嫌だって言っているんだよ!!」


美那に対して声を荒げたのはこれが初めてだった。


「気付いていないのか? 俺はお前のことが嫌いなんだよ。それに青だって大嫌いなんだ」


「ごめんなさい。だけど別れるのは嫌……。私、ずっと伸哉と一緒にいたい」


美那が別れ話に素直に応じるとは思っていなかった。


「だったら、1つ聞かせてやるよ」


俺はそう切り出し、そしてこう言った。


「俺、浮気しているんだ。誰とだと思う? 美那の知っている女さ。優香って知っているだろ? もちろん知ってるよな。友達だもんな」


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