「新たなる一手へ」

 日奔国における衆議院選挙は、小選挙区制度と比例代表制度を併用しており、次回衆議院選挙では、289の小選挙区と176の比例代表区での議席を巡って合計465議席を争う事となる。

 

 小選挙区制度は、国勢調査を元にし、最大区と最小区の人口(有権者数)が2倍以内になるように全国を各区に区割りし、各区で一人のみ当選する仕組みとなっている。

 

 一方、比例代表制度は、各ブロック(北開道・等北・北幹東・等京都・南幹東・北利久新越・東開・均機・仲国・士国・宮州)毎における総得票数を、ドント方式により各ブロック内の定数に応じて各政党及び各政治団体に振り分け、各政党及び各政治団体の比例代表名簿順位に従って、当選する仕組みとなっている。


 衆議院選挙に投票する有権者は、小選挙区と比例代表区にそれぞれ1票ずつ投票し、小選挙区の投票用紙には「候補者名」を比例区の投票用紙には「政党名又は政治団体名」を記名投票する形で衆議院議員を選出する形になっている。


 日奔国の衆議院では、どんなに素晴らしい個別の政策を行うにしても、20議席の賛成者がいなければ議案提出権がなく、50議席の賛成者を取得しなければ予算付議案提出権がなく、過半数議席の賛成者を得なければ可決される事がないため、昨今の成立した法律案は、ほとんど過半数議席を取得した与党による法律案であった。


 選挙戦で述べられる以外の政策は、例え憲法違反であろうと選挙戦で述べていたら反対多数の政策であろうと、選挙後に過半数議席を取得してしまえば、選挙で信任を得たとして、その政策は法律として成立してしまうのが現在の姿になっていた。


 古池由里子は、等京都知事になってから地方の提案を何とか国策にできないものかと思案し続けていた。そのためには、知事同士の連携が必要不可欠であると認識していた。

 そこで先ず有権者が多い地域を連携させていく構想を思いついた。知事同士が連携し選挙公示前に政策を発表する事で国策にもなり、その地域の有権者にとっても身近な内容であるため、その政策は衆議院選挙の争点の一つにも成り得ると考えた。


 古池由里子は、有権者数が多い等京都・愛地県・大坂府を抑え、地方自治のための政策を共通の物とし、衆議院選挙協力を行うべく、動き始めた。

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