呪いの逆槍6
「ギイッ……!?」
誰よりも驚いたのは
いきなり女が鎧をぶちまけたかと思えば、それが突然意思を持ったかのように組みあがったのだ。
金と銀。そして赤。そんな派手な色で構成された鎧は無視できない威圧感を持っており……その姿に、
アレは堅そうだ。でも、奪って着れば強そうだ。
そうだ、中身のない鎧なんて何程のものか。
そんな事を考えて、僅かに足を踏み出して。
「
オウカの命令と同時に凄まじい速度で飛び出した
「ギゲッ……ゴアッ!?」
「ギアアアッ!」
「ゲブッ!」
一瞬のうちに数体の仲間を倒され、その混乱の中で唯一残っていた
そして、それが終わると同時に
「まあ、やってることが
「あ、ああ。なんか凄いな。堅いし……キラキラしてるし」
「
そんな事を言いながらオウカは先頭を
「詳細不明って……」
「不明なんだもの。仕方ないでしょ」
そんなものを使っているというだけで信じられないくらいの高級品なことが分かるのだが、カナメの関心はそんなところにはない。
「さっき聖鎧兵の話が出てたけど……オウカが目指してるのって、アレとかさっきの俺のやつみたいなのとは違うのか?」
「あれも一つの
そう言うと、オウカはカナメへと振り向き……その途端、先頭を歩いていた
「あれ?」
「止まったでしょ? 普通の
魔法の大原則として「人は目に見える範囲の魔力しか制御できない」というものがある。
これを解決するため予め決まった動きを仕込んでおく
「
「それって自己判断能力の話だよな、たぶん。でもさっきのオウカの口ぶりだとそれとは違うみたいな感じだったけど」
「あら、分かるの?」
「なんとなくだけど。で、オウカは結局どうしたいんだ?」
「
放たれたオウカの言葉にカナメは思わず「へっ?」と間抜けな声をあげてしまう。
オウカの言っている事は鹵獲依頼に近いが、それはそれとして問題がある。
「ダンジョンモンスターって、倒したら消えちゃうだろ?」
「放置すればね。でも、素材を剥ぐとかしてる間は消えないわよ。どういう理屈か知らないけど、便利よね」
「あー、そうなのか……」
エルはそんな事言ってなかったな……などと思いながら、カナメは頷く。実のところ、それをやると消えた後に残るものがなかったりするので、余程素材に有用なものがあるモンスター以外は素材の剥ぎ取りなどしなかったりするのが常識であったりするのだが、そこはカナメの学習漏れである。
「15階層まで行くって言ってたけど、そこまで行けば
「いや、知らないけど」
「出るわよ、絶対。さっきの矢で粉々にするとかやめてよね?」
「あー、まあ。努力はするよ。でも手に入れても、出来るのって結局……」
言いかけたカナメを、オウカが睨み付ける。
「言っておくけど、私が知りたいのは
「ん、んんー……ふーん?」
「分かってないでしょ」
「はは……」
曖昧に笑って誤魔化すカナメを睨むと、オウカは
「つまりね。私は「自分で考えて動く」ものを作りたいんじゃないのよ。「自分が思った通りに動く」ものを作りたいの。
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