古の巨神伝説8
それは巨大な鋼の人型。
それは金属製の鎧騎士。
そう、それは。
「
たとえば、目元。クラークは空洞の中に光る目があるが、居並ぶ
「でも、これは……」
呟くアリサの言葉の意味を、誰もが察する。
そう、此処に在るものが全て
……「完成品」の
「なんていうか作りかけ、みたいな感じだな」
たとえばカナメ達の目の前にある
その向かい側にある
かと思えば下半身だけ存在する
カナメ達と
「
そう、個々の部品は足りずとも……それぞれの部品を組み合わせれば
だというのに、何故なのか。
「見たところ、大きさも似たようなものだな」
「そうだね。規格が合わないってわけでもなさそうだ」
セラトとアリサが未完成の
あの巨体を動かす方法があるのであれば、今から自分達でも
それをしなかった理由は何なのか?
「おーい、こっち来てみなよ。面白いのがあるぜ」
考え込むカナメ達の元に、奥からラファエラがやってくる。どうやら悩んでる間に一人で奥に行っていたようだが……そんなラファエラにオウカが噛みつくように大声をあげる。
「ああっ、ちょっとズルいわよ! なんで先に行っちゃうのよ!」
「えー? だってさ。考察なんか後で幾らでも出来るだろ。悩むより調べた方が早いぜ」
「このお……カナメ、私達も行くわよ!」
「え!? でもこのモニターもまだ調べてないぞ!?」
「モニターって何よ! それは水晶板!」
引きずられていくカナメであったが、突然停止したオウカのせいで転びそうになってしまう。
「う、わっと!?」
なんとか態勢を立て直し、オウカに抗議しようとしたカナメだったが、そのオウカの視線の先を見てカナメも思わず絶句する。
オウカの視線の先。そこにあったのは他のものとは違う……腕も足も頭部も、全てが揃った
「完成品の
「そ、そうよね! そう見えるわよね!?」
たとえ力自慢でも、未完成の
だが、元から完成品であるならば何の問題も無い。
追ってきたアリサ達も、その
分厚く重い全身鎧のような、その姿。僅かな関節部からは太い鋼線の束のようなものが見えており、鎧騎士を思わせる頭部の目の部分には他のと同じように水晶板が嵌っている。
まるで今にも動き出しそうなその姿は……イルムルイの作ったモンスター・エグゾードとはかなり違うのが分かる。
「まさか、これがエグゾードなのかしら……」
「いや、それはないだろ」
感慨深そうに言うオウカに、しかしラファエラはそう言って否定する。
「ちょっと、なんで「ない」って言えるのよ」
「なんでってそりゃそうだろ。エグゾードが強かったから代替品として
「……じゃあ、これは何よ」
「エグゾードじゃない
「その方が変よ。2つ目の
言い合うオウカとラファエラを余所に、カナメは
カナメの感覚から言えば、巨大ロボットか何かにしか見えない。
まあ、厳密に言えば色々違うのだろうが……見上げるカナメの胸に去来するのはかつての憧れでもなく、感動でもない。
そう、まるで……懐かしい、ような。
「……そうだ。これは……あの頃と……何も……」
「カナメ?」
「え!?」
急に現実に引き戻されたような感覚にカナメはビクリと震え周囲を見回す。
すると、すぐ横にアリサが居てカナメの顔を心配そうに覗き込んでいた。
「あ、アリサ?」
「なんか急に様子がおかしくなったけど……大丈夫?」
「え? あ、ああ」
気が付けば、先程の感覚は消えている。
だが……代わりに、一つの確信がカナメの中に宿っていた。
「これ、さ。エグゾードだ。理由は分からないけど、なんとなく分かるんだ」
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