かさぶたの中に雑菌が入っていると、患部は膿んでしまう。心の傷も同じで、怒りや悲しみ、苦しみ、そういったものが入っていると、ずっと治らない。治りを一番遅くするのは、後悔だ。そういう時は、痛くても一度かさぶたをはがさなければならない。はがして、流水で洗って、そうすればまたかさぶたはできる。傷跡は残るかも知れないけれど、治りはずっと早いだろう。
傷や痛みを受け入れて、それでも前向きにあろうとする。「かさぶた」という単語がメッセージと合致していて、読了後にタイトルを見返すとじんわりする作品です。